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ルプキネスとネオーラルの違いは?
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約2分27秒で読めます.
355 ビュー. カテゴリ:ボクロスポリンとシクロスポリン
ルプキネスとネオーラルは似た薬?
ルプキネスカプセル(ボクロスポリン)という免疫抑制剤が2024年11月20日に薬価収載される。
ボクロスポリンという名前から推測できるように、シクロスポリンと同じカルシニューリンインヒビターである。
ルプキネスの適応症は「ループス腎炎」のみである。
ネオーラルの適応症は、次の通り様々な疾患に使われる。
〇下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
〇骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
〇ベーチェット病(眼症状のある場合)、及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る)
〇尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎
〇再生不良性貧血、赤芽球癆
〇ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)
〇全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)
〇アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)
〇細胞移植に伴う免疫反応の抑制
ループス腎炎もあるかと思ったら無かった。
ループス腎炎に適応のある薬は、プログラフ(シクロスポリン)、セルセプト(ミコフェノール酸 モフェチル)、ブレディニン(ミゾリビン)の3種。ループス腎炎は全身性エリテマトーデスによって生じるので、全身性エリテマトーデスまで適応症に含めるとステロイドなども入る。
ルプキネスの投与開始時は、「原則として、副腎皮質ステロイド剤及びミコフェノール酸 モフェチルを併用すること。」となっているので、ステロイドとセルセプト、そしてルプキネスの3種を併用することになる。
ルプキネスの用法は「通常、成人にはボクロスポリンとして1回23.7mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。」となっている。
食事に関する服用時点の記載は無い。
食事の影響については、「健康成人にボクロスポリン23.7mgを単回経口投与した時、絶食時投与に比べ食後(高脂肪食)投与ではCmax及びAUCはそれぞれ0.91倍及び1.14倍であった。」との記載がある。
ネオーラルやプログラフでは食前のほうが吸収がよいが、ルプキネスについては食後のほうがわりかし吸収が良い。ただし、さほど大きな影響ではない。
ルプキネスの併用禁忌
併用禁忌については、ルプキネスとネオーラルは全く違う品目が並ぶ。
ネオーラルの併用禁忌は、「タクロリムス(外用剤を除く)、ピタバスタチン、ロスバスタチン、ボセンタン、アリスキレン、グラゾプレビル、ペマフィブラート」なのに対し、
ルプキネスの併用禁忌は、「強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、アタザナビル硫酸塩、ダルナビル エタノール付加物、ホスアンプレナビルカルシウム水和物、コビシスタット含有製剤、クラリスロマイシン含有製剤、セリチニブ、エンシトレルビル フマル酸)」となっている。
構造式も代謝経路もさほど違わないのに、これだけ併用禁忌薬が違うのは不思議。いずれも併用禁忌ではなくとも併用注意には並んでいるような薬なので、それぞれ注意は必要。
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