2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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エパデールSとエパデールEMの違い

エパデールSとエパデールEMの違い

薬剤師

エパデールEMカプセルってエパデールSと何が違うの?

エパデールEMカプセルという製品が2022年9月に販売された。

エパデールSとは何が違うのか?
エパデールSには300、600、900という3規格があり、それぞれ1包あたり300㎎、600㎎、900㎎のイコサペント酸エチルが含有されています。エパデールEMカプセルには1包2g(2000㎎)のイコサペント酸エチルが含有されています。

量が多い分、サイズも大きく、エパデールSは直径約4mmの球形カプセルであるが、エパデールEMは直径約6mmと大きい。エディロールカプセルが直径6.6㎜くらいだからそれを数十粒いっぺんに飲むと考えるとしんどい。

エパデールSは1日3回食直後という用法であるが、エパデールEMは1日1回食直後の服用で済む。スタチンなどの脂質異常症治療薬が1日1回のものが多いので、それにあわせて1日1回のEPA製剤のほうがコンプライアンス的にも好ましいというわけだ。

エパデールSを1日1回で飲んじゃえば良いんじゃね?と思う人もいるかと思うが、エパデールEMのインタビューフォームには、吸収について以下のように書かれている。

本剤は、吸収性の向上を期待して既承認のエパデールを新たに製剤設計した自己乳化製剤である。エパデールの添加物の処方を変更することにより、イコサペント酸エチル(EPA-E)が消化管内において胆汁酸に依存せずに乳化分散し、吸収されると考えられる。この製剤設計により、吸収性の向上と食事の影響を受けにくくなることが期待される。

胆汁酸に依存せずに吸収される。でも、用法は食直後。

エパデールEMのEMは、乳化製剤(EMulsification)の意味。
エパデールSのSは、Small、Smooth、Seamless capsuleなどの頭文字で色んな意味がある。

個人的にはEPAはサプリメント程度にしか見ていない。

オメガ3脂肪酸が心房細動を増やす?

2023年4月にエパデール(オメガ3脂肪酸)の添付文書が改訂され、「本剤と同一有効成分(4g/日)を含有する製剤の海外臨床試験において、心房細動又は心房粗動のリスク増加が認められたとの報告がある。」との記載が追記された。

エパデールS300/S600/S900は最高で1日2700㎎(2.7g)までなので、1日4gを使うことは無い。

ただし、2022年 9月に発売されたエパデールEMカプセルは1日4gまで使うことができる。

動脈硬化は減らすが、心房細動を増やす。いやこれは本末転倒。

エパデールEMが発売から1年経過して長期解禁される前の段階でこの添付文書改訂は、意図的なものを感じるのは私だけだろうか。
いずれにせよ、「エパデールSで良いんじゃね?」って思っちゃうね。

エパデールが気管支喘息に効く?

エパデールが喘息に効く、という話がある。

エパデールの成分名はイコサペント酸エチル。
エイコサペンタエン酸のエチルエステル化合物です。

リノール酸などのn-6系脂肪酸は体内で代謝されて、アラキドン酸になります。
アラキドン酸からは、ロイコトリエンやプロスタグランジンなどの炎症成分が生成します。
n-3系脂肪酸をサプリメントなどで摂取すると、体内でn-6系脂肪酸の比率が高まっている場合にはそれを適正値に戻し、炎症を改善すると考えられています。

イコサペンタエン酸は血小板膜リン脂質中のイコサペンタエン酸含有量を増加させ血小板膜からのアラキドン酸代謝を競合的に阻害して、トロンボキサンA2 産生を抑制することにより抗血小板作用を発揮する。閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善に適用がある。

そんな適応外処方は見たことはありませんが、青魚でも食っとけ、という程度の話なのだろう。

n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸のバランス

アレルギー症状を起こす化学伝達物質では、かゆみやくしゃみ・鼻水などの原因となるヒスタミンがよく知られていますが、肥満細胞の細胞膜リン脂質から、血管を膨張させ鼻づまりの原因となるロイコトリエンと呼ばれる物質も放出されています。

植物油に多く含まれるリノール酸は体内でアラキドン酸に代謝され、アラキドン酸からはこのロイコトリエンが作られます。
必須脂肪酸にはn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸がありますが、リノール酸はn-6系脂肪酸。
n-3系脂肪酸には、α-リノレン酸や魚に多く含まれるEPA・DHAがあり、こちらは逆に、アレルギーを抑えることが知られています。

EPAから別の種類のロイコトリエンが作られますが、これはアレルギー症状を起こしません。
細胞膜のリン脂質は、摂取する脂質の影響を受けます。

アレルギーや喘息の子は、うなぎ、さば、いわし、さんまなどからEPA・DHA、しそ油、えごま油などからα-リノレン酸を摂るようにするとよいのだろう。

一般の人でも、n-6系脂肪酸の摂取は足りているのに対し、n-3系脂肪酸は不足気味となっています。両方のバランスのとれた摂取が望まれます。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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yakuzaic
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