2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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フォゼベルとフォスブロックの違いは?

テナパノル塩酸塩

2024年2月20日にまた新しい高リン血症治療薬であるフォゼベル(テナパノル塩酸塩)が発売された。
透析患者の処方をあまり受け付けておらず、高リン血症治療薬の使い分けがよくわかっていないので勉強する。

今現在、高リン血症治療薬には以下のような薬がある。

分類薬品名一般名剤形・規格用法用量適応
Ca含有カルタン沈降炭酸カルシウム細粒(83%)、錠(250㎎、500㎎)、OD錠(250㎎、500㎎)1回1g 1日3回 食直後保存期及び透析中の慢性腎不全
Ca非含有ポリマーフォスブロック/レナジェルセベラマー塩酸塩錠(250㎎)1回1000~2000mg 1日3回 食直前(1日9000mgまで)透析中の慢性腎不全
キックリンビキサロマー顆粒(86.2%)、250㎎1回500mg 1日3回 食直前(1日7500mgまで)透析中の慢性腎不全
金属系リオナクエン酸第二鉄錠(250㎎)1回500mg  1日3回 食直後(1日6000mgまで)慢性腎臓病
ピートルスクロオキシ水酸化鉄顆粒分包(250㎎、500㎎)、チュアブル錠(250㎎、500㎎)1回250mg 1日3回 食直前(1日3000mgまで)透析中の慢性腎臓病患者
ランタンホスレノールランタン顆粒分包(250㎎、500㎎)、OD錠(250㎎、500㎎)、チュアブル錠(250㎎、500㎎)1回250mg  1日3回 食直後(1日2250mgまで)慢性腎臓病

ここにフォゼベルが追加になるが、今までの吸着系の薬とは一風異なる作用機序である。

フォゼベル(テナパノル)は主に腸管上皮細胞の頂端膜に発現するナトリウムイオン(Na+)/プロトン(H+)交換輸送体3(NHE3)を阻害する薬である。

NHE3を阻害することで細胞膜におけるNa+とH+の交換輸送を阻害、腸管上皮細胞内のH+濃度上昇により細胞内のpHが低下し、腸管上皮細胞間隙でのリン透過性が低下するという。

昔は高リン血症にアルミゲルが使われていたが、アルミニウム脳症のため現在は禁忌。その後カルタンのようなカルシウム系の薬が使われるが高カルシウム血症になることもあり、現在はホスレノール、キックリンあるいはリオナ、ピートルといったリン吸着薬が主流になっているがいずれも便秘が問題になる。

フォゼベルは便秘ではなく、逆に下痢(61.3%)が多い。重度の下痢が発現し、脱水に至るおそれがある。水分摂取制限を行っている透析患者では要注意の副作用である。

フォゼベルは、腸上皮細胞のナトリウム吸収を抑え、水素濃度を高める機序で、腸内の浸透圧が高くなって下痢をする。アミティーザみたいな機序?アミティーザが透析患者の高リン血症を改善するみたいな話もあったから、下剤よりの高リン血症治療薬なのだろう。

今までの吸着薬は、1日3回で1回に大量を飲むケースが多かったが、フォゼベルの用法は「通常、成人にはテナパノルとして1回5mgを開始用量とし、1日2回、朝食及び夕食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1回30mgとする。」となっており、規格も5mg/10mg/20mg/30mgの4規格あるので、1日2回1回1錠で飲みやすい。

フォゼベルとフォスブロックの併用とかもありそう。名前が近いと連想はしやすいが、ミスも起こしやすい。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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