2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ジクトルテープとボルタレンテープの違いは?

ジクトルテープについて

薬剤師

ジクトルテープは普通の湿布と違うの?

ジクトルテープ75mg(ジクロフェナクナトリウム)というボルタレンテープと同成分の貼付剤が久光製薬から2021年5月に発売された。

効能効果は、当初「各種がんにおける鎮痛」のみであったが、2022年6月に「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の適応が追加された。

ジクロフェナクナトリウムの貼付剤といえば、今までもボルタレンテープがありましたが、その規格は15㎎と30㎎。15㎎と30㎎といっても、成分の濃度に違いがあるわけではなく、30㎎は15㎎の倍の面積になっているだけ。
そのため、ジクトルテープ75㎎が単純に15㎎の5倍の濃度というわけではないだろう。

久光のTDDS(経皮薬物送達システム)技術を用いて経皮吸収性を向上させ、3枚貼付時のジクロフェナクの全身曝露量が既承認の徐放性カプセル剤(ナボールSRカプセル)と同程度になるよう製剤設計された1日1回貼付の全身投与型経皮吸収製剤。

ナボールSR/ボルタレンSRカプセルと同じ程度の血中濃度になるとのこと。
しかし、ボルタレンSRが鎮痛領域で使われている現状をみると、ジクトルテープがどのくらい使われるかという点については、あまり期待できなさそう。

ただ、癌性疼痛に使われる鎮痛薬で、麻薬みたいに管理が厳しかったり、ノルスパンテープみたいに登録が必要でない貼付剤は、薬局にとっては調剤しやすいウェルカムな薬であることは間違いない。

海外で使われている薬はないようなので、世界的にもニーズは低そう。
ただ、湿布とか貼付剤のニーズが高いのは日本独特で、その中で進化してきた久光製薬の技術は信頼できるものがあるかもしれません。
貼り薬で治った気分になる、プラセボ的な薬に騙されやすい国民性もあるのかもしれないし、効くかどうかわからない薬も処方しやすい国民皆保険制度の緩さもあるのかもしれません。

ジクトルテープの使い方は以下の通り。

通常、成人に対し、1日1回、2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部、大腿部に貼付し、1日毎に貼り替えて用いる。症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)に増量できる。

がん疼痛に対する薬物療法に関する国内外のガイドラインでは、非オピオイド鎮痛剤は痛みの強さに応じて、単剤またはオピオイド鎮痛薬と併用使用することとされている。

非オピオイド鎮痛薬の経口摂取が困難な患者がいることから、全身投与型経皮吸収製剤であるジクトルテープが開発されたとのこと。

デュロテップやフェントスとの併用も想定されていて、1日3枚まで増量できる。
嚥下困難な患者のためにも貼付剤が増えるのは良いのかもしれないが、認知症とかパーキンソンとか降圧剤とか全部貼付剤になったら、貼るスペースがなくなってくるし、飲み薬以上に貼り替え忘れとかノンコンプライアンスの問題もありそう。
高齢者だと皮膚がボロボロになって、保湿剤が必要になって余計な医療費がかさむということにもなりそう。

ジクトルテープは痛い場所に貼らなくていい?

通常、痛み止めの湿布の貼付部位は、腰が痛ければ腰、肩が痛ければ肩に貼付する。

しかし、ジクトルテープは全身循環血を介して効果を示す全身性の外用薬であるため、疼痛部位に貼付する必要がなく、疼痛部位以外に貼付することが可能である。

ジクトルテープの用法は以下のように記載されている。

〈各種がんにおける鎮痛〉
通常、成人に対し、1日1回、2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。なお、症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)に増量できる。

〈腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎〉
通常、成人に対し、1日1回、1枚(ジクロフェナクナトリウムとして75mg)又は2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。

また、NSAIDsの内服薬は食後服用が必要であるが、貼付剤の場合は食事のタイミングに縛られないので使いやすいという点もメリットである。

ジクトルテープとロコアテープの違い

吸収率の高い貼付剤と言えば、ジクトルテープ以外にロコアテープもある。
しかし、ジクトルテープの貼付部位が「患部」ではなくてもよいが、ロコアテープの貼付部位は「患部」となっており、ジクトルテープのほうは全身へ働く薬、ロコアテープは患部で働くという点で、吸収率に差があると解釈できる。

ただ、ジクトルテープにしてもロコアテープにしても「本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。」という記載があるので、内服の鎮痛薬との併用はいずれも注意する必要がある。

また、ジクトルテープの適応症は「各種がんにおける鎮痛、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」であり、ロコアテープの適応症は「変形性関節症における鎮痛・消炎」である。
それぞれ診断名、使用部位についても注意する必要がある。

「貼る痛み止め」を使っている患者

患者さんから「痛み止めの貼り薬を使っています」と聞いたら、「ああ、モーラステープか何かかな?」と思う薬剤師さんが多いでしょう。

ところがどっこい、ワンデュロパッチだったというオチ。

麻薬系の貼り薬だと、ワンデュロパッチ、デュロテップパッチ、フェントステープ、あと、ノルスパンテープということもあります。
フェンタニルの貼付剤には、現在、ジェネリックも販売されている。
フェンタニル1日用テープ「明治」、フェンタニル3日用テープ「HMT」、フェンタニル3日用テープ「テルモ」、フェンタニル3日用テープ「明治」など。

これらの麻薬性鎮痛貼付剤は、癌だけでなく、慢性疼痛にも適応がある。
ワンデュロパッチ、フェントステープ、デュロテップMTパッチ、は「中等度から高度の慢性疼痛」に適応がある。
ノルスパンテープの適応は、
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患に伴う慢性疼痛における鎮痛
・ 変形性関節症
・ 腰痛症

つまり、これらのオピオイド製剤は、単なる腰痛で処方される可能性もある。

また、フランドルテープやニコチネルTTSを「痛み止めの貼り薬」と呼ぶ、患者もいた(狭心症による胸痛で処方されたため)。
さらに、リバスタッチやイクセロンパッチを「痛み止めの貼り薬」と勘違い?記憶障害?している、さらなる強者も存在するのでご注意あれ。

「痛み止めの貼り薬」とだけ聞いて、わかったつもりになっていると、落とし穴が潜んでいるかも知れません。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

3 件のコメント

  • 匿名 のコメント
         

    後半がジクトルでなくジクトスになってます

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    フェントスと混ざってしまいました。ご指摘ありがとうございます。

  • 金本政夫 のコメント
         

    ジクトルテープとロキソニンテープを違う場所に,
    同時に貼ることは出来ませんか?

コメント


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yakuzaic
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職業:薬剤師
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