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ACE阻害薬とARBの併用?
公開. 更新. 投稿者:高血圧.この記事は約5分34秒で読めます.
14,488 ビュー. カテゴリ:ACE阻害薬とARBの併用?
ACE阻害薬とARBって併用していいの?
個別指導などでは、ACE阻害薬とARBがいっしょに処方されていたら、疑義照会するように言われますが、相乗効果を期待した併用というやり方もあります。
高血圧の犯人としてアンジオテンシンⅡという物質が知られています。
このアンジオテンシンⅡの産生を阻害するのが、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)とARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)という薬です。
ACE阻害薬はアンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換する酵素の働きを阻害します。
ARBはアンジオテンシンⅡが受容体に結合して血圧を上昇させるのを防ぐ薬です。
併用すれば、アンジオテンシンⅡの量を減らして、働くのも抑えるという相乗効果になります。
ACE阻害薬とARBを併用したほうが、降圧効果も高いとか、蛋白尿も減るという。
しかし、腎機能を悪化させる可能性もあるようです。
単独の高用量のほうがいいのか?併用したほうがいいのか?については、未だ論争の最中です。
アンジオテンシンとブラジキニン
ACE阻害薬は、AⅡの産生を低下させる作用と、血管を拡張させるブラジキニンの分解を阻害する作用も有しています。
そのためにARBと併用することによってAⅡのさらなる抑制作用と、ブラジキニンの効果も加わり、相加効果が期待されます。
ACE阻害薬とARBの併用は危険?
ACE阻害薬は現在の心不全の治療の中心的存在である。
収縮機能不全による心不全において、心筋の収縮力低下や左室リモデリングにはアンジオテンシンⅡ(AⅡ)が関与しており、ACE阻害薬がAⅡの生成を抑制することで心不全の予後を改善すると考えられている。
レニベースとロンゲスは、心不全への適応を持つ。
AⅡ受容体拮抗薬(ARB)もACE阻害薬と同等に予後を改善することが示されている。
心不全に適応を持つARBとしては、ブロプレスが挙げられる。
日本循環器学会「慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)」では、心不全に対するRA系阻害薬として、まずACE阻害薬を使用し、忍容性がない場合にARBを使用するとされている。
ARBとACE阻害薬はともにRA系を抑制するため、その併用によりさらに心不全に対する効果が得られるとの考えが浮上した。
そこで、その有用性を確かめるべく大規模試験が行われた。
Val-Heft試験では、降圧薬などで治療中の心不全患者を、バルサルタン(ディオバン)追加群とプラセボ追加群に分け、2年間余り追跡調査を行った。
その結果、バルサルタン追加群で「総死亡を含む血管イベント」および「心不全悪化による入院」の相対リスクが低下した。
試験の対象患者は、約93%がACE阻害薬を服用していたことから、この試験はACE阻害薬とARBの併用効果を証明したものと解釈された。
しかし、その後の大規模試験(ONTARGET試験など)で、両薬剤の併用が死亡率を高める、あるいは慢性腎臓病(CKD)を悪化させるといった否定的な結果が相次いだ。
このため、両薬剤の併用は現在では推奨されていない。
また、2014年6月には医薬品医療機器総合機構(PMDA)が両薬剤を併用注意とする旨の添付文書改訂の指示を行った。
ARBとACE阻害薬の併用の効果を検討したONTARGET試験の結果では、その有効性は否定的であり、さらに腎機能の悪化を来す可能性も示唆されている。
ARBとACE阻害薬の違い
ACE阻害薬とARBの違いは、ACE阻害薬はACEという酵素をブロックする薬であり、一方ARBは、アンジオテンシンⅡというペプチドが1型受容体という受容体に結合するのをブロックする薬であるということです。
つまり、ACE阻害薬は酵素阻害薬で、ARBが受容体拮抗薬なのです。
ACEはさまざまなペプチドに影響を与えます。
最も有名なのはもちろんアンジオテンシンⅠです。
したがってACE阻害薬はアンジオテンシンⅠがアンジオテンシンⅡに変換されるのをブロックします。
ところが大切なのは、ACEはアンジオテンシンⅠというペプチドだけに効く酵素ではないということです。
ブラジキニンというペプチドもACEの基質の一つです。
エンケファリン、サブスタンスP、Ac・SDKP、アンジオテンシン(1〜7)など、数多くのペプチドがACEの基質となっています。
ACE阻害薬はそもそもレニン・アンジオテンシン系の研究史から生まれ、アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡをブロックして血圧を下げますが、それ以外にも多面的な作用機序を持っており、それが総合的に総死亡率に影響を与えている。まさに奇跡的な薬です。
一方、ARBはピンポイントに効く薬です。
アンジオテンシンⅡがⅠ型受容体に結合するところをブロックすることで、臨床的なメリットのほとんどを出してくる薬なので、一転主義といえます。
ACE阻害薬は多面的な薬ですので、この両者を同じ薬として見るのは、ちょっと無理があるのです。
つまり、レニン・アンジオテンシン系の中だけでACE阻害薬とARBを比較するというのは間違いで、ACE阻害薬とはそれ以外にも作用機序がたくさんあって、トータル的に効いているということを知っておくことが必要です。
ACE阻害薬よりARBのほうが強い?
アンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを阻害するタイプのACE阻害薬は、ブラジキニンを不活性物質に変換するステップも阻害するために空咳の副作用が発現すること、さらに、レニンやACE以外の酵素によって産生するアンジオテンシンⅡを抑制できないという問題点があります。
これらを克服する高血圧治療薬として登場したのが、アンジオテンシンⅡ受容体桔抗薬(AⅡ桔抗薬、ARB)です。
アンジオテンシンⅡ受容体桔抗薬は、アンジオテンシンⅡのAT1受容体を選択的な標的とし、アンジオテンシンⅡがAT1受容体に結合するのを妨げることにより、アンジオテンシンⅡを介する強力な血管収縮、アルドステロン分泌、さらに細胞増殖を抑制することによって血圧低下作用を発揮します。
このように
AⅡ桔抗薬はプラジキニンに関与していませんので、ACE阻害薬の泣き所である空咳という副作用はありません。
一方、主作用においては、AⅡ桔抗薬はACE以外のキマーゼなどによってつくられるアンジオテンシンをも含めて阻害するため、ACE阻害薬に勝る降圧効果を示しています。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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1 件のコメント
併用による有害性も最近では問題視されてきていますね。
記事の更新を楽しみにしてます。