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沈黙の臓器
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約5分32秒で読めます.
2,818 ビュー. カテゴリ:沈黙の臓器
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれます。
腎臓もまた沈黙の臓器と呼ばれます。
これらの臓器は病気になっても症状が現れにくいのです。
病気になっても黙っているので沈黙の臓器ですね。
肝機能に異常数値が出たとき、すでに肝臓の80%は機能しておらず、腎臓に異常数値が出たとき、すでに50%は機能していないのだそうな。
ちなみに高血圧のことをサイレントキラー(沈黙の殺し屋)といいます。
ちなみにスティーブン・セガールの映画は沈黙の○○です。
自覚症状の無い病気や、臓器障害というのは怖いですね。
肝硬変は無症状?
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、症状が現れにくい臓器です。
肝硬変とは、長年の炎症(慢性肝炎)により肝細胞の壊死と再生が繰り返され、線維成分が増生(線維化)して肝臓が硬くでこぼこになった病態です。
肝硬変は代償性肝硬変と非代償性肝硬変に分けられます。
前者では、正常な肝細胞がまだ十分に残っており、死滅した肝細胞を代償して機能するため、ほぼ無症状です。
一方、後者では肝機能が不全状態になり、さまざまな症状が出現します。
代償性肝硬変症
C型慢性肝炎は、HCVの持続感染により炎症が続いている状態で、その一部が肝硬変に進む。
肝硬変のうち、肝機能がある程度保たれていて黄疸や腹水、肝性脳症などの明らかな症状がない状態を代償性肝硬変、これらの症状が出てくると非代償性肝硬変と呼ぶ。
肝細胞の線維化により、正常肝細胞数が若干減少した状態であり、残存肝細胞で肝機能を維持することができるので、軽い疲労感や倦怠感がある以外にはこれといった症状がみられない。
Child-pugh(チャイルド・ビュー)分類は肝障害度を示す指標で、A、B、Cの3段階に分類され、Cが最も障害が進んだ状態。
チャイルドとピューの2人の研究者が考案した分類法。
非代償性肝硬変症
代償期肝硬変症が進行し、残った正常肝細胞では肝機能が維持できなくなった状態であり、疲労感、倦怠感に加え、黄疸、腹水貯留、浮腫、肝性脳症、胃食道静脈瘤、出血傾向といった諸症状が現れ、やがて高い確率で肝細胞癌を併発する。
肝硬変は治らない
肝臓が硬く変化する病態。それを文字通り肝硬変といいます。
肝障害が慢性的に進行すると、肝臓が硬くなって、小さくなっていく。
肝炎→肝硬変→肝癌
肝炎の炎症が長期間続くと、再生できずに壊死する細胞が増えて線維化が進み、肝臓の基本構造である肝小葉が結節という線維に取り囲まれた状態になります。
その結果、肝臓内の血流が阻害され、さらに肝細胞が壊死するという悪循環に陥ります。
こうして肝臓は硬化、縮小し、さらに機能が低下します。また、肝硬変から肝癌に移行することもあります。
「肝炎は可逆的であるが、肝硬変は不可逆的である。」と言われる。
そもそも肝硬変の定義とは?肝炎との境界線はどこにあるのでしょうか?
肝硬変の重症度分類にチャイルド・ピュー分類が使われます。
1点 | 2点 | 3点 | |
---|---|---|---|
脳症 | ない | 軽度(Ⅰ、Ⅱ) | 時々昏睡(Ⅲ) |
腹水 | ない | 少量(1~3L) | 中等量(3L~) |
血清ビリルビン値(mg/dL) | 2.0未満 | 2.0~3.0 | 3.0超 |
血清アルブミン値(g/dL) | 3.5超 | 2.8~3.5 | 2.8未満 |
プロトロンビン活性値(%) | 70超 | 40~70 | 40未満 |
合計5~6点で代償性肝硬変。
7~9点だと代償性から非代償性への過渡期。
10~15点で非代償性肝硬変。
代償性肝硬変の予後は、5年生存率=80%、10年生存率=50%
非代償性肝硬変の予後は、5年生存率=50%、10年生存率=30%
つまり、4点未満であれば、肝硬変じゃないという診断もある。
肝臓は再生する?
肝臓は再生能力が高い臓器で、肝臓の75~80%を切り取っても、約4ヵ月後にはもとの大きさと機能を回復しているといいます。
トカゲの尻尾みたい。他の臓器にはみられない復元力をもちます。
このため、生体肝移植を行っても、提供者の肝臓は元の大きさに戻ります。
肝臓は切っても再生する。
ラットなどで行った実験では、3分の2を切り取られた肝臓が、1週間ほどで、元の大きさにもどったという。健康な人の場合、肝臓の65パーセントを切除しても、約1年後にはほぼ同等の大きさまで再生するとされる。
また、病気で肝臓の85パーセントがこわれてもはたらき続けることができるといわれています。
そのため、多少肝臓が悪くなっても症状が出ない、「沈黙の臓器」と言われます。
しかし肝硬変による線維化が進んで、健康な肝細胞も線維に囲まれてしまうと、十分な血液や栄養が供給されなくなり、機能が落ちていく。
つまり肝硬変による悪循環のループが始まってしまうと、なかなか元には戻りづらいということになる。
しかし、最近では抗C型肝炎ウイルス薬の治療により、肝硬変状態からの改善がみられるケースもあるようなので、人によっては、原因(肝炎ウイルス、アルコール、薬剤)を取り除けば、「肝硬変が治る」ということも十分考えられるのだろう。
代償性肝硬変に使える薬
新規C型肝炎治療薬のダクルインザ(ダクラタスビル)、スンベプラ(アスナプレビル)はC型代償性肝硬変に使える。
ペグインターフェロンα(ペガシス、ペグイントロン)、リバビリン(コペガス、レベトール)、シメプレビルナトリウム(ソブリアード)の3剤併用には代償性肝硬変の適応がない。らしい。
ソブリアードのインタビューフォームに、
本剤を使用する前に、C型慢性肝炎であることを確認すること。なお、自己免疫性肝炎・アルコール性肝炎等その他の慢性肝疾患でないこと、肝硬変(代償性、非代償性)でないこと、肝不全でないことを確認すること。
と書いてある。
ソブリアードやテラビックは肝硬変に使えない。
C型肝炎と脂肪肝
C型肝炎ウイルスは、肝臓での脂肪の燃焼を低下させたり、脂肪が血液の中に出て行くのを防いだりして、肝臓に脂肪をためる働きをしています。
つまり、脂肪肝になりやすいです。
また、マウスを使った実験で、C型肝炎ウイルスに感染すると、血糖を下げるインスリンが働きにくいこともわかりました。
つまり、糖尿病になりやすいです。
C型肝炎の人は、肝臓に鉄分がたまりやすいのですが、肝臓に鉄分が多いと、細胞のDNAを傷つける活性酸素が増えることも分かっています。
つまり、癌になりやすいです。
C型肝炎が様々な合併症を引き起こします。
脂肪肝や糖尿病を防ぐ為に、アルコールを飲みすぎない、過食を避ける、栄養バランスのとれた食事をする、癌にならない為に、鉄分の多い食品は控えめにするといった食生活の注意が必要です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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