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ネオーラルとスタチンは併用禁忌?
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約2分23秒で読めます.
8,209 ビュー. カテゴリ:ネオーラルとスタチン
ネオーラル(シクロスポリン)の併用禁忌に、
「タクロリムス(外用剤を除く)、ピタバスタチン、ロスバスタチン、ボセンタン、アリスキレンを投与中の患者」
とある。
プログラフ、リバロ、クレストール、トラクリア、ラジレス。
けっこう使いそうな薬なので要注意。
この中でスタチン系、リバロとクレストールの併用についてみてみると、
本剤により、これらの薬剤の血漿中の濃度が上昇(ピタバスタチン:Cmax6.6倍、AUC4.6倍、ロスバスタチン:Cmax10.6倍、AUC7.1倍)する。
と記載されている。
メバロチン、リポバス、ローコール、リピトールは併用注意にとどまっている。
筋肉痛、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とした急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいので、患者の状態を十分に観察すること。
と記載されている。
シクロスポリンとスタチン併用時のAUCの増加率
スタチン AUC増加率
メバロチン 5-12倍
リポバス 3-8倍
ローコール 3倍
リピトール 6-9倍
リバロ 5倍
クレストール 7倍
ほかのスタチンもダメじゃん。
疑義照会して、
薬剤師「リバロとネオーラルは併用禁忌なのですが・・・」
医師「じゃあ何ならいい?」
薬剤師「リバロとクレストール以外は禁忌ではないです」
医師「じゃあリピトールで」
これじゃあダメってことか。
逆にリバロやクレストールでも横紋筋融解症に注意して処方すれば問題ないのかな。
リバロとネオーラル
相互作用と聞くと、CYP3A4なのかな、みたいに頭に浮かぶ。
しかしリバロは、肝チトクロームP450(CYP)によりほとんど代謝されない(CYP2C9でわずかに代謝される)とのこと。
リバロの添付文書に、
ピタバスタチンの肝臓への取り込みに有機アニオントランスポーターOATP1B1(OATP-C/OATP2)が関与しており、シクロスポリン、エリスロマイシン及びリファンピシンによって取り込みが阻害された。
と書かれている。
出ました「有機アニオントランスポーター」
相互作用の話になると最近出てくる。
相互作用はますますややこしくなってくる。
リポバスとネオーラル
リポバスの添付文書が改訂されていて、OATP1B1の記載が見られた。
シクロスポリンはCYP3A4を阻害し、併用により本剤の代謝が抑制されるおそれがある。シクロスポリンのOATP1B1阻害作用により、本剤のオープンアシド体の肝取り込みが抑制され、血漿中濃度が上昇するおそれがある。腎障害のある患者には特に注意すること。
リポバスとネオーラルの相互作用は、CYP3A4のみならず、OATP1B1による影響も考えられる。
ネオーラルと併用しても比較的安全なスタチンはローコール
ネオーラルと併用しても比較的安全なスタチンとしては、ローコールが挙げられます。
添付文書では、併用注意となっていますが、同薬とシクロスポリンを併用した臨床試験で、臨床上有意な相互作用を認めず、臨床上有意な相互作用を認めず、これら2剤による副作用が報告されなかったという知見があるからです。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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