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新規抗てんかん薬は単剤でも効く?
公開. 更新. 投稿者:てんかん.この記事は約4分34秒で読めます.
3,793 ビュー. カテゴリ:新規抗てんかん薬の単剤使用
ガバペン、トピナ、ラミクタール、イーケプラなどの新規抗てんかん薬。以前は単剤での使用が認められていませんでしたが、徐々に規制が緩和されているようです。
新規抗てんかん薬は単剤での投与が保険請求上認められていなかったので、デパケンとかリボトリールとか、本当は必要ないけど安い薬を一緒に処方して、後から外す、みたいなやり方が行われていることもある。
日本てんかん学会(理事長:兼子直氏・弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座)は6月27日付で「新規抗てんかん薬の単剤使用の適応症承認に関する要望書」を細川律夫厚労相に提出した。海外で単剤治療の適応がある抗てんかん薬について、「可能な限り早期に本邦においても単剤療法に対する適応が得られることを強く望むところです」とし、学会として、新規抗てんかん薬の単剤療法の国内臨床試験の推進、単剤療法の早期承認に向けたスムーズな審査を要望している。
要望書では、2006年以降新規抗てんかん薬が4剤承認され、「これら新規抗てんかん薬の投与により、既存の抗てんかん薬では発作のコントロールが不十分だった患者さんにおいて発作の消失がみられる場合もあり、本邦におけるてんかん治療方法が大きく前進し、欧米の水準に近付きつつある」とした。ただし、これらの適応が他剤との併用療法のみで承認されていると指摘した。
一方で、てんかん治療において薬物相互作用等の安全性の観点からも多剤併用に比べ、単剤療法が望まれていると説明。その上で、海外で単剤治療として承認・使用されている薬剤も多くあると指摘。これら薬剤では、日本人を対象にした場合にも「単剤で有効であると考えられますし、安全性はすでに上記の他剤との併用療法の承認審査で評価されており、さらに、単剤が多剤併用よりも安全性に関してはリスクが低いと考えるのが妥当と思われます」との見解を示した。
その上で、てんかん治療では早期に発作をコントロール、消失させることが最も必要と強調。単剤で発作をコントロールできる症例が増加することは医療経済上もメリットがあるとしている。日本てんかん学会 厚労省に新規抗てんかん薬の単剤使用で適応症承認を要望 国内ニュース ニュース ミクスOnline
単剤でも効くという海外のエビデンスがありながら、日本では保険請求上認められていません。でした。
新規抗てんかん薬は高いから。
安い薬で効かなかったら、使っても良いよ、という縛り付け。
現在は抗てんかん薬によっては、単剤でも使用可能なものもある。
ガバペン、トピナは単剤での使用は不可。
ガバペンの効能効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」
トピナの効能効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」
ラミクタール、イーケプラも単剤での使用は不可でしたが、2015年9月現在は単剤でも使用可能なようです。
ラミクタールの効能効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox-Gastaut症候群における全般発作」
でしたが、2014年8月ラミクタールの効能効果に「単剤療法」が追加され、2006年以降に承認された新規抗てんかん薬で初めて単剤使用が可能になりました。
現在の効能効果は、
○てんかん患者の下記発作に対する単剤療法
部分発作(二次性全般化発作を含む)
強直間代発作○他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
部分発作(二次性全般化発作を含む)
強直間代発作
Lennox-Gastaut症候群における全般発作○双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
という記載になっています。
イーケプラの効能効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」
でしたが、2015年2月「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」となりました。
ガバペンだけの処方はダメ?
ガバペンの効能効果には、
「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」
ガバペン単独では保険適用がなく、必ず他の抗てんかん薬との併用でのみ使用可能となります。
てんかん以外にも適応外で使えそうな薬ですが、この縛りがあるので使いにくそう。
わざわざいらない抗てんかん薬の処方もするのかな。
リリカが出たから必要性も薄れてそうですけど。
新規抗てんかん薬の単剤投与可否
新規抗てんかん薬 | 効能効果 | 単剤投与の可否 |
---|---|---|
イーケプラ | 〇てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む) 〇他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法 | ○ |
ガバペン | 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法 | × |
ラミクタール | ○てんかん患者の下記発作に対する単剤療法 部分発作(二次性全般化発作を含む) 強直間代発作 定型欠神発作 ○他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法 部分発作(二次性全般化発作を含む) 強直間代発作 Lennox-Gastaut症候群における全般発作 ○双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制 | ○ |
トピナ | 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法 | × |
フィコンパ | 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法 部分発作(二次性全般化発作を含む) 強直間代発作 | × |
ビムパット | 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法 | × |
発売時期 | 一般名 | 商品名 | 単剤使用 |
---|---|---|---|
2016年8月 | ラコサミド | ビムパット | 不可 |
2016年7月 | ビガバトリン | サブリル | 可 |
2016年5月 | ペランパネル水和物 | フィコンパ | 不可 |
未発売 | オクスカルバマゼピン | オクノベル | 不可 |
2013年 | ルフィナミド | イノベロン | 不可 |
2012年 | スチリペントール | ディアコミット | 不可 |
2010年 | レベチラセタム | イーケプラ | 可 |
2008年 | ラモトリギン | ラミクタール | 可 |
2007年 | トピラマート | トピナ | 不可 |
2006年 | ガバペンチン | ガバペン | 不可 |
2000年 | クロバザム | マイスタン | 不可 |
1989年 | ゾニサミド | エクセグラン | 可 |
1981年 | クロナゼパム | ランドセン、リボトリール | 可 |
1975年 | バルプロ酸ナトリウム | セレニカ、デパケン | 可 |
1966年 | カルバマゼピン | テグレトール | 可 |
1964年 | エトスクシミド | エピレオプチマル、ザロンチン | 可 |
1956年 | プリミドン | プリミドン | 可 |
1944年 | フェノバルビタール | フェノバール、フェノバルビタール | 可 |
1940年 | フェニトイン | アレビアチン、ヒダントール | 可 |
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