記事
シムビコートは発作時にも使える?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約5分58秒で読めます.
5,748 ビュー. カテゴリ:SMART療法
シムビコートって発作時にも使えるの?
喘息治療の基本として、発作時に使う発作治療薬(リリーバー)と、予防に使う長期管理薬(コントローラー)を使い分けます。
フルタイドなどのステロイド吸入剤や、セレベントなどの長時間作用型β2刺激薬はコントローラーです。
サルタノールなどの短時間作用型β2刺激薬やステロイドの内服薬は発作時に使うリリーバーです。
フルタイドとセレベントの合剤であるアドエアはコントローラーの位置づけです。
シムビコートは吸入ステロイドのパルミコートと長時間作用型β2刺激薬のフォルモテロールの合剤です。
そのため、コントローラーの位置づけだと思いますが、発作時にも使えるとのこと。
維持療法として1回1吸入あるいは2吸入を1日2回吸入している患者に対して、発作発現時にシムビコートを頓用で追加吸入させる治療法を、「SMART(single inhaler maintenance and reliever Therapy)療法」と呼びます。(以前は、Symbicort maintenance and reliever Therapyの略とされていた)
シムビコートを喘息の長期管理薬と発作治療薬の両方の目的で用いると、速やかな発作症状の改善とともに、その後の喘息増悪についても抑制できることが示されている。ただし、シムビコートは、頓用のみでの使用は、認められていない。
シムビコートは1分で効く?
シムビコートは優れた気管支拡張効果を有し、吸入1分後から有意に呼吸機能を回復させます。
ホルモテロールの気管支拡張作用は12時間持続することが報告されています。
その一方で作用の発現も速やかで、1吸入単回投与時に1分後より呼吸困難感が軽減し、3分以内には肺機能の有意な改善が認められています。
海外では発作時の使用も認められており、コントローラーとしてもリリーバーとしても使われています。
シムビコートは1日何回まで?
シムビコートが発作時にも使えるようになって、1日何回まで使っていいんだか、あいまいだったので調べなおす。
通常、成人には、維持療法として1回1吸入(ブデソニドとして160μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として4.5μg)を1日2回吸入投与する。なお、症状に応じて増減するが、維持療法としての1日の最高量は1回4吸入1日2回(合計8吸入:ブデソニドとして1280μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として36μg)までとする。
維持療法として1回1吸入あるいは2吸入を1日2回投与している患者は、発作発現時に本剤の頓用吸入を追加で行うことができる。本剤を維持療法に加えて頓用吸入する場合は、発作発現時に1吸入する。数分経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入する。必要に応じてこれを繰り返すが、1回の発作発現につき、最大6吸入までとする。
維持療法と頓用吸入を合計した本剤の1日の最高量は、通常8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入(ブデソニドとして1920μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として54μg)まで増量可能である。
まず、維持療法として1回1吸入あるいは2吸入使っている患者は発作時にも追加して使える、とのこと。
維持療法として1回3吸入あるいは4吸入使っている患者については発作時の追加はできない、ということになる。
恐らく、維持療法としてそれだけの量を使っている患者に、発作時に同じシムビコートを1吸入程度使っても、大した効果が期待できないということなのだろう。ステロイドの量も過量になるので、発作時にはメプチンとかサルタノールを使ってもらったほうが良いということか。
しかし1回3吸入で使っている患者に対しても、「発作時にも使っていいよ」と医師から伝えられていることがある。
処方せん上の指示であれば疑義照会をしたりするかも知れないけど、口伝えの指示だったりすると、どこまで介入すべきかわからなくなる。
通常1日8吸入、最大12吸入まで、と覚えておこう。
シムビコートの定期吸入
定期吸入と頓用吸入の両方に使用できるとはいえ、吸入回数には上限がある(通常1日8吸入まで。医師の指示がある場合は、一時的に1日12吸入まで可能)そのため、1回3〜4吸入で1日2回の定期吸入を行っている患者はSMART療法の対象外だ。
シムビコートの特徴
吸入ステロイド・β2刺激薬配合剤。
吸入1分後から呼吸機能改善効果が発現。
1つの剤型で用量調節が可能。
効果は実感できたほうがいい?
効果を実感できたほうがコンプライアンスはいいです。
当然か。
喘息で使う吸入ステロイドは、速効性があるわけではないので、患者さんが効果を実感しにくいです。
そのため、効果を実感しやすい発作止めのβ2刺激薬のみに依存してしまう患者さんもいます。
「シムビコート」は吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の合剤で、発作止めのβ2刺激薬並みに効果発現が早いといいます。
それだけ患者さんが効果を実感しやすいということで、コンプライアンスのいい薬剤として期待されます。
フルアゴニストとパーシャルアゴニスト
β2刺激薬にはフルアゴニスト(完全作動薬)とパーシャルアゴニスト(部分作動薬)があります。
フルアゴニストは一部(約5%)のβ2受容体を占有するだけで100%の効果を発揮しますが、パーシャルアゴニストは受容体を100%を占有したとしても100%の効果が起こらないとされています。
プロカテロール(メプチン)、フォルモテロールはフルアゴニスト、サルブタモール(サルタノール)、サルメテロール(セレベント)はパーシャルアゴニストに属するといわれています。
フルアゴニストはβ2受容体の耐性化を生じやすいが、受容体が減少しても効果の発現には影響されず、パーシャルアゴニストはβ2受容体の耐性化を生じがたいが、受容体の数が減少した場合効果の発現に影響をおよぶ可能性があると考えられています。
以上のことから、フルアゴニストはリリーバーに、パーシャルアゴニストはコントローラーに適しています。
アゴニストとアンタゴニストの違い
アゴニスト(作動薬)もアンタゴニスト(拮抗薬、阻害薬)も受容体にくっついて働く物質です。
受容体にはもともとその受容体にくっつくはずの情報伝達物質が体の中にあります。
その情報伝達物質の代わりに受容体にくっついて作用するのがアゴニスト。
その情報伝達物質が受容体にくっついて作用するのをブロックするのがアンタゴニストというわけです。
アゴニストも結局くっついている間は、情報伝達物質が受容体にくっつくのをブロックしているわけだから、アンタゴニストの働きもしていることになります。
しかも、受容体にくっついてそのままってことではなく、くっついたり離れたりを繰り返すような物質もあったり。
パーシャルアゴニストという言葉も出てきました。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
シンビコートを4月から使用していますが、発作時の即効性に
不安があります。もちろん炎症をおおさえる効果はあるとおもい使用しています。発作時にはメプチンやアロテックなどの気管支拡張吸入薬(アロテックは非常に有効であったのに現在中止されている)の効果に実績のあるものをやはり頼りにします。先日医師から「シンビコートは発作時にも効くのでメプチンは出せないと言われました。メプチンを携帯していなければ、怖くてどこへもいけません。
新薬の効能を説明書通り患者に言っても患者事態が直感的に納不安になることもあり。もし医師の言うとおり発作時にシンビコートしかもってなくそれが8回吸っても効かず重篤な
ったらと思うと恐ろしくなります。病院をかえるつもりです。
コメントありがとうございます。
患者さんの抱く不安に気付かされました。
恐らくシムビコートの速効性について、よく理解している医師や薬剤師の方は、「シムビコートだけで十分」と考えるのだと思います。
私の感覚としても、貴方と同じように、シムビコートのβ2刺激薬は長時間作用型のLABAでセレベントと同様、というイメージで「本当に効くのかなあ」という不安は入り混ざっています。
そういった不安感、不信感が薬効に大きな影響を及ぼすことも考えられます。
その不安を解消するように説明するというのが薬剤師の役割だとも思うのですが、患者さんの使用経験に基づく実感に勝るものはないと思います。
シムビコートで発作時の効果に確証が持てるまでメプチン処方しても良かったんじゃないかなあ、とも思います。
保険請求上の問題があれば、シムビコートをアドエアに替えたりとかでも良いですし。
その医師がシムビコートに色々しがらみがあるのかも知れませんが。
処方に口を出されると不機嫌になる医師もいます。
別の医療機関を受診するという選択は、私もアリだと思います。