2025年5月31日更新.2,483記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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骨は量より質が大事?

骨は“量”より“質”が大事?

骨粗鬆症というと「骨密度」が注目されがちですが、実は骨の“質”も骨折リスクに大きく関係しています。

病院で骨粗鬆症の検査を受けると、「骨密度」を測定されます。これは、骨の中にどれだけミネラル(カルシウムなど)が詰まっているかを調べるものです。

ただし、骨密度がある程度保たれていても、骨の“質”が悪くなると骨は折れやすくなります。そのため、骨粗鬆症の治療開始の目安としては、「骨密度の値」よりも「すでに骨折をしているかどうか」が重視されることが多いのです。

骨密度と骨質の違いは?
骨密度:骨の中にどれだけミネラルがあるか(密度)
骨質:骨の構造やコラーゲンの状態など“中身の質”

骨の強さ(=骨強度)は、約70%が骨密度、残り30%が骨質で決まると言われています。
つまり、骨密度だけでは骨の強さは語れないのです。

骨は「鉄筋コンクリート」のような構造

骨の主成分は次の2つ:
・コラーゲン(タンパク質):骨にしなやかさを与える → “鉄筋”に相当
・ミネラル(主にリン酸カルシウム):硬さを与える → “コンクリート”に相当

この2つがバランスよく機能することで、骨は「硬くて折れにくい」状態を保てます。

骨の質を左右する“コラーゲン架橋”とは?
骨の中のコラーゲンは、分子同士がつながって束になった状態(架橋)で強度を保っています。

良い架橋(善玉)
・体内の酵素が自然に作る
・骨をしなやかに保つ

悪い架橋(悪玉)
・糖化(高血糖など)や酸化ストレスで作られる
・骨の質を下げ、脆くなる

悪玉の架橋の代表が「ペントシジン」という物質で、加齢・糖尿病・腎機能低下などで増えます。

カルシウムだけじゃダメ?

カルシウムを摂ることは大事ですが、それだけでは骨は強くなりません。
体に負荷(運動)をかけることが骨密度を高める鍵になります。

特に10代(中高生)までの生活が“骨の貯金”を左右します。
ハイジャンプ系の運動(バスケットボール、器械体操など)は骨に良い刺激を与えると言われています。

骨質の検査ってあるの?

現在、骨密度は機械で簡単に測れますが、骨質はまだ評価が難しいのが現状です。保険適用されるような骨質の検査方法は、今のところありません。

そのため、実際の骨折歴が「骨質が落ちているサイン」として重要になります。

・骨折のリスクには「骨密度」だけでなく「骨質」も関係する
・骨の質を守るには、コラーゲンの質や生活習慣が大切
・カルシウム+運動+生活習慣の改善が重要

骨は見た目ではわかりません。だからこそ、骨折の前に対策を。
骨密度だけでなく、骨の“質”にも意識を向けましょう。

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