2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ゼチーアとコレバインの違いは?

コレバインとゼチーア

コレステロール吸収阻害剤では、陰イオン交換樹脂製剤のクエストランやコレバインがすでに販売されている。

「吸収阻害剤」という分類では同じだが作用機序は全く異なり、また、ほかにも相違点は多く、錠剤の大きさや多量の水を食前に服用する必要があるコレバインよりもゼチーアの方がコンプライアンス向上は期待できる。

ゼチーアの作用機序

ゼチーアは小腸壁細胞に存在するタンパク質NPC1L1を介して、コレステロールおよび植物ステロールの吸収を阻害する。

作用部位は小腸であり、動物実験において、小腸でのコレステロールの吸収を選択的に阻害し、その結果、肝臓のコレステロール含量を低下させ、血中コレステロールを低下させる。

ニーマンピック病とゼチーア

ゼチーアは小腸コレステロールトランスポーター阻害薬。
このゼチーアの標的である小腸コレステロールトランスポーターというのはNPC1L1という分子です。
NPC1L1というのは、Niemann-pick C1 Like 1 Protein つまり、ニーマン・ピックC1に似たタンパク質。
ニーマンピックC1(NPC1)というのは、ニーマン・ピック病C型の原因遺伝子。

ニーマンピック病C型とは代謝異常症の一種で、常染色体劣性遺伝性の脂質代謝異常症です。
NPC1はコレステロールの細胞内の輸送蛋白なのです。
NPC1蛋白質がうまく働かないために、コレステロールやその他の脂肪成分の運搬に異常がおこり、細胞の中にコレステロールやその他の脂肪成分が貯まることで細胞に異常がおこります。

ニーマンピック病という病気の解明から、コレステロール低下薬が生まれたという興味深い話です。

コレステロールは体の中で作られる

生体内のコレステロールには、肝臓で合成される内因性コレステロールと、小腸から吸収される外因性コレステロールとがある。

また外因性コレステロールは、食事により摂取される食事性コレステロールと、肝臓で作られ胆汁酸として腸管に排泄される胆汁性コレステロールに分けられる。

食事からのコレステロールを減らす

体内のコレステロール量を減らすには、肝臓でのコレステロール合成を低下させるか、食物からの吸収を低下させる方法が基本です。
肝臓でのコレステロール合成を低下させる薬としてはHMG-CoA還元酵素阻害薬があります。

一方、食物からのコレステロールの吸収を防ぐ薬には、胆汁酸結合樹脂である陰イオン交換樹脂(コレスチラミン、コレスチミド)が使われています。
食物とともにイオン交換樹脂を服用すると、腸管内において胆汁酸と結合してそのまま便とともに排出され、体内に食物からのコレステロールが吸収されません。
しかし、陰イオン交換樹脂は食事の前に水に溶かして飲む粉末で、錠剤に比べて飲みにくい点や、コレステロール以外にも脂溶性ビタミン(A、D、E,K)あるいは葉酸塩なども同時に結合してしまうなどの欠点があります。

そこで、小腸でのコレステロールの吸収を選択的に阻害する薬を探すというコンセプトのもとで見つけだされたのが、エゼチミブです。
コレステロール吸収の分子メカニズムは長い間不明でしたが、2004年にエゼチミブの研究開発を行った米国シェリング・プラウ社の研究
者により、小腸壁細胞に存在するタンパク質のコレステロールトランスポーター(NPC1L1)が、コレステロールの吸収に関与することを解明しました。
エゼチミブはこのNPC1L1に結合して、コレステロールがNPC1L1に結合できないようになり、胆汁中や食事中のコレステロールは体内に吸収されなくなるのです。

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

ゼチーアは小腸粘膜細胞に存在するNPC1L1経路を阻害して、小腸における食事及び胆汁中のコレステロール吸収を選択的に阻害する。
2007年4月に承認された。

小腸壁で食事性及び胆汁性のコレステロールの吸収を選択的に阻害する。
小腸からのコレステロール吸収の約半分がコレステロールトランスポーターであるNPC1L1により吸収され、本剤はNPC1L1を特異的に阻害することによってLDL-Cを中心とする脂質異常を改善する。

レジンと異なり体内に吸収され、腸肝循環を経たのち約78%が糞便中に排泄される。
コレステロール吸収を選択的に阻害するため、ビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンの吸収には全く影響を与えない。
また、インスリン抵抗性改善効果や脂肪肝改善効果が期待される。

ゼチーアとスタチン製剤を併用することによって、LDL値を下げる効果が大きくなることや、心血管疾患の発症抑制効果があることが知られています。

・小腸粘膜に存在する小腸コレステロールトランスポーター(NPC1L1)を阻害して、小腸での食事および胆汁由来のコレステロール吸収を抑制することにより、血中コレステロール低下作用を示す
・コレステロール吸収を選択的に阻害するため、脂溶性ビタミンの吸収には影響を与えない
・肝臓でのコレステロール生合成が代償的に亢進するため、スタチンとの併用により、血中コレステロールが相補的に低下する

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬の副作用

・主な副作用は消化器症状(便秘、下痢、腹痛など)である
・スタチン同様、CK上昇や筋脱力などのミオパチー様症状、横紋筋融解症が稀ながら報告されている

単独でも有効であるが、スタチンとの併用で相乗的なLDLが得られる。
スタチンと同様、CRP低下作用も報告されているが、大規模試験による心血管イベント減少が確認されていない。
今後の報告が期待される。
スタチンで十分なLDL-C低下が得られない場合の併用薬として有用。
フィブラート薬との併用薬としてはスタチンより安全性が高い。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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