2025年3月25日更新.2,494記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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放射線治療とアルロイドG

放射線療法とアルギン酸ナトリウム

頭頚部のがんとか、肺癌や食道癌で放射線治療を行っている患者に、アルロイドG内用液が処方されることがある。

使用目的を患者に聞くと、炎症を抑える目的のようだ。

放射線治療を行った部位が火傷のようになり、口内炎や食道炎を起こすのだそうだ。
これらの影響で、食事に関するQOLが著しく低下するという。

アルギン酸ナトリウムは、コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズクなどの海藻類に含まれるヌメリ成分(多糖類)で、粘膜保護作用や止血作用があり、びらん部や出血部を覆って保護する働きがある。
放射線で炎症を起こした部位を保護して、治癒を促進するのだろう。

アルロイドG内用液(アルギン酸ナトリウム)やアルサルミン内用液(スクラルファート)などが使われることがある。
液剤が嚥下しやすいので良い。

しかし、アルロイドGやアルサルミンに放射線口内炎や放射線食道炎に適応があるわけではないので、適応外で処方されている。
放射線口内炎や放射線食道炎といった病名の適応を持つ薬は、そもそもない。

放射線照射では皮膚炎が多いので、「放射線皮膚炎」という病名であれば、エキザルベ、オイラゾンクリーム、オイラックスHクリーム、クロマイ‐P軟膏、グリメサゾン軟膏、テラ・コートリル軟膏、トプシムクリーム、パンデル軟膏、フルコートクリーム、マイザー軟膏、リンデロン−V軟膏、レダコート軟膏、強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏などの外用薬があるが、口の中や食道に塗ることはできない。ちなみにジルダザック軟膏の適応には「放射線潰瘍」と書かれている。

放射線ではいわゆる放射線酔い(放射線宿酔)という消化器症状、全身倦怠感といった二日酔いに似た症状が出ることも多い。
カイトリル「放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」、ドラマミン錠「放射線宿酔」、ピドキサール「放射線障害(宿酔)」、プリンペラン「放射線照射時の消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)」といった薬に適応がある。

放射線治療で骨髄の造血組織が損傷を受ければ、白血球減少という副作用も生じる。
ハイコバールカプセル「放射線による白血球減少症」、ハイチオール錠「放射線障害による白血球減少症」、ロイコン錠「放射線曝射ないし薬物による白血球減少症」、セファランチン「放射線による白血球減少症」などが適応を持つ。

頭頚部への放射線照射であれば、口腔乾燥症状もあり、サラジェン「頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善」、サリベート「頭頸部の放射線照射による唾液腺障害に基づく口腔乾燥症」に適応がある。

放射線治療に伴う症状に適応を持つ薬は限られているので、アルロイドGのような適応外の薬でも処方される。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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