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長時間型と短時間型GLP-1作動薬の違いは?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約3分2秒で読めます.
4,688 ビュー. カテゴリ:GLP-1受容体作動薬の作用時間
GLP-1受容体作動薬には現在、
バイエッタ(エキセナチド)
リキスミア(リキシセナチド)
ビクトーザ(リラグルチド)
ビデュリオン(エキセナチド)
トルリシティ(デュラグルチド)
の5種類があります。
GLP-1受容体作動薬は、消化管に作用して胃内容排出遅延を引き起こす。
それにより、腸管からのグルコースの吸収が遅延・抑制され、インスリン非依存的に食後血糖値の上昇が抑えられる。
胃内容排出遅延の強さは、GLP-1受容体作動薬の作用持続時間の違いにより差が見られる。
長時間作用型:ビクトーザ(1日1回)、ビデュリオン(1週1回)、トルリシティ(1週1回)
短時間作用型:バイエッタ(1日2回)、リキスミア(1日1回)
リキスミアは1日1回の用法なので長時間作用型かと思いきや短時間。用法だけではわからない。
バイエッタ:Tmax:1.5時間 T1/2:1.27時間
リキスミア:Tmax:1.50時間 T1/2:2.01時間
ビクトーザ:Tmax:7.5~11時間 T1/2:10~11時間
ビデュリオン:Tmax:48.1時間 T1/2:データなし
トルリシティ:Tmax:50.33時間 T1/2:108時間
長時間作用型はGLP-1受容体を持続的に刺激することにより、耐性が生じ、胃内容排出遅延作用はやがて減弱する(タキフィラキシー)との報告がある。
一方、短時間作用型はGLP-1受容体への刺激が間欠的であるため、胃内容排出遅延作用が減弱しにくい。
そのため短時間作用型は長時間作用型と比較して食後血糖改善効果が強いと考えられる。
一般に、短時間作用型GLP-1受容体作動薬は、投与開始初期に悪心などの消化器系の副作用が起こる頻度が高いため、リキスミアは低用量から漸増する。
BPT
空腹時血糖を改善する基礎インスリンと、食後血糖値の低下作用が強い短時間作用型GLP-1受容体作動薬の併用療法はBPT(Basal-supported Prandial GLP-1RA Therapy)と呼ばれ、経口薬に加えてインスリンを1日1回注射するBOT(Basal-supported Oral Therapy)と、強化インスリン療法:BBT(Basal-Bolus Therapy)の中間に位置付けられている。
BOTから治療強化する場合や、インスリン投与量の温存を目的にBBTからステップダウンする場合などに行われる。
インクレチン関連薬
インクレチン関連薬は、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬とジペプジルペプターゼ(DPP)-4阻害薬に大別される。
GLP-1受容体作動薬は生理的レベルを大きく超えた活性型GLP-1濃度上昇効果を示すため、DPP-4阻害薬には見られない食欲抑制や体重減少といった膵外作用を期待して処方されることが多い。
GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は、膵β細胞膜上のGLP-1受容体に作用することで血糖依存性のインスリン分泌促進作用やグルカゴン分泌抑制作用を示す薬剤です。
膵β細胞膜上のGLP-1受容体に結合し、グルコースの代謝により生じたATPからcAMPの産生を促進させることにより、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させる。
さらに、血糖値が高い場合には、膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制する。
GLP-1受容体作動薬は、投与により生理的レベルを大きく超えた活性型GLP-1濃度の上昇を示す。
同じインクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬を投与した際のGLP-1濃度は生理的レベルにとどまることから、GLP-1受容体作動薬は、DPP-4阻害薬には見られない食欲抑制や体重減少などの膵外作用を期待して処方されることが多い。
【GLP-1受容体作動薬の副作用】
主な副作用は投与初期に見られる消化器症状であり、漸増投与を行うことで発現リスクを回避する(連日投与型の製剤のみ)。血糖依存的に作用を示すことから、単剤では低血糖リスクは低いとされる。
ただし、SU薬やインスリン製剤併用例では重症低血糖を起こす恐れがあることから、併用時にはSU薬やインスリン製剤の減量を考慮する。
また、急性膵炎の報告があり、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などがあらわれた場合には、急性膵炎の可能性を疑う。
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