記事
ジクアスとヒアレインの違いは?
公開. 更新. 投稿者:眼/目薬/メガネ.この記事は約4分4秒で読めます.
73,934 ビュー. カテゴリ:目次
ジクアスとヒアレインの違いは?ドライアイ治療薬の選び方と使い分け

ドライアイ治療に用いられる目薬には、さまざまな種類があります。中でも「ジクアス点眼液」と「ヒアレイン点眼液」は、薬局でも処方頻度の高い代表的な製剤です。
この2つの薬剤は名前も効能も似ているため、患者さんから「どちらが効くの?」「何が違うの?」と質問されることがよくあります。
ドライアイとは?
ドライアイは、単に目が乾く状態だけではありません。医学的には以下のように定義されます。
・涙液の量または質の異常により、角結膜上皮に障害を生じる疾患
具体的には、
・目の乾燥感
・異物感
・疲れやすさ
・痛み
・かすみ
などの症状を呈します。
近年、VDT症候群(パソコンやスマホの長時間使用)が大きな要因になっており、患者数は増加の一途です。
ヒアレイン点眼液とは?
ヒアレイン(一般名:精製ヒアルロン酸ナトリウム)は、長くドライアイ治療の中心に位置してきた点眼薬です。
●特徴
・作用機序:
ヒアルロン酸は生体内に存在する高分子多糖類で、水分を保持する力が非常に強く、涙の蒸発を抑えます。
・角結膜上皮保護作用:
粘性に富むため、角膜表面を覆って保護します。
・涙液安定化:
涙の蒸発防止・保湿に寄与し、目の潤いを保ちます。
●規格
・0.1%
・0.3%
規格の違いにより粘度・使用感が異なります(詳細は後述)。
ジクアス点眼液とは?
ジクアス(一般名:ジクアホソルナトリウム)は、ヒアレインとは全く異なるメカニズムで作用する比較的新しいドライアイ治療薬です。
●特徴
・作用機序:
P2Y2受容体を刺激することでムチンの産生を促進し、さらに水分分泌も増加させます。
→ ムチンは涙を角膜上に「定着」させる役割を持つ重要な成分です。
・涙液分泌促進作用:
単に保湿するだけではなく、涙そのものの産生を増やします。
この「ムチンと水分両方に作用する」点が従来のヒアレインと大きく異なるポイントです。
ジクアスとヒアレインの使い分け
基本的な使い分け
涙の量が少ないドライアイ:
→ ジクアスが有効(分泌を増やす)
涙の質が不安定・蒸発しやすいドライアイ:
→ ヒアレインが有効(保湿・蒸発防止)
しかし、実臨床では明確に分けられず、症状に応じて併用されることも多いです。
規格の違い:ヒアレイン0.1%と0.3%の選び方
0.3%は粘稠性が高く、保護力・潤いは強いものの、一部では「かえって乾燥感が強い」と感じる方もいます。
理由
ヒアルロン酸は水分を引き寄せる性質があり、角膜表面が荒れている場合に浸透圧差で水分が奪われることがあると言われています。
使用の目安
・0.1%:軽~中等症、違和感が強くない場合
・0.3%:角膜上皮障害が強い・涙液減少が高度・重症例
・流涙の多い患者:0.3%で「目に留める」目的
この選択は処方医師の考え方や患者の訴えで大きく変わります。
ジクアスとヒアレインの併用
併用例は多く、使い分けるだけではなく、互いに補完する使い方が推奨されています。
点眼の順番
先にジクアスを点眼→5分程度空けてからヒアレインを点眼
理由:
ジクアスでムチン分泌を促進しておくことで、ヒアルロン酸の「のりしろ」が増え、保湿・保護効果が高まると期待されています。
特に症状が強い患者では、この手順を守ることで治療効果が向上します。
他のドライアイ治療薬との比較
ドライアイ治療は多角的アプローチが重要です。主な薬剤を以下に整理します。
薬剤名と特徴
・ヒアレイン:涙液保持・蒸発抑制、長年の実績・安定した保湿効果
・ジクアス:ムチン・水分分泌促進、新機序・根本的涙液産生改善が期待
・ムコスタ:ムチン産生促進・上皮修復、角膜上皮障害・痛みが強い場合に有効
・抗菌薬:角膜障害合併時の感染防止、創傷が深い場合に併用
痛みが強い場合はムコスタ?
角膜上皮障害に伴う疼痛が強い場合、ムコスタ点眼液が選択されることが多いです。
ムコスタは:
・ムチンの産生を促進
・上皮修復を助ける
点でジクアスと類似していますが、
「痛みを取る目的」でムコスタを先に使用し、
その後ヒアレインやジクアスに切り替える場合もあります。
患者指導のポイント
ドライアイ治療薬は「1日4回点眼」と頻回投与が多く、患者さんの継続性が課題です。
声かけの例
「目の乾燥は悪化する前にケアすることが大切です」
「毎回2滴は必要ないので、1滴で十分です」
「点眼の間隔は最低5分以上空けてください」
ヒアレインの開封後使用期限は1か月ですが、使い切りのヒアレインミニは衛生面で特に安心感があります。
Q&A よくある質問
Q. どちらが優れているの?
A. 症状や目的により異なります。涙液が少ない場合はジクアス、質が悪い場合はヒアレイン。併用が効果的なケースも多いです。
Q. 長期使用で副作用は?
A. 重篤な副作用は稀ですが、ヒアレインは目やにが増えたり、ジクアスは一部の方で刺激感や味覚異常が報告されています。
Q. コンタクトレンズ装用中に使用できる?
A. 基本的にレンズを外して点眼し、10~15分後に装用してください(製品により異なる)。
まとめ
ジクアスとヒアレインは、ドライアイ治療の二本柱といえる存在です。
・ヒアレイン:
角膜保護と涙液の安定化
・ジクアス:
ムチンと水分分泌を促す新しい機序
・使い分け:
症状や角膜障害の程度で選択
・併用:
先にジクアス、その後ヒアレインの順で点眼
ドライアイはQOLに直結する慢性疾患です。患者さんに寄り添い、最適な薬剤選択と指導を行うことが大切です。
3 件のコメント
ジクアスとヒアレインを処方されました
片方点眼後は5分以上経ってから、
と
注意事項がありますが併用可能のようですね
コメントありがとうございます。
併用は可能ですが、点眼間隔5分以上はお守りください。
10年位、眼の中に溜まった老廃物に悩んでいます。
眼科に行っても何も相談にのってもらえません。
どうしたら、良いか悩んでいます。