記事
ペットに咬まれたら危険?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約5分15秒で読めます.
2,784 ビュー. カテゴリ:猫と感染症
猫に咬まれるのは、犬に咬まれるより危険だという。
犬、猫、ネズミだと、ネズミが一番感染率が低い。
犬の感染率が5%で、猫が40%。
猫は全例、全身抗菌薬の投与適応。
ちなみにヒトに咬まれたときの感染率は犬を上回る。
ヒトを咬まないように。
猫に咬まれたら
多くの場合、抗生物質の内服により、咬まれたところの腫れが治まります。
しかし、OTC医薬品で抗生物質の内服薬は販売されていませんので、できるだけ早い受診が必要です。
場合によってはリンパ節の炎症になり、さらに注射薬による治療が必要となることがあります。
一般的に、猫や犬などの動物に咬まれた場合は、まず流水で傷口を洗い、消毒薬で消毒することが大切です。動物に咬まれると破傷風にかかる危険性があります。
原因菌は破傷風菌で、咬まれた傷口から感染します。
主な症状として、最初は口が開きにくくなり、痙攣を引き起こします。
3回の予防接種で基礎免疫ができます。
破傷風は、咬傷だけではなく、特にケガが多い子供に発症するケースが多くあります。
パスツレラ菌
猫の口腔には、約100%、爪には70パーセント、イヌの口腔には、約75%の高率でパスツレラ属菌が常在菌として存在する。
近年のペットブームにより、これらペットから人間への感染が近年急増している。殆どが、咬傷あるいは掻傷により感染する。まれに経気道感染や飛沫感染などにより呼吸器系の疾患を起こす事がある。
パスツレラ症とは、ヒトを除く哺乳動物の口腔内に常在するグラム陰性短桿菌のパスツレラ属菌による感染症である。
イヌおよびネコの口腔内における常在率は、それぞれ12~55%、60~100%といわれる。
ヒトへの感染経路は、①動物の咬傷や掻傷による創傷感染②動物からの非外傷性感染(多くは呼吸器感染)③動物との接触歴が不明、に分けられ、日本では非外傷性感染が最も多い。
外傷性感染の場合、最短で30分から1~2日程度で、創傷部位に激しい疼痛、発赤、腫脹が認められ、多くの場合は蜂窩織炎となる。
受傷が深部に達すると、骨髄炎になることもある。
非外傷性感染では、多くは呼吸器症状がみられるが、髄膜炎、敗血症、外耳炎、副鼻腔炎、眼球結膜炎、膣炎などの患者の検体からも菌が分離されており、症状は多彩である。
治療は抗菌薬の早期投与が重要で、世界的な感染症の成書である「日本語版サンフォード感染症治療ガイド2011」では、アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウムが推奨されている。
セファレキシンやクリンダマイシン塩酸塩には耐性がみられる。
これらの動物由来感染症を回避するには、寝室に動物を入れない、動物とキスしたりなめさせない、接触後は手洗いとうがいを励行する、ネコの爪は切っておくなどの対策がある。
傷の形
犬のけがはベロンとなっているので洗いやすい。
猫に咬まれた傷は「小さくて深い」のが特徴です。
猫は穿通性外傷といって、歯が鋭いため、注射器で細菌を埋め込むような創なので、開いて洗うというのは難しい。
深く刺さると関節や腱まで損傷するのでプロでも洗浄が難しい。
猫ひっかき病
猫ひっかき病は、 バルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)が主要な病原体である。 Bartonella属菌は、かつてはリケッチアに分類されていたグラム陰性細菌である。
ネコノミの糞便中に排泄された菌が、ネコの体表に付着し、グルーミングの際にネコの爪などに付いて、ネコがヒトをひっかく際に感染すると考えられている。
ネコに対して病原性はありませんが、人に対しては病原性を有し、長い間保菌状態となったあと、突然発症します。
ネコ以外にイヌから感染したり、受傷しなくても発症した例も報告されている。
典型例では、動物と接触してから1~3週間後に局所のリンパ節の腫脹が見られる。
通常、リンパ節の腫脹は疼痛を伴い、数週から数ヶ月間持続する。
発熱、悪寒、倦怠感なども伴うことが多いが、抗菌薬の有効性については議論が分かれている。
抗菌薬を使用する場合、リンパ節腫脹の軽減のためアジスロマイシンなどの投与が検討される。
ペットによる咬傷
ペットのイヌやネコによる咬傷は、救急医療機関などを受診する患者の約1%を占め、比較的よく見られる。
かまれた部分から細菌が感染する頻度は一般に、イヌやヒトでは10 ~15 %であるのに対し、ネコでは50%以上と高い。これは、ネコの歯が鋭く深いため深部に細菌か到達しやすいこと、感染症になりやすいパスツレラ属菌の保有率が高いことが関連していると考えられている。
このほか、野生動物や珍しい動物の咬傷も、潜在的に深刻な感染症を引き起こす原因となる。
動物咬傷は基本的に混合感染症である。
イヌやネコによる咬傷で重要な原因菌は、主にパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、黄色ブドウ球菌、各種の嫌気性菌とされる。
中でもパスツレラ属菌は、保有率がイヌ75% 、ネコ100%と高く、人畜共通感染症の原因菌として知られる。
主な症状は咬傷部位の腫脹や疼痛だが、時に敗血症などの全身症状を引き起こすこともある。ただし、死に至ることは極めてまれである。
原因菌としては他にカプノサイトファーガ・カニモルサスが知られている。
国内の調査によると、保有率はイヌ74% 、ネコ57%とイヌで高いが、感染率は低く、また、たとえ感染しても発症することは極めてまれと考えられている。
ただし、発症した場合は、発熱、悪寒、吐き気、筋肉痛などが生じ、急激に敗血症性ショックや多臓器不全に至ることが多く、致死率が30%と高いので注意を要する。
なお、ヒト咬傷は口腔内の常在菌が原囚となるが、重症化するケースもあるため、軽視できない。
動物咬傷に対して積極的に抗菌薬投与を考慮すべき要因としては、(1) 受傷後24時問以上経過、(2) 手の咬傷、(3) 穿孔、(4) 糖尿病など免疫障害がある、(5) 高齢者、(6) かまれた場所が人工関節に近い、(7) デブリードマンが必要、(8) リンパ管や静脈にうっ血のある四肢の咬傷一などの場合が挙げられる。
使用する抗菌薬としては、アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム(オーグメンチン) でほとんどの原因菌をカバーできる。
ただし、患者がペニシリンにアレルギーがある場合は、クリンダマイシン(ダラシン) とキノロン系薬を併用する。
投与期問は、感染が成立している場合は最低10日間、化膿性骨髄炎や関節炎を来した場合は4~8週間である。
なお、ペニシリン系薬の内服により下痢などの消化器症状が高頻度で起きるため、必要に応じて乳酸菌製剤が併用される。
感染しやすい人
脾臓を摘出した人が犬に咬まれると、カプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が体内に入って、壊死性筋膜炎で死に至ります。そのため、脾臓を取った人は犬を飼ってはいけない。
アルコールを飲んでいる人や糖尿病の人もカプノサイトファーガ・カニモルサスは要注意で、致死率が30~70%です。大酒飲みや糖尿病のひどい人が犬に咬まれると危ない。
肝硬変の人も感染症に弱く、川と海が混ざる場所の魚にはビブリオ・バルニフィカスという細菌がいて、肝硬変の人がそれを食べたら壊死性筋膜炎で命を落とします。肝硬変の人は、川と海が混ざるところの魚が貝の刺身を食べてはいけません。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
「ペットによる咬傷」の2パラ目、「細苗」?細菌?
コメントありがとうございます。
修正いたしました。ご指摘ありがとうございます。