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排卵検査薬で妊娠判定はできる?妊娠検査薬との違い
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約3分19秒で読めます.
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排卵検査薬で妊娠判定はできる?妊娠検査薬との違い

ドラッグストアや薬局では、排卵日検査薬や妊娠検査薬といったセルフチェック用の検査薬が日常的に販売されています。しかし、ときおり「排卵検査薬でも妊娠しているかどうかわかるんですか?」「陽性反応がずっと続いているんですけど妊娠ですか?」という声を耳にすることがあります。
排卵検査薬と妊娠検査薬は何が違う?
まず最初に、基本的な知識として「何を検出している検査薬なのか」を押さえておきましょう。
検査薬の種類 | 検出対象のホルモン | 検出のタイミング | 主な使用目的 |
---|---|---|---|
排卵検査薬 | LH(黄体形成ホルモン) | 排卵の約24〜36時間前 | 排卵日を予測する |
妊娠検査薬 | hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) | 着床後(排卵から約1〜2週間後) | 妊娠を判定する |
このように、検出しているホルモンが違うため、通常は検査薬の「目的」もまったく異なります。
排卵検査薬は「妊娠しているか」まではわからない
結論から言うと、排卵検査薬で妊娠の判定はできません。
排卵検査薬が検出するLH(黄体形成ホルモン)は、排卵前に一時的に大量分泌されるホルモンです。排卵が近づいた時期(LHサージ)に尿中のLH濃度が急上昇することで、検査薬が陽性になります。
ただし、LHは妊娠によって急上昇するわけではないため、「排卵検査薬で陽性反応が出た=妊娠している」とはなりません。
でもなぜ「排卵検査薬で妊娠反応が出た」という噂があるのか?
インターネット上には、
「排卵検査薬で陽性がずっと続いてたから妊娠してると思ったら、やっぱり妊娠してた!」
というような体験談が見受けられます。
この現象の原因は?
妊娠するとhCG(妊娠ホルモン)が分泌されますが、hCGの構造はLHに非常に似ており、排卵検査薬がhCGに「反応してしまう」ことがあるのです。
つまり、排卵検査薬の誤検出として「偽陽性(擬陽性)」が出る可能性があるということになります。
実際のところ…
・一部の排卵検査薬はhCGを検出してしまう設計になっている
・妊娠中の尿中hCGが排卵検査薬のテストラインを陽性に見せることがある
・ただし正確に妊娠を判定する目的では作られていない
排卵検査薬で妊娠判定するのは“自己流”の応用にすぎない
インターネットでは、「妊娠検査薬の代わりに排卵検査薬を使って妊娠を確認した」という方法が紹介されることもありますが、これはあくまで正式な使用法ではありません。
排卵検査薬で妊娠判定するリスク:
・LHの体内濃度に個人差があり、擬陽性・擬陰性が多い
・着床前のhCG分泌は不安定で、反応が出る時期もばらつきがある
・製品によって感度や誤反応の起こりやすさも異なる
製品の添付文書にも、「本品は妊娠の判定を目的としたものではありません」と明記されています。
妊娠の有無を知りたいなら、妊娠検査薬を使用するべき
◆妊娠検査薬の特徴:
・妊娠すると、着床後に胎盤からhCGが分泌され始める
・一般的に生理予定日から1週間後以降に反応が安定
・ほとんどの市販品がhCG濃度25mIU/mL以上で陽性反応を示す
◆使い方のポイント:
・朝イチの尿が推奨されるのは、hCG濃度が最も高いため
・判定時間(通常は5分以内)を守ることで偽陽性の読み違いを防げる
排卵検査薬が“陽性のまま続く”のは妊娠ではなく他の原因も
排卵検査薬で陽性反応が長期間続いている=妊娠?…とは限りません。ほかにも以下のような要因があります。
主な誤判定原因:
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群):LH濃度が慢性的に高いため常に陽性になりやすい
・ホルモン異常・排卵障害:LHサージがないのに反応が出る
・検査の時間や方法が適切でない:尿の濃さ、採取時間、保存状態などの影響
・hCGとの交差反応:妊娠時、微量hCGをLHと誤検出
妊活中の誤解を防ぐには:薬剤師ができるアドバイス
薬局現場では、排卵検査薬と妊娠検査薬の違いを混同している患者さんも少なくありません。
アドバイスの例:
「排卵検査薬は“これから排卵しそう”を予測するもの。妊娠しているかどうかを知るには、妊娠検査薬をご使用ください」
「妊娠の可能性がある場合は、生理予定日1週間後以降に妊娠検査薬でご確認いただくのが確実です」
「排卵検査薬で陽性が続いて不安なときは、婦人科受診もおすすめします」
まとめ:排卵検査薬で妊娠判定は“できそうで、できない”
結論として、排卵検査薬は妊娠を判定する目的では使えません。一部の検査薬が妊娠中にhCGを検出してしまうケースはありますが、それはあくまで偶然の副反応にすぎず、正確性や信頼性に欠けます。
妊娠の有無を知りたいときは、必ず妊娠検査薬を使用するようにしましょう。誤解を防ぐためにも、薬剤師として正しい知識を持ち、わかりやすい説明ができることが求められます。