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サラジェンとサリグレンの違いは?
公開. 更新. 投稿者:栄養/口腔ケア.この記事は約4分36秒で読めます.
12,972 ビュー. カテゴリ:ドライマウスに使われる薬は?
サラジェンとサリグレンどっちがいい?
「サラジェンとサリグレンの違いは何ですか?」と聞かれて困る私です。
唾液分泌を促す口腔乾燥症治療薬として、サラジェン(ピロカルピン塩酸塩)、サリグレン/エボザック(セビメリン塩酸塩)があります。
サリベートエアゾールという唾液の成分のスプレーもありますが。
サラジェンもサリグレンもコリン作動薬。
ピロカルピンといえば私の学生時代にも学習したような古い薬、基本的な薬で、コリン作動薬(副交感神経刺激薬)です。
抗コリン薬のアトロピンとセットで覚えます。
医薬品としては、抗コリン薬のほうが多く使われている。
ブスコパンなどの鎮痙薬、パーキンソン病に使われる抗コリン薬、他にも抗コリン作用を持つという薬は、抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン系薬、抗うつ薬など数多くある。
なので、コリン作動薬と聞くと、副作用が多いんじゃないかと思ってしまいます。
もともとサラジェンやサリグレンなどが処方されるシェーグレン症候群、リウマチ系の患者さんだと、色々な薬を飲んでいて様々な副作用の訴えも聞くので、作用と副作用がさらに複雑になる感じ。
ピロカルピンとセビメリンの違いは?
よくある副作用としては発汗。唾液分泌と発汗、鼻水、涙などの分泌物増はイメージしやすい副作用なので、患者も理解しやすい。
シェーグレン症候群、ドライシンドローム(乾燥症候群)的な患者さんだと、ドライマウスだけでなく、ドライアイ、ドライスキンなども伴うことが多いので、涙液、汗の分泌増がプラスに働くこともありそう。
サラジェンの添付文書には「本剤投与中,過度に発汗し十分な水分補給が出来ない場合には脱水症状を引き起こす可能性があるので,このような状況が考えられる患者には担当医師に相談させること。」とあり、特に夏場の脱水症状、熱中症には注意を要する。
臨床試験の成績によると、サラジェンによる多汗は40.6%で、エボザックによる多汗は3.9%とあり、その他の副作用についてもサラジェンのほうが多い。
その分効果も落ちるのかも知れないけど、サラジェンで副作用が気になる場合は、サリグレン/エボザックに替えてみる。
薬物動態のパラメータ的には、
サラジェンの最高血中濃度到達時間が約0.8~1.1時間、半減期が約1.2~1.6時間。
エボザックの最高血中濃度到達時間が1.5時間、半減期が約4時間。
用法はどちらも1日3回ですが、エボザック/サリグレンのほうが持続性がある。
唾液分泌促進剤
一般の人には馴染みのない薬ですが、唾液を出す薬というのがある。
ドライマウスを訴える患者さんでも、あまり処方されているのを見たことがない。
処方を躊躇する薬なのだろうか。
あるいは、ドライマウスで死ぬことは無い、と軽んじられているのだろうか。
唾液の分泌量を増やす治療としては、適応があれば唾液分泌促進剤の投与が最も有効だ。
これらの薬剤を使用すると、唾液の分泌量が確実に増え、それに伴って自覚症状も大きく改善される。
唾液分泌促進剤のピロカルピン塩酸塩を投与し、唾液分泌量を増加させると、抗真菌薬を併用しなくてもカンジダの菌数が減ることがわかっている。
この薬剤の適応となる頭頚部領域の放射線治療に伴う口腔乾燥症のある患者さんでは、ほぼ100%の確率でカンジダに感染することから、早期に治療を開始することが望まれる。
唾液分泌促進剤の十分な効果を得るには、最低1年は継続して服用する必要がある。
数カ月で中止すると、唾液の分泌量は再び減少するため、できるだけ長期間服用したほうがよい。
副作用としては、交感神経刺激作用に伴う多汗、嘔気、頻尿など。
この薬を長期間継続するには、副作用の中でも多汗のコントロールが特に重要で、投与法など工夫を凝らすことが大切だ。
また、患者さんへの服薬指導も重要であり、唾液は単なる水分ではないことや薬の服用を止めると効果がなくなること、また薬を長く飲むことで患者さんの日々の生活に潤いが生まれる(パサパサしているものが食べられる、味覚が感じられる、食べ物が飲み込みやすいなど)ことなどを説明すると良い。
唾液の分泌量は徐々に増加し、1年程度は増加していくと考えられる。
効果の減弱を恐れ、症状が重くなってから治療を開始する医師もいるようですが、早期に治療を開始したほうがよい。
サリグレンで耳が痛くなる?
サリグレン(セビメリン塩酸塩)は、口腔乾燥症に使われる、唾液の分泌を促す薬です。
同じ成分でエボザックという薬もある。
どっちがメジャーなのだろうか。あまり処方されないのでわからない。
このサリグレン/エボザックに耳痛という副作用があるらしい。
添付文書の副作用を調べても、頭痛はありますが、耳痛の記載は見当たらない。
しかし、唾液分泌過多になると、耳の周囲が痛むことがあります。
同効薬のサラジェン(ピロカルピン塩酸塩)には、「耳痛,中耳炎,難聴,耳鳴」という副作用の記載がある。
唾液と耳の痛みを連想しないことがあるので注意です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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1 件のコメント
サリグレン服用2年半目で全身の皮膚に針でチクチク刺す
様な我慢出来ない症状が1日数回出現、主治医からサリグレンの副作用かもしれないと言われ中止、サリベートに変更 皮膚は改善
その後サラジェンをアレルギーチェックのため試し飲みを
勧められ1日1錠、服用したその日からサリグレンと同様の副作用
がでて どちらもダメでした。