2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

車の運転に注意する薬一覧

運転注意の薬と運転不可の薬

眠気やめまいなどの副作用のため、運転に注意すべき薬がある。

そのニュアンスには2通りあり、
「自動車の運転等危険を伴う機械の操作及び高所での作業等に従事させないように注意すること。」
「自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。」
十分注意すれば運転可能なものと、運転してはいけないというレベルのものがある。

運注

ある日処方せんを見ていたら、処方せんに「運注」という記載が見られた。
「運転注意」ってことかな?と思ってその薬品をみるとナウゼリン坐剤。

確かにナウゼリン坐剤の添付文書には、
「眠気、めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に注意させること。」
という記載がみられる。
副作用の項目をみると、頻度不明で「眠気、めまい・ふらつき」がみられる。

添付文書検索の使用上の注意で「車」と検索すると、3357件がひっかかった。

意外な薬で「自動車の運転注意」が記載されているかも知れない。

神経系の薬で運転注意の記載がみられることは予想がつく。
点眼薬でも「一時的な霧視」などで運転注意が記載されているものがある。
点鼻薬でも抗ヒスタミン系の点鼻薬では運転注意の記載がみられる。
循環器系の薬でも、降圧剤などでめまい、ふらつきなど起こる可能性があるので運転注意となっている。
呼吸器系の薬では、中枢性鎮咳薬などで眠気を催すことがあるので運転注意となっている。
消化器系の薬では、抗コリン薬や抗ドパミン薬で眠気を催すことがあるので運転注意。
インスリン注射や糖尿病用薬でも、低血糖の恐れがあるので運転注意。
泌尿器系の薬でも、抗コリン薬では運転注意。
血液系の薬ではドルナーやプロサイリンで意識障害を起こす恐れがあるので運転注意となっていた。これは意外。
抗癌剤でも、めまいや視力障害を起こす可能性があるので運転注意。
抗アレルギー薬での運転注意は当然知ってる。
抗生物質でもジスロマックやミノマイシンで運転注意となっているので、注意。
抗ヘルペス薬での運転注意にも注意。
麻薬でも当然運転注意。
その他チャンピックスで運転注意。

ざっと見て、1日に投薬する患者の8割方「運転注意」を指導しなければならないんじゃないかという印象。

薬による影響もありますが、そもそも病院にくる体調の悪い人は、その病気によって運転に支障をきたすこともあります。
てんかんや糖尿病患者による運転事故が社会問題化した事情も添付文書に反映されているのでしょうけど。
全ての患者に「運転注意」を指導する心づもりで投薬しても良いんじゃないかと思う。

私の住んでいるような、生活に車が不可欠な地域で、「運転に支障をきたすかも知れない」というアドバイスは、コンプライアンスに影響を及ぼしかねないので躊躇してしまう。

意外な?運転注意の薬

意外な薬で「車を運転してはいけない」と使用上の注意に書かれている薬がある。

ロペミンやブスコパンなど。
下痢の最中にはなるべく運転したくはないですが。そういうことではなくて。

①「本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。」
②「本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」

①注意して運転していいですよ
②運転しちゃいけません
である。

似て非なる注意文。

意外な?自動車運転注意の薬を一覧にしてみた。

医薬品名添付文書の文章
アスペノンカプセル本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.
アベロックス錠失神,意識消失,めまい等があらわれることがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.
アマージ錠片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること
イミグラン錠片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
イミグラン点鼻液片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
クロミッド錠霧視等の視覚症状があらわれることがあるので、服用中は自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
ザイザル錠眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
ザジテン点鼻液眠気を催すことがあるので、本剤使用中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
シベノール錠めまい、ふらつき、低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
セスデンカプセル視調節障害、眠気、めまいを起こすことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
ゾーミッグ錠片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
チャンピックス錠めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
ドグマチール錠ときに眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
バップフォー錠眼調節障害、眠気、めまいがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分に注意すること。
バリキサ錠本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。
ブスコパン錠眼の調節障害等を起こすことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
プリンペラン錠眠気、めまいがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
マクサルト錠片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
ミグシス錠眠気等を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
ミケラン錠めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
ミノマイシンカプセルめまい感があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作及び高所での作業等に従事させないように注意すること。
メキシチールカプセル本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
メジコン錠眠気を催すことがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
レルパックス錠片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
ロートエキス散視調節障害、散瞳、羞明、めまい等を起こすことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
ロペミンカプセル眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

ザジテン点鼻やリボスチン点鼻はダメだけど、インタール点鼻はOK。
ブスコパンはダメだけど、チアトンは「羞明等を起こすことがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること.」となっているので、注意すればOK。
バップフォーはダメだけど、ベシケアは「眼調節障害(霧視等)、傾眠が起こることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。」となっているので、注意すればOK。
メジコンはダメだけど、アスベリンには特に記載は無い。

抗菌薬で意識を失う?

神経系に働くような薬であれば、運転に注意すべきことは容易に想像がつく。

しかし、抗生物質など神経への作用を連想しないような薬だと運転への注意がおろそかになってしまう。

抗生物質、その他病原微生物に対する薬で運転注意の記載があるものは、

医薬品名添付文書の文言
ジスロマック「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。」
ミノマイシン「めまい感があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作及び高所での作業等に従事させないように注意すること。」
アベロックス「失神,意識消失,めまい等があらわれることがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.投与にあたっては,これらの副作用が発現する場合があることを患者等に十分に説明すること.」
クラビット「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。」
ジェニナック「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。」
ゾビラックス「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること」
タリビッド「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。」
バルトレックス「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること」
バリキサ「本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。」
ファムビル「意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。」
ラミシール「眠気、めまい・ふらつき等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」

ミノマイシン、アベロックス、バリキサは「運転しちゃダメ」という強めの記載である。
「薬の服用中は、運転しないでください」
バリキサの処方頻度は少ないし、アベロックスも長期には処方されないけど、ミノマイシンの長期処方は見られる。
長期に運転不可となると、生活に支障をきたす患者さんも少なくない。
どうしよう。

でも、睡眠薬や安定剤による「眠気」という徐々に襲ってくるような副作用と違って、意識障害やめまいというのは突然クラクラという感じなので、危険な作業に従事しているときのリスクとしては高いものがある。

ニューキノロンとめまい

アベロックスの添付文書には、

失神,意識消失,めまい等があらわれることがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.投与にあたっては,これらの副作用が発現する場合があることを患者等に十分に説明すること.

と書かれています。

車の運転中に意識消失したら怖いですね。

意識消失のメカニズムは現時点では不明です。
意識消失発作の原因のひとつとして、QT延長が関連しているとの報告があります。

アベロックス以外のニューキノロンでは、車の運転に関する注意は喚起されていません。

しかし、ほとんどのニューキノロンの添付文書に、副作用として失神、意識消失(喪失)、意識障害に関する記載がされているので、アベロックスと同様の注意が必要です。
車の運転をしない高齢者なら大丈夫か、と思いますが、突然失神して転倒して骨折して寝たきりになったら、とか思うと使いにくい。

「この薬を飲むと失神することがあるので注意してください」なんて言ったら、「は?」「どうすればいいの?」となるでしょう。
失神したときに周囲に家族でもいればよいが、一人ではどうしようもない。失神や意識消失の副作用はノンコンプライアンスにつながるだけで対策の施しようがないので伝えるべきではないと個人的に思う。

ミノマイシンとめまい

ミノマイシンの副作用に、「精神神経系(0.1~5%未満)めまい感、頭痛」とある。

抗生物質の中でも、アミノ配糖体系抗生物質には耳毒性があることが知られており、内耳障害を引き起こす。音の感知については、まず高音域から聴力低下が始まり、次第に低音域へと進行し、最終的には聴力を喪失する。低下した聴力は、投薬を中止しても回復しない。また、耳石器へも毒性を発揮し平衡感覚を狂わせる。最悪の場合、耳石器の機能が完全に失われる。こちらも投薬を中止しても回復しない。このような抗生物質として、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンが知られる。
他の抗生物質でも、例えばテトラサイクリン系抗生物質のミノマイシンは耳石器への毒性が知られており、めまいなどを引き起こすことがある。ただ、ミノマイシンの場合は投薬を中止すれば回復する。

耳 – Wikipedia

ミノマイシンでめまいを起こすことがある。
そのため、「めまい感があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作及び高所での作業等に従事させないように注意すること。」とうい注意書きもある。
車の運転をしてはいけない。

ケテックと意識消失

ケテックは2012年3月末日をもって経過措置期間満了いたしました。

ケテックを服用した70歳代の男性が、車の運転中に15秒程度意識を失うということがありました。
耳鳴りの前駆症状があったため、意識消失の直前にブレーキをかけたため、幸い交通事故には至らなかったといいます。
発生機序はわかっていません。
怖いですね。

抗アレルギー薬のように、眠くなるという程度なら自己責任で運転しても構わないのかも知れませんが、意識を失うということだと、「運転してはいけません」と強く言う必要がありますね。

耳鳴りや他の前駆症状が出るのであれば、服薬指導時に注意することができます。

ラミシールと眠気

ラミシールの添付文書には、
「眠気、めまい・ふらつき等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」
との記載がある。

ラミシールによる眠気というのがあまり結びつかなかった。

精神系の薬や、中枢に作用するような薬による眠気という副作用はよくある。
循環器系の薬による、めまい・ふらつきなども車の運転に注意を要する。

しかし、抗菌薬系の薬で自動車の運転に関する注意書きが記載されていると、意外性を感じる。

ラミシール以外では、
ジスロマック:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
ミノマイシン:めまい感があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作及び高所での作業等に従事させないように注意すること。
アベロックス:失神,意識消失,めまい等があらわれることがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.
クラビット:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
ジェニナック:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
ゾビラックス:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。
タリビッド:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
バルトレックス:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。
ファムビル:意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

意識障害とかめまいとかが多いかな。

きちんと説明しよう。

SNRIと車の運転

2016年11月にトレドミン、サインバルタ、イフェクサーといったSNRIの抗うつ薬の添付文書の改訂があり、使用上の注意における「自動車の運転禁止」が「運転注意」に変更となった。

【厚労省】自動車運転、禁止から注意に‐抗うつ剤の添付文書改訂へ : 薬事日報ウェブサイト

トレドミンの添付文書をみると、

眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。

という記載になっている。

以前の記載では、「眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」となっていた。

SNRIでは自動車の運転が解禁されたということか。
じゃあ、SSRIはどうだろう?と見てみると、
パキシルの添付文書では、

眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。これらの症状は治療開始早期に多くみられている。

運転禁止じゃなかった。

文章にすると微妙なニュアンスの違いですが、運転禁止と運転注意ではかなり違う意味になるので、明確に区別して理解する必要がある。
特に田舎では、車を運転しなければ生活ができないのだから。

薬効分類医薬品名運転の可否添付文書の記載
SNRIトレドミン運転可眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。
SNRIサインバルタ運転可眠気,めまい等が起こることがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また,患者に,これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう,指導すること。
SNRIイフェクサー運転可眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。
SSRIパキシル運転可眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
SSRIジェイゾロフト運転可眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
SSRIレクサプロ運転可眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
SSRIルボックス/デプロメール運転不可眠気,意識レベルの低下・意識消失等の意識障害が起こることがあるので,本剤投与中の患者には,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.
NaSSAリフレックス/レメロン運転不可眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

SSRIの中では、ルボックス/デプロメールだけが運転不可。
パキシル、レクサプロ、ジェイゾロフトは運転可能です。
このほか、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、抗精神薬、睡眠薬、抗不安薬などなど、すべて調べたわけではありませんが、ほぼ運転禁止。
グランダキシンですら運転禁止です。

抗アレルギー薬と車の運転

アレルギーの薬の添付文書には、車の運転を避けること、という記載のあるものが多いです。

それは抗アレルギー薬には眠気の副作用が出るものが多いからです。

最近の新しい抗アレルギー薬では、眠気の副作用が少なく、添付文書に車の運転に対する注意書きの無いものもあります。

非鎮静性の経口第2世代抗ヒスタミン薬のうち、アレグラ(フェキソフェナジン)、クラリチン(ロラタジン)、デザレックス(デスロラタジン)、ビラノア(ビラスチン)には、添付文書上に自動車運転などに対する注意などの記載がない。ちなみに、市販のアレグラFXやクラリチンEXにも車の運転に関する記載は無いので使いやすい。

一方、ルパフィン(ルパタジン)、ザイザル(レボセチリジン)、アレロック(オロパタジン)、タリオン(ベポタスチン)、ジルテック(セチリジン)、エバステル(エバスチン)、アレジオン(エピナスチン)には自動車運転に関する注意の記載がある。

医薬品名添付文書の文言
アレジオン眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。
エバステル眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に注意させること。
ジルテック眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
タリオン眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
アレロック眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
ザイザル眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
ルパフィン眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること。

添付文書には上記のように書かれているが、微妙にニュアンスが異なる。

意図的かそうでないかはわからないが、「運転しないようにしてください」と注意するのと、「運転するときは気を付けてください」と注意するのでは、注意喚起の仕方が全く異なる。
「運転しないでください」はとてもハードルが高い。

アレグラなら運転してもいい?

しかし、アレグラやクラリチンでも眠気の副作用が報告されており、また本人が眠気を自覚していなくても集中力、判断力や作業能率の低下などの副作用がみられることがあるため、添付文書に記載はないが自動車運転などの危険を伴う機械の操作には注意が必要と考えられる。

眠気とインペアード・パフォーマンスの違いは?

最近しきりにサノフィ・アベンティスがインペアード・パフォーマンスという言葉を多用してきます。
アレグラの宣伝で。

インペアード・パフォーマンスとは、知らず知らずのうちに集中力や判断力、作業能率が低下する、つまり気づきにくい能力ダウンのことです。

このような状態になると、車の運転や仕事、勉強、スポーツなど、生活全般の様々な場面で不都合が生じる可能性があります。

アレルギーの薬の副作用で、眠気というのはよく知られています。

眠気は本人が自覚できますが、インペアード・パフォーマンスは本人が自覚しにくいものです。

つまり、アレルギーの薬を飲めば、眠くなくても、集中力や判断力が低下するので、車の運転は危険だと。

インペアード・パフォーマンスを防ぐために、アレグラを使いましょう、ということです。

抗ヒスタミン薬を飲んだら車の運転しちゃダメ?

抗ヒスタミン薬の添付文書には大抵、
「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。」
と書かれています。
「車の運転はするな」と注意しろ、と。

この記載が無い薬が2品。
アレグラとクラリチン。

その2品以外に、「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること」という、運転するな、よりも少しやわらかいニュアンスの薬が3品。
エバステルとアレジオンとタリオン。

添付文書の記載医薬品名
記載なしアレグラ、クラリチン
注意させるエバステル、アレジオン、タリオン
従事させない上記以外のすべての抗ヒ薬

ザイザルも眠気は少なさそうな話でしたが、「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。」という定番の文句が入ってます。

インペアードパフォーマンスによって、運転や危険な業務での事故が起こる可能性が高まる以外に、労働生産性の低下、学習能力の低下、老人の転倒などが引き起こされます。
試験前日や当日ではとくに注意させる必要があります。

アレジオンを飲んだら運転しちゃダメ?

上記のように、医療用のエバステルアレジオンタリオンの添付文書には、
「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。」
と記載されており、「従事させないように」とは書かれていない。
つまり、運転禁止ではなく、運転注意。

しかし、OTCのアレジオンやエバステルALの添付文書には、
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください(眠気等があらわれることがあります。)」
と記載さており、運転禁止。

解せない。しかし、ルールはルール。販売時には運転禁止と指導しましょう。

脳内受容体占拠率の比較

脳内ヒスタミンH1受容体占拠率で分類すると、

医薬品名
非鎮静性アレグラ120mg、アレジオン20mg、エバステル10mg、ジルテック10mg、アレロック5mg、タリオン10mg
軽度鎮静性アゼプチン1mg、ゼスラン3mg、ジルテック20mg
鎮静性ポララミン2mg、セルテクト30mg、ザジテン1mg

といった具合なようです。

抗アレルギー薬による眠気の副作用は、必ずといっていいほど患者さんに注意する。
眠気が無くても、認知機能障害(インペアード・パフォーマンス)を引き起こすことがある。

クロルフェニラミンマレイン酸塩2mg(ポララミン)の内服ではウイスキー3杯分摂取に相当する認知機能障害がみられるそうです。
セレスタミン錠1錠中にもクロルフェニラミンマレイン酸塩2mgが含まれている。
フスコデ配合錠3錠中にはクロルフェニラミンマレイン酸塩4.5mgが含まれている。
ペレックス1g中にもクロルフェニラミンマレイン酸塩3mgが含まれている。

自分はお酒が飲めないので、ウイスキー3杯分というと相当ですが。
仕事中にフスコデを飲んだこともありますが、自覚してないけど、相当な認知機能障害があったのかな。危険だな。

なめちゃいけないインペアードパフォーマンス

インペアードパフォーマンスとは、作業能率が低下した状態を意味します。

アルコールを摂取した時と同じように、精神運動や認知機能が低下することから、車の運転や通常の業務、学習に対して、大きな障害となるわけです。

ウイスキー3杯分(約90mL)と第一世代抗H1薬のクロルフェニラミン2mg(最小1回用量)が同等のインペアードパフォーマンスを惹起するとされています。

したがって、例えば花粉が舞う時期に行われる大学入試に第一世代の抗H1薬を服用して臨むのは、大きなハンディを背負うことになります。

そして、自動車や特に大型車の運転、公共交通機関の運転など、第一世代の抗H1薬の使用が問題となる場合があります。

眠気の自覚症状がなくても運転をしてはいけない

多くの抗ヒスタミン薬には眠気の副作用がある。

このような薬を飲んで眠気を自覚している場合は、患者も運転を控えるなどの行動をとると思うが、特に問題になるのは眠気の自覚症状がない場合である。

近年になって、眠気の自覚症状がない場合でも、集中力・判断力・作業能率が低下する場合(インペアード・パフォーマンス)があることがわかってきた。

患者に自覚がない場合、自覚がないまま運転などを行い、大事故につながる危険性があるため、当該患者には十分に説明する必要がある。

抗ヒスタミン薬による眠気誘発のメカニズム

アレルギー性鼻炎に使用する薬のなかで、副作用として眠気が問題になるのは、主に抗ヒスタミン薬である。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが鼻粘膜の知覚神経などを刺激するのを抑え、くしゃみなどの諸症状を改善するが、一部中枢へ移行することが知られている。

ヒスタミンは中枢では覚醒や興奮などをもたらすが、抗ヒスタミン薬は中枢のヒスタミン受容体を抑えることで鎮静作用を現すため、眠気などの副作用が発現する。

中枢へ移行しにくいアレグラ、クラリチンなどの抗ヒスタミン薬が眠気を起こしにくい。

ヒスタミンが覚醒や興奮をもたらすのであれば、中枢に選択性の高いヒスタミン受容体刺激薬とかあれば、眠気覚ましに使えないかなとか思ったり。

霧視と運転注意

車の運転に注意する薬として、眠気を催す薬以外に、視力に影響のある薬がある。
運転注意の薬は、服薬継続中はほぼ1日中運転に注意すべきであるが、点眼薬による霧視(かすみ目)の副作用はしばらく待てば治まるものもあるので、それらについては一時的な注意でよい。

霧視が報告されている点眼液は、懸濁性点眼液やゲル化点眼液など、持続性の点眼液が多い。

エイゾプト懸濁性点眼液の注意には、

本剤の点眼後、一時的に目がかすむことがあるので、機械類の操作や自動車等の運転には注意させること。

と記載されている。
点眼から約3分後まで有意な視力低下が認められたと報告されているので、3分程度は運転など危険な作業に従事してはいけない。外出先で緑内障点眼液を使用する患者は少ないと思うが、出先で気づいて車中で点眼しようと思う患者もいないとは限らないので注意する。
高齢患者では目の表面での涙液の回転率が延長していることもあり、薬剤の滞留時間も延長しているので、霧視の持続時間は長くなるので注意する。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

2 件のコメント

  • 横山和宏 のコメント
         

    いつも実践的な情報提示頂き感謝申し上げます、
    下記疑問があり教えてください
    エンレスト錠は100mg以上投与時は50mgを使用しないことと記載あります。他にも代替不可の薬剤があればお願いします。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    エンレストの上記記載は現在は無くなっているようですね。発売から数年経って薬価差が縮まったり、使用経験が重なると削除されることもあるのでしょうか。
    体内動態に影響のありそうな薬はまとめると面白そうですね。

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