2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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メトホルミン1日1回500㎎で効くのか?

イニシンクは1日1回服用でいい?

イニシンク配合錠の用法は、「通常、成人には1日1回1錠(アログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg)を食直前又は食後に経口投与する。」となっており、メトホルミンの1日量としては500㎎となっている。

メトグルコの通常用量が、「通常1日750〜1,500mg」なので、1に500㎎では少ない。用法も通常1日2〜3回となっており、1日1回という形ではない。
イニシンク以外のメトホルミン配合剤のメトホルミン含有量は、
エクメットLD:1日500㎎(1日2回)
エクメットHD:1日1000㎎(1日2回)
メタクトLD:1日500㎎(1日1回)
メタクトHD:1日500㎎(1日1回)
メトアナLD:1日500㎎(1日2回)
メトアナHD:1日1000㎎(1日2回)

メタクト配合錠もメトホルミン含有量に関してイニシンクと同じ1日1回500㎎でした。

イニシンクが1日1回500㎎となっている理由は以下の通り。

イニシンクの添付文書に記載されている第3相試験では、アログリプチンの投与量は25mgとし、メトホルミンについて500mgを1日1回の群と250mgを1日2回の群に無作為に割り付け、24週間併用投与した。その結果、HbA1cの変化量に差は無く、非劣勢であることが示された。

このことから、アログリプチン25mgの組み合わせとして、メトホルミンの用法を1日2回から1回に変更しても、有効性は変わらないと考えられる。特に、夕食後は外食などの影響から飲み忘れが多いとされており、1日1回朝食後の服用とすることで、服薬アドヒアランスの向上が期待できる。


糖尿病患者は基本的に面倒くさがりな人が多いから、1日複数回の用法では飲み忘れが生じやすいので、1日1回の用法で済む薬のほうがウケはいいのだろう。

イニシンク配合錠は新薬?

イニシンク配合錠というネシーナとメトグルコの合剤が2016年11月に薬価収載される。

新医薬品一覧表(平成28年11月18日収載予定)

このイニシンクですが、14日ルールの制限の例外に記載されておらず、新薬扱いなのだそうだ。
平成28年11月薬価収載予定の新薬のうち14日ルールの制限を外すもの
ミカトリオと、ミケルナ点眼のみ14日ルールの制限が外されている。

なぜネシーナとメトグルコの合剤が新薬扱いなのか?
その理由は用法にあるようだ。

イニシンクの用法

通常、成人には1日1回1錠(アログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg)を食直前又は食後に経口投与する。

ネシーナの用法

通常、成人にはアログリプチンとして25mgを1日1回経口投与する。

メトグルコの用法

通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日750~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,250mgまでとする。
通常、10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日500~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,000mgまでとする。

上記のメトグルコの用法がキーポイントで、1日2~3回という用法しか認められていない。
1日1回という用法のイニシンクは、そのために新薬扱いなのだそうだ。

イニシンクを使うには、ネシーナ25mg→イニシンク配合錠か、メトグルコ250mg1日2回→イニシンク配合錠というルートになる。
イニシンクで効果不十分の場合、さらにメトグルコをオンするという形になりそうだ。
イニシンクの薬価は174.20円と、ネシーナ錠25mgと同じ薬価で、メトグルコ分の薬価を得する形にはなる。医療費削減にシビアになれば使うメリットもありそうだが、正直売れないだろうな。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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