記事
紫外線に当たってはいけない薬
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約5分31秒で読めます.
16,102 ビュー. カテゴリ:日光に当たってはいけない薬
使用中、「なるべく日光に当たらないように」と指導する薬がある。
まず、光線過敏症のリスクのあるモーラステープやニューキノロン系薬が思い浮かぶ。
あと、外用薬のプロトピック軟膏なんかも皮膚がんのリスクが思い浮かぶ。
医薬品名 | 添付文書の記載 |
---|---|
5-FU軟膏 | 塗布部はなるべく日光にあたらないようにすること。 |
アザニン/イムラン | 長波の紫外線と相乗的に作用して染色体異常を起こすとの報告がある。免疫抑制剤による治療を受けた患者は皮膚癌が発症する可能性が高いため、UVカット素材の衣類の着用やサンスクリーンを使用し、日光の直接照射を避けること。 |
エピデュオゲル | 日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること。 |
オキサロール | 光苛酷試験において、本剤は紫外線(太陽光線を含む)により分解された。 |
セルセプト | 皮膚癌の危険性を避けるため、帽子等の衣類や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けること。 |
ゼルボラフ | 光線過敏症があらわれることがあるので、外出時には帽子や衣類等による遮光や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けるよう患者を指導すること。 |
タルグレチン | 光線過敏症があらわれることがあるので、外出時には帽子や衣類等による遮光や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けるよう患者を指導すること。 |
ディフェリンゲル | 日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること。 |
デュアック配合ゲル | 本剤の使用中は日光への曝露を最小限にとどめ、日焼けランプの使用や紫外線療法は避けること。 |
デュロテップMTパッチ | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
ニュープロパッチ | 本剤の貼付により皮膚症状が発現した場合には、必要に応じてステロイド外用剤又は抗ヒスタミン外用剤等を使用するか、あるいは本剤の使用を中止するなど、症状に応じて適切な処置を行うこと。また、小水疱を含む適用部位反応が発現した場合、あるいは適用部位以外に及ぶ広範な皮膚炎が認められた場合には本剤の使用を速やかに中止すること。なお、適用部位に発疹や刺激反応等が認められた場合には、日光により発現部位の皮膚が変色するおそれがあるので、回復するまで発現部位への直射日光は避けること。 |
バレオン | 日光曝露をできるだけ避けること. |
ピレスパ | 外出時には長袖の衣服,帽子等の着用や日傘,日焼け止め効果の高いサンスクリーン(SPF50+,PA+++)の使用により,紫外線にあたることを避けるなど,光曝露に対する防護策を講じること。 |
ブイフェンド | 光線過敏性反応があらわれることがあるので、本剤投与中は長袖の衣服、帽子等の着用により日光の照射を避け、日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により紫外線の照射を避けること。本剤投与中に光線過敏性反応が発現した場合は、本剤の投与を中止すること。やむを得ず投与を継続する場合は、皮膚科医を定期的に受診するよう指導し、前癌病変の早期発見に留意すること。 |
フェントステープ | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
プロトピック軟膏 | 本剤使用時は日光への曝露を最小限にとどめること。また、日焼けランプ/紫外線ランプの使用を避けること。 |
ベセルナクリーム | 本剤による治療期間中は、休薬期間及び経過観察期間を含め、日焼けに対する感受性が増加している可能性があるため、塗布部位の光線への曝露を避けること。 |
ベピオゲル | 本剤の使用中には日光への曝露を最小限にとどめ、日焼けランプの使用、紫外線療法は避けること。 |
マーデュオックス軟膏 | 光苛酷試験において、本剤は紫外線(太陽光線を含む)により分解された。 |
モーラス | 光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに本剤の使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。 |
ランプレン | 本剤服用による皮膚の着色で、結果的に抑うつ症状を生じる可能性があるので、患者の精神状態に十分注意すること。また皮膚及び毛髪の着色は可逆的である。皮膚の着色は、本剤中止後、消失までに数ヵ月~数年かかることをあらかじめ患者に説明しておくこと。なお、皮膚の着色は日光暴露によって濃くなることが報告されている。 |
ロゼックスゲル | 本剤の使用中は、日光又は日焼けランプ等による紫外線曝露を避けること。本剤は紫外線照射により不活性体に転換され、効果が減弱することがある。 |
ワンデュロパッチ | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
塗り薬や貼り薬で、塗布部位や貼付部位をなるべく日光に当てないように、という指導は理解されやすいだろう。
しかし、バレオンやブイフェンドなどの内服薬が紫外線の影響を受けることはなかなか理解されにくい、怖い印象を与えるかも知れない。
内服薬で「なるべく日光に当たらないように」と指導されたら外出を控えるしかない。
モーラステープと日光
モーラステープによる光接触皮膚炎に注意です。
皮膚科医はモーラステープが嫌いだ。
モーラステープでかぶれて来院する人が多いから。
シップを貼っている間は気をつけていても、はがせば大丈夫だろうと注意を怠る患者さんが多いです。
使用をやめても2~3ヶ月は皮膚に薬が残るので、強い日光に当たったり、日焼けサロンに行ったりするのはやめましょう。
光接触皮膚炎を起こした部位にシミが残ることもあります。
モーラス使用中の日焼け止め
貼付部位を紫外線から保護するためには衣服によって覆う方法を第一とする。
衣服による遮光が困難な場合には、オキシベンゾンやオクトクリレンが配合されていないサンスクリーン剤(PA+++)を使用し、こまめに塗布する。
モーラスで光線過敏症になる理由
NSAIDs貼付剤の中では、ケトプロフェンの添付文書の「禁忌」と「重要な基本的注意」の項目に、光線過敏症に関する記載があります。
ロキソプロフェンの貼付薬の添付文書の「禁忌」などには、「日光」や「光線」に対する記載はなく、副作用の欄には、接触による痒みやかぶれ、接触皮膚炎が記載されてはいます。
NSAIDs貼付薬の中で、ケトプロフェンのみに日光に対する過敏症の記載があるのはなぜか。
製造販売元の久光製薬によると、構造式中のベンゾフェノン骨格に起因していることが明らかにされています。
ケトプロフェンと類似した構造をもつ、チアプロフェン酸(スルガム)、スプロフェン(スルプロチン、スレンダム、トパルジック)、フェノフィブラート(トライコア、リピディル)、化粧品に含まれる紫外線吸収剤のオキシベンゾンおよびオクトクリレンなどで過敏症の既往のある患者にケトプロフェンは禁忌なので注意しましょう。
モーラスの重要な基本的注意には、
光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに本剤の使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。
剥がした後も、少なくとも4週間は日光に注意する必要があります。
光線過敏症
太陽光線は異なる波長からなり、地表に到達する太陽光線のおよそ0.5%が波長290〜320nmのUVB(中波長紫外線)、6.3%が320〜400nmのUVA(超波長紫外線)、38.9%が可視光線、54.3%が赤外線を占める。
それらが生体に対してそれぞれ異なる作用を及ぼす。
光線過敏症は、健常人では何ら変化を起こさない程度の光線照射により、異常な皮膚反応を生じる疾患群である。
光線曝露が発症に必ず必要な狭義の光線過敏症と、光線がその疾患の発症や増悪にかかわる因子の1つを占める広い意味での光線過敏症がある。
広義の光線過敏症は、大きく遺伝性と獲得性に分けることができ、前者には、ポルフィリン症やHartnup病など遺伝子異常によるDNA修復異常、酸素欠損、代謝異常などが含まれる。
後者には光線過敏型薬疹や光接触皮膚炎など外因性光感作物質の曝露などに起因する疾患が含まれ、さらに膠原病やペラグラのように光線過敏の機序が解明されていない疾患も多い。
光毒性反応
光により光毒性物質ができるためにおきる。
原因となる薬を一定の量以上使えば、誰にでもおきる。
はじめて使う薬でもおきる可能性がある。
光アレルギー反応
光により変化した成分にタンパクが結合しアレルゲンになり、アレルギー反応をひきおこす。
ふつう、症状が出るまでには、一定の期間が必要。
光があたらないところにも、症状が出ることがある。
ステロイドと日光
ステロイドを塗って日光に当らないほうがいいですか、と患者さんから聞かれることが最近あります。
他の薬局でそのように言われるらしい。
初めて聞きました。勉強不足なもので。
しかし、調べてみると嘘っぽい。
ステロイドと色素沈着
なぜそのようなことが言われるようになったかというと、まずステロイドによる色素沈着(シミ)が挙げられる。
ステロイドを塗り続けると黒っぽく色素沈着が残る、と。
これもまた嘘っぽい。
湿疹などの皮膚の炎症が治った後には、一時的に色素沈着が残ることが知られており(炎症後色素沈着)、ステロイドの使用とは関係ない。
サンオイルと日焼け
他には、「軟膏のベースは油なので、サンオイルを塗ったようになる、だから直射日光は避けたほうがいい」という話もあります。
そもそもサンオイルは日焼けを促進させるものではなく、肌を焼けど状態(ひぶくれ状態)にさせないために塗るものです。
なのでそれも嘘っぽい。
「ステロイドを塗って日光に当らないほうがいい」と言われて、首のまわりなど露出する部分に塗るのを避けていたという患者さんもいました。
根拠の定かでない情報を患者さんに吹き込むのはいかがなものかと。
ワセリンと日焼け
紫外線には長い波長で皮膚の真皮まで届き、しわやたるみの原因とされるA波(UVA)と、短い波長で、皮膚表面に炎症を起こし、日焼けの原因となるB波(UVB)がある。
ワセリンにはUVAとUVBの両方を防ぐ効果がある。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。