2025年7月15日更新.2,523記事.

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オーグメンチンRSとSSの違いは?

オーグメンチンRSとSSの違い

オーグメンチンとは、抗生物質のアモキシシリンとβ-ラクタマーゼ阻害剤であるクラブラン酸カリウムを配合した薬剤です。主に細菌感染症の治療に使用されますが、このオーグメンチンには「RS錠」と「SS錠」という2種類が存在します。

オーグメンチンの「RS」と「SS」の意味

「オーグメンチン配合錠125SS」と「オーグメンチン配合錠250RS」という名称は、一見すると謎めいて感じますが、実は非常に単純な理由によります。

・RSとは「Regular Size(レギュラーサイズ)」の略。
・SSとは「Small Size(スモールサイズ)」の略。

つまり、RS錠は標準サイズで、SS錠はそれよりも小さいサイズを意味しています。

もともとオーグメンチンは、「オーグメンチン錠125」「オーグメンチン錠250」という名称で販売されていました。しかし、配合剤としての性質をより明確に伝えるため、「配合錠」として改名され、サイズを示すRS、SSが追加されました。

RS錠とSS錠の成分含有量

オーグメンチンは配合剤であり、以下の2つの成分から成ります。

・アモキシシリン水和物
・クラブラン酸カリウム

RS錠とSS錠の具体的な成分含有量は以下の通りです。

オーグメンチン配合錠250RS
・アモキシシリン水和物 250mg
・クラブラン酸カリウム 125mg

オーグメンチン配合錠125SS
・アモキシシリン水和物 125mg
・クラブラン酸カリウム 62.5mg

つまり、成分含量の比率としては同一ですが、SS錠はRS錠のちょうど半分の量となっています。そのため、SS錠2錠はRS錠1錠と同等の量となります。

なぜSS錠が存在するのか?

オーグメンチンRS錠を半分に割って服用することは製剤設計上推奨されません。そのため、細かく投与量を調節したい場合や、体重や年齢などによって調整が必要な小児や高齢者のために、SS錠が用意されています。

しかし、実際の医療現場ではSS錠が処方されることはあまり多くありません。その主な理由は以下の通りです。

・RS錠の量が一般的な治療用量として十分である。
・SS錠を2錠服用することになる場合、患者の服薬負担が増える。

また、SS錠がRS錠に比べて極端に小さいわけではありません。RS錠の長径が約16.1mm、SS錠の長径が約13.1mmと、実際にはそこまで大きなサイズ差があるわけではないため、嚥下障害を持つ患者にとっても大きなメリットにはなりにくいのです。

他の薬剤との比較

こうしたサイズ表示は他の薬剤にもあります。例えば、降圧剤の配合剤にはHD(High Dose)とLD(Low Dose)という表現が使われることがあります。

・HD(ハイドーズ):高用量
・LD(ロードーズ):低用量

この場合も同様に、投与量が異なることを示しますが、降圧剤の場合、LD錠を2錠服用することでHD錠と同じ薬理作用が得られるわけではありません。それぞれが特定の患者層や病状のために設計されているからです。

一方、オーグメンチンの場合は明確にSS錠2錠がRS錠1錠の量に相当します。こうしたわかりやすい設定は医療従事者にとっても患者にとってもメリットがあります。

使用シーンに応じた使い分け

具体的な使い分け例としては以下のような場面が考えられます。

RS錠を選択する場面
・通常の成人患者に対する感染症治療。
・成分量の調整が特に必要ないケース。
・服用する錠数を少なくしたい場合。

SS錠を選択する場面
・小児や体重の少ない患者で投与量の細かな調整が必要な場合。
・RS錠を服用できない嚥下障害を持つ患者に少しでも小さいサイズを提供したい場合。

とはいえ、実際の現場では、RS錠で対応できる範囲が広いため、ほとんどがRS錠で処方されるのが実情です。

臨床的な観点からの注意点

オーグメンチンを処方する際の注意点として、以下のような点が挙げられます。

・クラブラン酸カリウムにアレルギーがある患者には使用できません。
・長期間使用すると耐性菌の発生リスクが高まるため、必要最低限の期間の使用が推奨されます。
・特にSS錠を用いて量を細かく調整する際には、治療効果を十分に確保することが重要です。

結論

オーグメンチンのRS錠とSS錠の違いはサイズと成分量であり、RSは標準サイズでSSはその半分の量を示します。主に小児や特定の患者層で量を細かく調整する際にSS錠が用いられますが、一般的にはRS錠で十分対応できます。

薬剤師として処方や服薬指導を行う際には、患者ごとのニーズを見極めて適切な薬剤を提供することが大切です。

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