2024年11月22日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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処方箋に書かれているのは製剤量?成分量?

製剤量と成分量

粉薬で、例えば「ホクナリンドライシロップ0.1%」という製品の場合、1グラム中1mgの成分が入っている。
この場合、1グラムが製剤量で、1ミリグラムが成分量となる。

大抵、医師による処方は製剤量で書かれてくる。そのままの量を調剤すればよいので、薬剤師的にも楽だ。
しかし粉薬の処方で、まれに成分量を記載してくる医師がいる。
成分量で書かれてきた場合は、何グラム測ればいいのか計算する必要があるので、ひと手間かかる。

成分量で書かれている処方を、製剤量だと勘違いする、といった医療ミスもしばしば起こる。

処方箋の記載ルールとしては、製剤量で書こうが、成分量で書こうが、どっちで書いても良いことになっている。

医師法施行規則に以下のように書かれている。

第二十一条 医師は、患者に交付する処方せんに、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。

分量は「1回量」で、用量は「1日量」。
処方箋の記載様式を1日量から1回量に変えようとしていますが、それよりも成分量と製剤量の記載ルールを明確にしてほしい。

成分量と製剤量に大きな差のある薬であれば、おおよその判断はつく。
しかし、セロクエルの50%細粒など、成分量と製剤量に大きな差が無く、使用量にも幅のある薬だと判断に迷ってしまう。

薬局の入力は製剤量

処方箋の記載が成分量であろうが、製剤量であろうが、薬局で入力するときは製剤量である。
薬情やお薬手帳に記載されている量も製剤量である。
それはなぜかと言えば、薬価に収載されている単位が製剤量であるから。

となると、処方箋の記載も製剤量であるべき、と考えるのが普通である。

力価で書かれた処方せん

最近は手書きの処方せんを見る機会も少ないので、力価で書かれた処方せんというのは少ない。しかし、精神科や小児科からは力価で書かれた処方せんを受けることも多い。

薬の用量が力価で書かれてくることがある。
抗生物質なんかで多い。

mgで書いてあると大体力価。
gだと製剤量、みたいなおおよその見当はつく。

でも、ハッキリしないときは疑義照会。

力価で書かれてきたときは、実際に調剤する量を計算しないといけない。

これが苦手。

100%の散剤だとしたら、1g/1g=1000mg/gになる。
10%なら、100mg/g
1%なら、10mg/g
0.1%なら、1mg/g

感覚的に調剤しているとミスをする。

濃度X%の散剤が力価Ymgで処方されていた場合の製剤量
=Y÷(X/100)mg
=Y×100÷X
という計算になるらしい。

例えば、カロナール細粒20%を180mg計量するとしたら、
180×100÷20で900mgだから0.9g

やっぱりフィーリングで20%の場合5倍すれば100%だから180×5で900と計算してしまう。

力価とは?

そもそも力価って何だろう。

成分量と同義ではないのか。

濃度係数とかファクターとも言うらしい。

Lケフレックスの用量

Lケフレックスの用量は、

通常,成人及び体重20kg以上の小児にはセファレキシンとして1日1g(力価)を2回に分割して,朝,夕食後に経口投与する。
重症の場合や分離菌の感受性が比較的低い症例にはセファレキシンとして1日2g(力価)を2回に分割して,朝,夕食後に経口投与する。
なお,年齢,体重,症状により適宜増減する。

となっています。

1日2gという数字は、力価なのか製剤量なのか。

グラムで書いてきているときは大体製剤量だと思います。力価の場合2000mgと書いてくることが多いでしょう。

まあ、最近は耐性菌の問題もあって量を多めに処方してくる医師も多いです。

分3

ときどき、「分3」とか「1日1回」としか書かれていない処方せんを受け取ることがあります。

bid(1日2回)とかtid(1日3回)、qid(1日4回)とか書いてくる医師もまだいます。

保険請求上、服用時点が明記されていなければならないので疑義照会の対象となります。

が、そんなことでイチイチ問い合わせされても医師側はたまったもんじゃないということもわかっているので、薬剤師の判断で食後をつけたり、入力だけ朝食後と入れて、「いつ飲んでもいいですよ」と言ってみたりケースバイケースで対応しております。

「分2」「分3」「分4」については特に指定がなければ薬剤師は「一日二回朝夕食後」「一日三回毎食後」「毎食後および眠前」と理解する、という話もあるようです。

最近は食生活が不規則な人も多いので、食事に縛られてた投与法だとコンプライアンスが悪くなることも考えられます。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

3 件のコメント

  • ど田舎薬剤師 のコメント
         

    医師に直接疑義照会するシステムの病院で、フェロミア顆粒 0.2gの処方せんに、少なすぎやしませんか?と疑義照会をしたら「力価で200mgのことです!」とお叱りを受けました。
    それ以外はすべてmg単位で力価処方でした。20代ですが小児科です。
    一般名の報告をする時に、医師からは0.2g=200mgと言われていますが、と記載しておきました。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    医師によって記載の仕方が異なると困りますね。
    あきらかに処方量が少ないとか多いとかでわかれば疑義照会の対象にもなりますが、向精神薬などで高齢者に少ない用量で処方されることもあるし、意図的であろうと思って疑義照会しないこともあります。
    あまり処方されない薬だと、記載のまま調剤することも考えられます。
    薬局の入力で、力価で入力しているところを見たことはないので、やはり力価での処方はタブーという方向にまとめてもらったほうがよいと思います。

  • のコメント
         

    ご存知かと思うが、2021年現在はパソのアップデートもあり。力価で入力もできる薬局もありますよー( ¯ω¯ )

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yakuzaic
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