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吸入ステロイドの小用量・中用量・高用量製剤の違いは?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約6分0秒で読めます.
8,274 ビュー. カテゴリ:喘息治療のステップ
「喘息予防・管理ガイドライン2018」には以下のような喘息治療のステップが載っている。
治療ステップ1 | 治療ステップ2 | 治療ステップ3 | 治療ステップ4 | ||
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長期管理薬 | 基本治療 | ICS(低用量) | ICS(低~中用量) | ICS(中~高用量) | ICS(高用量) |
上記が使用できない場合、以下のいずれかを用いる LTRA テオフィリン徐放製剤 ※症状がまれなら必要なし | 上記で不十分な場合に以下のいずれかを1剤を併用 LABA(配合剤使用可) LAMA LTRA テオフィリン徐放製剤 | 上記に下記のいずれか一剤、あるいは複数を併用 LABA(配合剤使用可) LAMA LTRA テオフィリン徐放製剤 | 上記に下記の複数を併用 LABA(配合剤使用可) LAMA LTRA テオフィリン徐放製剤 抗IgE抗体 抗IL-5抗体 抗IL-5Rα抗体 経口ステロイド薬 気管支熱形成術 |
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追加治療 | LTRA以外の抗アレルギー薬 | ||||
発作治療 | SABA | SABA | SABA | SABA |
ICS:吸入ステロイド LABA:長時間作用性β2刺激薬 LAMA:長時間作用性抗コリン薬 LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬 SABA:短時間作用性β2刺激薬 抗IL-5Rα抗体:抗IL-5受容体のα鎖抗体
吸入ステロイドの低用量・中用量・高用量というのが、具体的にどのくらいの量なのかがわからない。
同じく「喘息予防・管理ガイドライン2018」に以下のような吸入ステロイドの投与量の目安も記載されている。
薬剤名 | 低用量 | 中用量 | 高用量 |
---|---|---|---|
BDP-HFA(キュバール) | 100~200μg/日 | 400μg/日 | 800μg/日 |
FP-HFA(フルタイドエアゾール) | 100~200μg/日 | 400μg/日 | 800μg/日 |
CIC-HFA(オルベスコ) | 100~200μg/日 | 400μg/日 | 800μg/日 |
FP-DPI(フルタイドディスカス、ロタディスク) | 100~200μg/日 | 400μg/日 | 800μg/日 |
MF-DPI(アズマネックス) | 100~200μg/日 | 400μg/日 | 800μg/日 |
BUD-DPI(パルミコート) | 200~400μg/日 | 800μg/日 | 1,600μg/日 |
BIS(パルミコート吸入液) | 0.5mg/日 | 1.0mg/日 | 2.0mg/日 |
FP/SM(DPI)(アドエアディスカス) | 100μg製剤1吸入1日2回(200μg/100μg) | 250μg製剤1吸入1日2回(500μg/100μg) | 500μg製剤1吸入1日2回(1,000μg/100μg) |
BUD/FM(DPI)(シムビコート) | 1吸入1日2回(320μg/9μg) | 2吸入1日2回(640μg/18μg) | 4吸入1日2回(1,280μg/36μg) |
FP/SM(pMDI)(アドエアエアゾール) | 50μg製剤2吸入1日2回(200μg/100μg) | 125μg製剤2吸入1日2回(500μg/100μg) | 250μg製剤2吸入1日2回(1,000μg/100μg) |
FP/FM(pMDI)(フルティフォーム) | 50μg製剤2吸入1日2回(200μg/20μg) | 125μg製剤2吸入1日2回(500μg/20μg) | 125μg製剤4吸入1日2回(1,000μg/40μg) |
FF/VI(DPI)(レルベア) | 100μg製剤1吸入1日1回(100μg/25μg) | 100μg製剤1吸入1日1回(100μg/25μg)または200μg製剤1吸入1日1回(200μg/25μg) | 200μg製剤1吸入1日1回(200μg/25μg) |
「まあ、ひどくなれば量を増やすんでしょ」という程度に覚えておけばいいや、という感じでしたが、吸入薬指導加算を算定するにあたっては、もう少し詳しく覚えておく必要があるのかも。
というのは、吸入薬指導加算の算定要件に
当該加算に係る吸入指導を行うにあたっては、日本アレルギー学会が作成する「アレルギー総合ガイドライン」等を参照して行うこと。
という記載がみられるからだ。
アレルギー総合ガイドライン2019というのは、代表的なアレルギー疾患に関する12の最新ガイドラインの内容を1冊にまとめたものです。
収載ガイドラインは以下の通り。
「喘息予防・管理ガイドライン2018」
「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」
「鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版(改訂第8版)」
「アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)」
「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018」
「重症薬疹の診断基準」
「接触皮膚炎診療ガイドライン」
「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」
「食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》」
「ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018」
「職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2016」
「アナフィラキシーガイドライン」
ということで、「喘息予防・管理ガイドライン2018」の記載内容もしっかりと確認しておく必要があります。
最近発売された「アテキュラ吸入用カプセル低用量・中用量・高用量」や「エナジア吸入用カプセル中用量・高用量」は何でこんな名称なのだろう、とも思いましたが、ガイドラインを見なくても、治療ステップに応じた処方ができるというわけだ。
吸入ステロイド
・抗喘息薬の中で最も効果的な抗炎症薬である。
・吸入薬は、喘息発症早期に開始することで急性増悪を減少させることが報告されており、すべての喘息患者に対する長期管理薬の第一選択薬として位置づけられる。
・経口薬は、吸入ステロイド薬を最大限に使用しても管理ができない場合に、はじめて選択する。長期管理薬としては、①吸入ステロイド薬を補完する目的、②副腎皮質機能を補充する目的、③全身性の炎症細胞や炎症物質の増多を抑制する目的で使用される。
この薬は喘息の原因である気道の炎症を抑え、気道が狭くなるのを改善し、喘息発作の程度や頻度を軽減する吸入薬です。
気管支の炎症を抑えて、咳の発作や呼吸困難を予防する薬です。
ステロイドホルモンには様々な作用がありますが、喘息治療に使われる吸入ステロイドに期待されている働きは、抗炎症作用です。
プロスタグランジンやロイコトリエン産生阻害、炎症性サイトカイン類の産生阻害などが作用機序として考えられています。
吸入用ステロイド薬は現在の喘息治療において第1選択の中心的薬剤であり、予防維持薬(コントローラー)として必須のものである。
米国FDAでは、これらの吸入ステロイドのうち、唯一パルミコートを「妊婦への安全性カテゴリーB」と高評価している。
局所投与であり、全身作用は経口投与に比し、きわめて少ない。
吸入補助器具(スペーサー)の使用が有効である。
フロンを使用しないパウダー・タイプも開発され汎用されている。
大きく分けて粉のタイプのドライパウダー製剤と、霧のタイプのエアゾール製剤に分けられます。
エアゾール製剤は地球の温暖化で問題となっているフロンガスが使われていることもあり、世界的にはフロンガスが使われていないドライパウダー製剤が吸入薬の主流になりつつあるようです。
エアゾール製剤だと、押すタイミングと吸い込むタイミングを合わせなければならないために、スペーサーを使ったり、吸入手技が難しいです。
その点、ドライパウダー製剤はタイミングを合わせる必要は無いので使いやすいです。
しかし、ある程度吸い込む力が必要になるので、高齢者や幼小児では使えないことがあります。
エアゾール製剤は、一般に嗄声などの局所的副作用はドライパウダー製剤より非常に少ないです。
粒子径は小さいほうが、末梢気道にまで薬剤が到達するのでいいという考えがあります。特に気管支の細い乳幼児には、キュバールなど粒子径の小さい薬がいいかも知れません。
しかし、粒子が小さいと肺胞まで行って全身の血流に乗ってしまうので、全身性の副作用が懸念されます。
アズマネックスやパルミコートは、吸入した感じが非常になく、頼りない感じがします。
アドエアエアーにはカウンターがついていますが、その他のエアゾール剤にはカウンターがついてないので、残量がわかりにくくなっています。その点ではフルタイドディスカスなどはわかりやすいです。
オルベスコは1日1回でいいというのが大きな特徴です。
パルミコートは妊婦への安全性が他のステロイドに比べて1ランク高いです。
代替フロンを用いたキュバールはエアゾル粒子径が微細化され、肺内送達率が上昇している。
キュバールはアルデシンの半量で同等の効果がえられる。
キュバール、オルベスコは末梢気管支への到達率が高いとされる。
オルベスコは肺で活性化される局所活性化型吸入ステロイドのため、口腔内の副作用が少ないとされる。
オルベスコは1日1回の吸入ですむため、アドヒアランスが向上する。
以上を踏まえて考えると、まず若い女性にはパルミコート、自力で吸入できない幼小児にはパルミコート吸入液をネブライザーで吸ってもらうか、キュバールやオルベスコなど粒子径の小さいものをマスク付きのスペーサーで吸ってもらう、自力で吸入できる年齢になったらフルタイドディスカスというような選択がいいでしょうか。
キュバール(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)
・プロドラッグであり、気道や血液中でエステラーゼによる加水分解を受け、活性体である17-BMPとなる。
・気道内滞留時間は約5時間と比較的長い。
・BDP-HFAの平均粒子径は1.1μmと小さい。到達部位は肺胞まで。
フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル)
・脂溶性が高いので、ステロイド受容体への親和性が高く、気道滞留時間が長い。そのため吸入半減期も長い。
・FP-DPIの平均粒子径は5μmと大きいため、中気管支までしか到達しない。それに対し、FP-HFAの平均粒子径は2.8μmと細気管支まで到達するため、臨床的な治療効果に差があると考えられる。
パルミコート(ブデソニド)
・平均粒子径が2.6μmと小さく、細気管支まで到達する。
・BUDは気道組織に吸収された後、比較的速やかに全身循環に吸収されるが、一部は細胞内の脂肪酸とエステル結合し、細胞内に貯蔵され、結果として気道内に長く留まる。
・妊婦に用いても奇形発生率に影響を与えず、小児の発育に影響を与えないというエビデンスがあり、安全性は確立している。
オルベスコ(シクレソニド)
・プロドラッグであり、肺内でエステラーゼにより加水分解され活性代謝物に変換される。さらに脂肪酸と結合し抱合体を形成することで、肺細胞内に長く留まる。そのため1日1回投与になった。
・平均粒子径が1μmと小さく、肺内到達率が52%と高い。
・口腔内付着率が低いことに加え、肺で活性化されるプロドラッグになっているため、嗄声・口腔内カンジダなどの副作用が少ない。
アズマネックス(モメタゾンフランカルボン酸エステル)
・グルココルチコイド受容体に対する親和性が高く、優れた局所抗炎症作用を示す。
・平均粒子径が2μmと小さく、肺内到達率が40%と高い。
・デバイスにツイストヘラーを使用。キャップ開閉のみで1回吸入量が装填され、残量不足状態での誤使用を防ぐためにロックアウト機能も装備している。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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