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骨粗鬆症治療薬の一覧
公開. 更新. 投稿者:骨粗鬆症.この記事は約4分42秒で読めます.
5,514 ビュー. カテゴリ:骨粗鬆症治療薬の一覧
分類 | 商品名 | 一般名 |
---|---|---|
ビスホスホネート製剤 | ダイドロネル | エチドロン酸二ナトリウム |
アレディア | パミドロン酸二ナトリウム水和物 | |
フォサマック/ボナロン | アレンドロン酸ナトリウム水和物 | |
ベネット/アクトネル | リセドロン酸ナトリウム水和物 | |
ボノテオ/リカルボン | ミノドロン酸水和物 | |
ボンビバ | イバンドロン酸ナトリウム水和物 | |
ゾメタ | ゾレドロン酸水和物 | |
SERM | エビスタ | ラロキシフェン塩酸塩 |
ビビアント | バゼドキシフェン酢酸塩 | |
活性型ビタミンD3製剤 | アルファロール/ワンアルファ | アルファカルシドール |
ロカルトロール | カルシトリオール | |
エディロール | エルデカルシトール | |
イプリフラボン製剤 | イプリフラボン錠「ツルハラ」 | イプリフラボン |
抗RANKLモノクローナル抗体 | ランマーク | デノスマブ |
プラリア | デノスマブ | |
ビタミンK2製剤 | グラケー | メナテトレノン |
副甲状腺ホルモン | テリボン | テリパラチド酢酸塩 |
フォルテオ | テリパラチド | |
抗スクレロスチン抗体 | イベニティ | ロモソズマブ |
エストロゲン製剤 | エストリール | エストリオール |
骨粗鬆症治療薬の分類
骨粗鬆症の薬、骨を強くする薬には、「骨を作る働きを高める薬」と「骨を壊す働きを抑える薬」がある。
骨を作る働きを高める薬は骨形成促進薬。骨を壊す働きを抑える薬は骨吸収抑制薬。
この「骨を作る働き」を「骨形成」、「骨を壊す働き」を「骨吸収」という。
骨は、骨形成と骨吸収のバランスを保って形成されています。閉経後や高齢になると骨吸収が骨形成を上回って、骨量が低下し骨折のリスクが高くなります。
体の中には、骨形成を促進するホルモン、骨形成を抑制するホルモン、骨吸収を促進するホルモン、骨吸収を抑制するホルモンなど様々な働きをするホルモンが存在する。
骨に関係するホルモンとして、副腎皮質ホルモンや女性ホルモン(エストロゲン)、副甲状腺ホルモン、カルシトニンなどがある。
これらのホルモン製剤も骨粗鬆症に使われている。
骨を作る働きを高める薬
「骨を作る働きを高める薬」には、まず骨の材料であるカルシウムを補給する「カルシウム剤」がある。
そのカルシウムの吸収を促進するのが「ビタミンD₃製剤」である。
また、骨の材料はカルシウムだけでなく、タンパク質も必要。骨に含まれるタンパク質といえばコラーゲンであるが、オステオカルシンというタンパク質も重要な働きをしている。
オステオカルシンが活性化されることで、カルシウムが骨に沈着して、骨の強度を保つことができるようになる。
このオステオカルシンをビタミンKが活性化するので、「ビタミンK₂製剤」も骨粗鬆症に使われる。
骨を壊す働きを抑える薬
「骨を壊す働きを抑える薬」には、ビスホスホネート系薬やSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)などがある。
これらは破骨細胞の働きを抑える薬である。
ビスホスホネート薬は、ファルネシルピロリン酸合成酵素の活性を阻害し、ゲラニルゲラニルピロリン酸の合成を阻害する。ゲラニルゲラニルピロリン酸は破骨細胞のアポトーシスを阻止しているので、ゲラニルゲラニルピロリン酸の合成阻害により、破骨細胞のアポトーシスが促進され、骨を壊す働きが抑制される。
ビスホスホネート系薬の作用する場所は、メバロン酸代謝経路で、脂質異常症治療薬のスタチン系薬(HMG-CoA阻害薬)と同じ経路に存在する。スタチン系薬も最終的にゲラニルゲラニルピロリン酸の合成阻害につながっているので、骨形成促進作用があるという話もある。
デノスマブ(プラリア)は、抗RANKLモノクローナル抗体薬という。
モノクローナル抗体とは、抗原にあるたくさんの結合部位の中から1つ(モノ)の結合部位とだけ結合する抗体を、人工的にクローン増殖(クローナル)させたものである。
RANKL=recepter activator of nuclear factor-κB ligandのことで、recepter(レセプター:受容体) activator(アクチベータ:活性剤) of nuclear factor(核因子)-κB(カッパーB) ligand(リガンド:配位子)となる。核因子κB(NFκB)は、破骨細胞の分化および骨吸収の促進に重要な役割を果たしており、RANKL=破骨細胞分化因子と呼ばれる。
女性ホルモンと骨
骨粗鬆症は女性の患者に多いが、閉経後女性ホルモンが低下すると骨密度が低下してくる。
SERMは、selective estrogen receptor modulator(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)のことで、エストロゲン受容体に作用する。
SERMには、エビスタやビビアントなどの骨粗鬆症治療薬以外にも、ノルバデックスなどの乳癌治療薬がある。
SERMは骨に対してはアゴニスト(作動薬)として働き、乳房や子宮に対してはアンタゴニスト(拮抗薬)として働く。そのため、作用部位の選択性によって骨粗鬆症に効いたり、乳癌に効くという働きがある。
PTHパラドックス
副甲状腺ホルモンの働きには「骨吸収を促進する」働きがある。この働きでは、副甲状腺ホルモン製剤が骨粗鬆症に使われることはない。骨がスカスカになってしまう。
しかし、体内で持続的に分泌されている副甲状腺ホルモンは「骨吸収を促進する」のだが、断続的に投与する副甲状腺ホルモン製剤で、一次的に副甲状腺ホルモンの濃度を上げると「骨吸収が促進する」のだ。
これをPTH(副甲状腺ホルモン)パラドックスという。
スクレロスチン
スクレロスチンは骨の過剰生成を抑制する物質です。「骨を作るのをやめてください」という指令を出す物質である。
新しい骨が作られるのは、歩行や運動で体の骨に荷重や衝撃があって生成されますが、それらの物理的な衝撃がが加わらないとスクレロスチンが過剰に生成されて骨芽細胞を減少させて骨粗鬆症になります。
このスクレロスチンの働きを阻害する抗体、抗スクレロスチンモノクローナル抗体が骨粗鬆症の治療に使われます。
ロモソズマブには、骨を作る働きを高める作用と、骨を壊す働きを抑える二重の作用(デュアル・エフェクト)があるので、効果的です。
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