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年末年始はいつからいつまで?薬局業務における休日の取り扱いと加算算定
公開. 更新. 投稿者:調剤報酬/レセプト.この記事は約3分58秒で読めます.
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「年末年始」の定義に注意

年末が近づくと、薬局でも対応に神経を使う場面が増えてきます。特に話題に上るのが「年末年始の定義」と、それに関連する休日加算や夜間加算の扱いです。
「年末年始って具体的にいつからいつまで?」
「12月29日は平日扱い?それとも休日?」
「休日加算の算定漏れはないか?」
こうした素朴な疑問は、実は薬局業務において極めて重要な論点です。
年末年始の定義とは?
まず、一般的に「年末年始」と聞いて思い浮かべるのは、おおよそ12月下旬から1月初旬にかけての休暇シーズンでしょう。
医療制度上の「年末年始」の定義
医療業務や保険制度においては、以下のように明確に定義されています。
年末年始とは:
12月29日から1月3日までの6日間を指す。
この定義は、以下のような通知や文献に基づいています。
・厚生労働省通知
・社会保険診療報酬支払基金の見解
・調剤報酬点数表における加算の算定要件
つまり、たとえ平日であっても12月29日・30日・31日、1月2日・3日は休日と同様の扱いが可能であることになります。
「休日加算」が算定できる日とは?
調剤報酬において「休日加算」が算定できる日は以下のとおりです。
▷ 対象となる日
・日曜日
・国民の祝日に関する法律で定められた祝日
・12月29日・30日・31日
・1月2日・3日
例えば、12月29日が金曜日であっても、「休日加算を算定してよい日」として扱えるのです。
では「休日加算」はどのようなときに算定できる?
「休日であれば誰にでも算定できる」というわけではありません。算定対象となるには、患者の受診状況と薬局の運用体制が関係してきます。
▼ 休日加算の算定要件(概要)
厚生労働省通知により、次の2つのパターンが明記されています。
① 地域医療の確保のために特別な体制をとっている薬局での対応
・輪番制の当番薬局などが該当
・休日において、地域の救急医療対策の一環として薬剤師が調剤を行っていると認められる場合
② 急病など、やむを得ない理由により調剤を受けた場合
・通常営業していない薬局が閉まっている日に
・近隣の薬局が開いており、当該休日の営業時間外に調剤を受けた場合
誤解されがち?12月29日は平日じゃないのか?
たしかに12月29日~31日は祝日でも日曜でもない年も多いため、単に「平日」と考えがちです。しかし、制度上は「休日扱い」として認められているため、以下のような場面で注意が必要です。
日付 | 一般認識 | 医療制度上の扱い | 休日加算の可否 | 備考 |
---|---|---|---|---|
12月29日 | 平日 | 休日扱い | ○ | 条件を満たせば算定可能 |
12月30日 | 平日 | 休日扱い | ○ | 同上 |
12月31日 | 大晦日 | 休日扱い | ○ | 同上 |
1月1日 | 元日(祝日) | 休日扱い | ○ | 法定祝日 |
1月2日 | 正月 | 休日扱い | ○ | 日曜でなくても休日加算OK |
1月3日 | 正月 | 休日扱い | ○ | 同上 |
夜間・休日加算の「算定漏れ」に要注意
薬局では年末年始も通常営業しているところが多い一方で、夜間・休日加算の算定を失念してしまう事例が後を絶ちません。
▼ よくある算定ミス
・12月29日を平日と思って算定しなかった
・地域の輪番制に該当するにも関わらず未算定
・「急病による休日対応」であったのに証明書類がなく減点された
▼ 実務対応のポイント
・年末年始の全営業日を事前にチェック
・当番薬局などの場合は輪番指定の文書の保管
・患者の受診理由や背景をレセプトに簡潔に記録
開局カレンダーと年末年始の体制整備
薬局経営者・管理薬剤師としては、年末年始に向けた計画的な開局スケジュールの整備が不可欠です。
開局体制で準備しておきたいこと
・各スタッフの年末年始シフトの確保
・地域の当番薬局への登録状況の確認
・処方箋応需体制の確認と連携医療機関との情報共有
・救急患者への対応ルールの明文化
まとめ:年末年始は「休日」だけでなく「制度」を意識する
年末年始は医療機関にとって繁忙期であり、患者にとっても命綱となる時期です。薬局が地域医療を担う以上、「ただ開けている」だけでは足りません。
・年末年始=12月29日〜1月3日
・該当期間は「休日扱い」として休日加算が可能
・算定には条件や証明が必要
・輪番体制や開局時間をあらかじめ整理
・算定忘れや記録不備は返戻・減点の対象
「年末年始は忙しい」だけで終わらせず、制度をしっかり理解し、正しく加算を算定することで、薬局の信頼性を高めましょう。