更新日:2016年12月31日.全記事数:3,117件.

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心房細動は危険な不整脈?


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心房細動は怖い?

長嶋監督や小渕元首相は、心房細動が原因で脳梗塞になりました。
75歳以上の心房細動患者の脳塞栓発症リスクは年間6%と高率です。
しかし、心房細動自体はよく起こる不整脈であり危険な不整脈ではない。

心房細動自体は、危険な、命にかかわるような不整脈ではなく、元に心臓病がない場合は、心房細動のために寿命が短くなるというものでもありません。

日本人の130万人以上に認められ年齢と共に発症頻度は増加します。
心房細動は70歳を超えると、病気のあるなしに関係なく1割から1.5割の人に現れてくる不整脈で、原因は心房の筋肉の一種の老化現象ではないかとも考えられています。

心房細動から脳梗塞

脳卒中は日本の3大死亡原因の1つで、そのうちの6割が脳梗塞であると言われています。

心原性脳塞栓症は全脳梗塞の25~35%を占め、特に左心房の左心耳で形成された血栓が脳動脈の比較的太い血管に詰まり、脳の広い範囲が急速に虚血状態に陥りやすいという特徴があります。

そのため、ラクナ梗塞やアテローム梗塞などの他の病型より再発率も高く、予後不良の傾向があり、発症後1年以内に約半数が死亡するとの疫学調査結果も報告されています。

心房細動は心原性脳塞栓症の最も大きな原因の1つで、心原性脳塞栓症を発症した患者の約7割が心房細動を合併していたとの報告があります。
心房収縮の消失は心房内の血流低下を来し、血栓形成の原因となるために、心房細動患者においては心原性脳塞栓症予防が、心原性脳塞栓症患者においては再発予防のための抗血栓療法が極めて重要と考えられています。

心房細動の治療必要性は?

心房細動の治療は、原因となる病気がある場合はそちらの治療をまず行います。原因疾患がなく、かつ症状もない時は治療が必要でないことが多いのですが、動悸などの症状がある場合は治療が必要です。
心房細動を完全になくそうとすると、多種多量の抗不整脈薬が必要になる可能性があります。その場合むしろ薬剤の副作用の方が心配です。仮に薬が効かなくて発作を予防できなくても、たいていの場合はそれで心不全が起こってきたり、余病を併発したり、命が短くなるわけではないのです。

脳梗塞の原因は不整脈?

心房細動は明確な自覚症状がない場合もあり比較的軽度な不整脈と判断されがちですが、心房細動が持続すると心房内に血液の流れがよどみ、血栓(血液の塊)ができやすくなります。

特に左房でできた血栓が脳にとび脳の主要な血管(脳動脈)が閉塞されると脳梗塞を引き起こしてしまいます。

心房細動をそのまま放置した場合、5%の患者さんが脳梗塞になることが知られています。

脳梗塞疾患側からみると脳梗塞の約30%が心房細動によるといわれています(心原性脳梗塞)。

心原性脳塞栓症は脳梗塞の中で最も予後が悪い

心原性脳塞栓症は、心臓、特に左心房にある左心耳にできた血栓が飛んで、脳の太い血管を詰まらせる病気です。

内頚動脈の内径は約4mmですから、これより大きな血栓が飛ぶと内頚動脈を詰まらせて頭蓋内に非常に大きな梗塞巣ができます。
一方、4mm以下で中大脳動脈まで飛んだ場合、中大脳動脈の起始部から水平部にかけて閉塞が起これば、やはり重度の脳梗塞が起こります。
つまり、心原性脳塞栓症は、他の脳梗塞の病型(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)と比べて梗塞巣が大きく、非常に重症なケースが多いといえます。
例えば、アテローム血栓性脳梗塞では、初めに右手に軽い麻痺が起こり、翌日に下肢の麻痺が起こり、そのうちろれつが回らなくなるように、徐々に症状が悪化するケースが多いのですが、心原性脳塞栓症では1回の発作で要介護となる患者さんも少なくありません。
また、血栓が溶けて血流が再開したときに、出血性脳梗塞を起こして死亡する患者さんもみられます。
実際、脳梗塞の病型別に退院時の重症度を検討したデータを見ると、心原性脳塞栓症では寝たきりや死亡が非常に多く、脳梗塞の中で最も予後が悪い疾患といえます。

心原性脳塞栓症の再発

心原性脳塞栓症の急性期には、再発が多いことが知られています。

なぜなら、発作が起こっても、まだ血栓が心臓に残っている場合があるからです。
そこで、発症早期から抗凝固療法が出血性梗塞を助長して死亡するケースも少なくありません。
特に、梗塞巣が非常に大きな非常に大きな場合や高齢者、高血圧症や糖尿病を合併している患者さんは出血しやすいので、発症後24~48時間後にCTで出血がないことを確認してから抗凝固療法を開始します。

一方、それ以外の心原性脳塞栓症に対しては、発症早期から抗凝固療法を開始します。
具体的には、即効性のあるヘパリンを開始し、同時にワルファリンの経口投与を始めます。
なお、条件が整っていれば血栓溶解療法(tPA療法)を行います。

心房細動と心不全の合併

心房細動も心不全も年齢とともにかかる人が増え、社会の高齢化によってそれぞれの患者数は増加している。
心房細動は60歳以上、心不全75歳以上から有病率が増加する。

日本における心不全観察研究では、心不全患者さんの約40%に心房細動が合併していると報告されている。
合併の理由としては、心不全では左房圧の上昇とそれに伴う左房筋の過伸展などの負荷が心房細動につながるほか、心房の内皮細胞が傷つきやすくなるためと考えられる。
一方、心房細動になると心機能低下や心拍出量の低下により、心不全を発症しやすくなる。

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