記事
メーゼントはCYP2C9*3/*3を保有する患者に禁忌?
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約2分58秒で読めます.
2,246 ビュー. カテゴリ:CYP2C9*3/*3
薬剤師の皆さんおなじみ?のCYP2C9に関する話。
多発性硬化症治療薬「メーゼント」の禁忌に、「CYP2C9*3/*3を保有している患者」という記載がありました。
なんすか?それ。
CYP2C9はわかります。薬物代謝酵素。
「*3/*3」の部分がわかりません。
「CYP2C9*1/*3又は*2/*3を保有する患者については、維持用量は1日1回1mgとすることが望ましい。」という記載もあります。
CYPが欠損していたり、著しく低い患者のことをPM(poor metabolizer)というのは聞いたことがあります。そこの関連の表記らしい。
CYPは酵素活性(代謝能)の高い順にultra-rapid metabolizer(UM)、extensive metabolizer(EM、通常の代謝能に相当)、intermediate metabolizer(IM)、poor metabolizer(PM)に分類されます。
遺伝子多型
同じ種に属する生き物では、個々のDNA塩基配列はほとんど同じですが、わずかな違い(個体差)があります。
DNA塩基配列の個体差が、その種が属する集団内でまれにしかみられない場合と、比較的多く見られる場合(頻度:1%以上)があります。この比較的多くみられるタイプを「遺伝子多型(genetic polymorphism)」と呼びます。
遺伝子多型の変異遺伝子(変異型アレル)は、遺伝子名に*(アスタリスク)と数字を付けて表記する。*1は野生型アレルを示す。
集団のなかで最も多く存在している配列の対立遺伝子を「野生型アレル」と呼びます。野生型遺伝子と異なる配列をもった対立遺伝子は「変異アレル」と呼ばれます。
アレル:相同染色体を細かく解きほぐしてみると、細い二重のDNA鎖からなり、そのなかでたくさんの「遺伝子」が並んでいることがわかってきました。このような対をなす相同染色体上に並ぶ遺伝子を、互いに「対立遺伝子(アレル)」と呼びます。
CYP2C9の遺伝子多型
日本人に頻度の高い多型として,第359アミノ酸のイソロイシンからロイシンへの置換(*3 アレル)がある.このアミノ酸置換をもつ場合,薬物代謝活性が野生型(*1 アレル)に比して 5%以下に低下する.
「CYP2C9*1/*1」が通常のCYP2C9で、そのほかに「*1/*2」「*1/*3」「*2/*2」「*2/*3」「*3/*3」の計6種類があることになる。数字が同じだとホモ接合、違うとヘテロ接合。
2C9*3による代謝阻害は日本人の約2~4%に認められるとされるので、かなり多い。
メーゼントを投与する前にゲノム解析すべきということだ。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。