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トレリーフやコムタンのMAO阻害作用
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約2分21秒で読めます.
3,106 ビュー. カテゴリ:MAO阻害薬
MAO阻害薬以外にもMAO阻害作用を持つ薬があるの?
MAO阻害薬といえば、MAO-B阻害薬のエフピー(セレギリン)が思い浮かぶ。最近はアジレクト(ラサギリン)、エクフィナ(サフィナミド)といった新しいMAO-B阻害薬も発売された。
しかし、コムタン(エンタカポン)やトレリーフ(ゾニサミド)にもMAO-B阻害作用があるという。
コムタンはCOMT阻害薬という分類、トレリーフはゾニサミドがもともと抗てんかん薬として使われているため、いずれもMAO-B阻害薬としての印象は無い。
コムタンの添付文書の作用機序には、以下のように記載されている。
COMT活性に対するエンタカポンの阻害作用は強く、ドパミンβ水酸化酵素、チロシン水酸化酵素、ドパ脱炭酸化酵素、MAO-A及びMAO-Bに対する阻害作用は弱い(in vitro)。
同じCOMT阻害薬のオンジェンティスの添付文書には、MAO-B阻害作用に関する記載はなかった。
トレリーフの添付文書の作用機序には、以下のように記載されている。
また、ラット及びサル線条体ミトコンドリア・シナプトソーム膜標本中のMAO活性を阻害し、その阻害作用は比較的MAOのB型に選択性を示す。
同じゾニサミドを成分とするエクセグランの添付文書には、「本剤の作用機序については、まだ完全に解明されてはいないが、発作活動の伝播過程の遮断、てんかん原性焦点の抑制等が示唆されている。」としか記載されておらず、MAO-B阻害作用に関する記載はないが、エクセグランのほうが用量も多いし、MAO-B阻害作用ありそうな気はする。
血管収縮点鼻薬とMAO-B阻害薬
なぜ、トレリーフやコムタンのMAO-B阻害作用について気にしたのかというと、2021年10月に発売された「ナシビンメディ」という薬の添付文書に、以下のように記載されていたから。
1..次の人は使用しないでください
(2)モノアミン酸化酵素阻害剤等を服用している人。
※モノアミン酸化酵素阻害作用等を有する医薬品は以下のようなものがあり,いずれもパーキンソン病の治療に用いられます。また,ゾニサミドはてんかんの治療にも用いられます。
●セレギリン塩酸塩 ●ゾニサミド ●エンタカポン
ナシビンと同じような血管収縮点鼻薬で、医療用のものでまだ販売されているのは、プリビナやトラマゾリンがあるが、プリビナの禁忌には、「MAO阻害剤の投与を受けている患者〔併用により、急激な血圧上昇を起こすおそれがある。〕」トラマゾリンの禁忌には、「モノアミン酸化酵素阻害剤投与中の患者」とあります。
併用禁忌なのは、MAO阻害剤であって、MAO阻害作用を有する薬剤という記載ではなく、トラマゾリンの添付文書にも、エフピー、アジレクト、エクフィナが挙げられているだけなので、ゾニサミドをMAO-B阻害作用を有する薬物として併用禁忌の対象としては認識していなかった。
点鼻薬を買い求めに来た人がパーキンソン病だったり、てんかんを持っていた場合には服用している薬を確認する必要がある。
医療用のプリビナやトラマゾリン使用者についても、ゾニサミドやエンタカポン服用している場合は、血圧上昇に気をつける必要がある。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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