2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ピロリ菌除菌薬の併用禁忌

消化性潰瘍治療薬一覧

分類商品名一般名併用禁忌
攻撃因子抑制薬H2ブロッカータガメットシメチジン
ガスターファモチジン
アルタットロキサチジン酢酸エステル塩酸塩
アシノンニザチジン
プロテカジンラフチジン
PPIパリエットラベプラゾールナトリウムアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
ネキシウムエソメプラゾールマグネシウム水和物アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
オメプラールオメプラゾールアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
タケプロンランソプラゾールアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
PPI(P-CAB)タケキャブボノプラザンフマル酸塩アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
選択的ムスカリン受容体拮抗薬チアトンチキジウム臭化物
抗コリン薬(三級アミン)ダクチルピペリドレート塩酸塩
抗コリン薬(四級アンモニウム塩)ブスコパンブチルスコポラミン臭化物
コリオパンブトロピウム臭化物
セスデンチメピジウム臭化物水和物
プロ・バンサインプロパンテリン臭化物
ダイピンN-メチルスコポラミンメチル硫酸塩
ピロリ菌除菌薬ラベキュア(パリエット+サワシリン+クラリス)ラベプラゾールナトリウム+アモキシシリン水和物+クラリスロマイシンアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩、フィネレノン、イサブコナゾニウム硫酸塩を投与中の患者
ラベファイン(パリエット+サワシリン+フラジール)ラベプラゾールナトリウム+アモキシシリン水和物+メトロニダゾールアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
ボノサップ(タケキャブ+アモリン+クラリス)ボノプラザンフマル酸塩+アモキシシリン水和物+クラリスロマイシンアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩、フィネレノン、イサブコナゾニウム硫酸塩を投与中の患者
ボノピオン(タケキャブ+アモリン+フラジール)ボノプラザンフマル酸塩+アモキシシリン水和物+メトロニダゾールアタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者
防御因子増強薬プロスタグランジン作用薬サイトテックミソプロストール
粘膜保護薬アルサルミンスクラルファート
アズノールアズレンスルホン酸ナトリウム水和物+L-グルタミン
アルロイドGアルギン酸ナトリウム
マーズレンSアズレンスルホン酸ナトリウム水和物
プロマックポラプレジンク
ガストロームエカベトナトリウム水和物
アランタ/イサロンアルジオキサ
粘液産生分泌促進薬セルベックステプレノン
ムコスタレバミピド
胃粘膜微小循環改善薬ガスロンNイルソグラジンマレイン酸塩
ノイエルセトラキサート塩酸塩
アプレーストロキシピド
ウルグート/ロンミールベネキサート塩酸塩ベータデクス
ドグマチールスルピリド

ピロリ菌とクラリスロマイシン

薬剤師

クラリスの併用禁忌って多いよね

消化性潰瘍治療薬で併用禁忌となる薬はあまり無いが、特に注意する薬としてピロリ菌除菌薬のラベキュアとボノサップがある。

これらの除菌薬は成分にクラリスロマイシンを含むからだ。

クラリスロマイシンは不可逆的で強いCYP3A4阻害薬であるため、CYP3A4で代謝される薬との間で併用禁忌のものが多い。
クラリスロマイシンは長期処方されることもあるが、風邪やピロリ菌除菌などで短期間のみ処方されることも多い。気づかないうちに併用禁忌薬が処方されることも多い。

また、投与初日はCYP阻害効果は認められないが、投与2~4日後に3A4活性が42%減少するとの報告(Eur J Clin Pharmacol. 2013;69:439-48.)もあり、投与中止後の併用でもリスクがあるという。
併用禁忌薬が処方されていた場合、医師によっては「その期間だけ違う薬を飲ませる」という方法をとることもあるかもしれない。その場合、中止後いつから再開するか等の間隔についても十分に検討する必要がある。

消化性潰瘍に禁忌の薬

消化性潰瘍に使われる薬には、H2ブロッカーやPPIなどがある。
しかし、H2ブロッカーやPPIが処方されている患者で、現在進行形で消化性潰瘍であるという患者は少ない。
消化性潰瘍になったとしても、胃潰瘍で8週間、十二指腸潰瘍で6週間もあれば寛解となるからである。

アスピリンをはじめ、鎮痛薬は消化性潰瘍に禁忌であるものが多い。しかし、PPIなどの胃薬が処方されていても現在消化性潰瘍が生じているというよりも予防的に処方されている可能性は高い。
バイアスピリンとPPIが同じ医師から処方されていれば、そういうことだろう。しかし、消化器科医からPPI、整形外科医からNSAIDsが処方されていたら、禁忌の可能性もある。

とはいえ、PPIの処方目的が何なのかは、処方医しか知り得ないわけである。禁忌に該当しないか、薬剤師は医師に照会する必要があるというわけだ。
「消化性潰瘍ではない」と医師に確認をとったとしても、各PPIには適応症ごとの処方日数制限があるので病名についても確認する必要がある。

医薬品名効能効果と投与期間
パリエット5㎎/10㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
吻合部潰瘍(8週間)
逆流性食道炎(通常4週間、効果不十分8週間)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法
Zollinger-Ellison症候群
非びらん性胃食道逆流症(4週間)
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
パリエット20㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
吻合部潰瘍(8週間)
逆流性食道炎(通常8週間、効果不十分16週間)
Zollinger-Ellison症候群
タケプロン15㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
吻合部潰瘍(8週間)
逆流性食道炎(8週間)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法
Zollinger-Ellison症候群
非びらん性胃食道逆流症(4週間)
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
タケプロン30㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
吻合部潰瘍(8週間)
逆流性食道炎(8週間)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法
Zollinger-Ellison症候群
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
オメプラール/オメプラゾン10㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
吻合部潰瘍(8週間)
逆流性食道炎(8週間)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法
非びらん性胃食道逆流症(4週間)
Zollinger-Ellison症候群
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
オメプラール/オメプラゾン20㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
吻合部潰瘍(8週間)
逆流性食道炎(8週間)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法
Zollinger-Ellison症候群
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
タケキャブ10㎎/20㎎胃潰瘍(8週間)
十二指腸潰瘍(6週間)
逆流性食道炎(通常4週間、効果不十分8週間)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助

どのPPIでも長期処方が可能な病名としては、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法」になる。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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