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脂質異常症治療薬の一覧
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脂質異常症治療薬の一覧
分類 | 商品名 | 一般名 | 剤形・規格 | |
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スタチン系 | スタンダードスタチン | メバロチン | プラバスタチンナトリウム | 細粒(0.5%、1%)、錠(5㎎、10㎎) |
リポバス | シンバスタチン | 錠(5㎎、10㎎、20㎎) | ||
ローコール | フルバスタチンナトリウム | 錠(10㎎、20㎎、30㎎) | ||
ストロングスタチン | クレストール | ロスバスタチンカルシウム | 錠(2.5㎎、5㎎)、OD錠(2.5㎎、5㎎) | |
リピトール | アトルバスタチンカルシウム水和物 | 錠(5㎎、10㎎) | ||
リバロ | ピタバスタチンカルシウム水和物 | 錠(1㎎、2㎎、4㎎)、OD錠(1㎎、2㎎、4㎎) | ||
PCSK9阻害薬 | レバーサ | エボロクマブ | 皮下注ペン(140㎎)、皮下注オートミニドーザー(420㎎) | |
MTP阻害薬 | ジャクスタピッド | ロミタピドメシル酸塩 | カプセル(5㎎、10㎎、20㎎) | |
レジン(陰イオン交換樹脂) | クエストラン | コレスチラミン | 粉末(44.4%) | |
コレバイン | コレスチミド | ミニ顆粒(83%)、錠(500㎎) | ||
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 | ゼチーア | エゼチミブ | 錠(10㎎) | |
プロブコール | シンレスタール/ロレルコ | プロブコール | シンレスタール:細粒(50%)、錠(250㎎) ロレルコ:錠(250㎎) |
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ベザトールSR/ベザリップ | ベザフィブラート | 徐放錠(100㎎、200㎎) | ||
リピディル/トライコア | フェノフィブラート | 錠(53.3㎎、80㎎) | ||
ニコチン酸系薬 | ペリシット | ニセリトロール | 錠(125㎎、250㎎) | |
ユベラN | トコフェロールニコチン酸エステル | カプセル(100㎎)、ソフトカプセル(200㎎) | ||
コレキサミン | ニコモール | 錠(200㎎) | ||
多価不飽和脂肪酸 | ロトリガ | EPA+DHA | 粒状カプセル | |
エパデール | イコサペント酸エチル(EPA) | エパデール:軟カプセル(300㎎)、エパデールS:小型軟カプセル(300㎎/包、600㎎/包、900㎎/包)、エパデールEM:軟カプセル(2g/包) | ||
その他 | エラスチーム | エラスターゼES | 錠 | |
MDSコーワ | デキストラン硫酸エステルナトリウム イオウ18 | 錠(150㎎、300㎎) | ||
ハイゼット | ガンマオリザノール | 細粒(20%)、錠(25㎎、50㎎) | ||
配合剤 | スタチン+NPC1L1阻害薬 | アトーゼット | エゼチミブ・アトルバスタチンカルシウム水和物 | 配合錠LD(エゼチミブ10㎎、アトルバスタチン10㎎)、配合錠HD(エゼチミブ10㎎、アトルバスタチン20㎎) |
ロスーゼット | エゼチミブ・ロスバスタチンカルシウム | 配合錠LD(エゼチミブ10㎎、ロスバスタチン2.5㎎)、配合錠HD(エゼチミブ10㎎、ロスバスタチン5㎎) | ||
リバゼプ | エゼチミブ・ピタバスタチンカルシウム水和物 | 配合錠LD(エゼチミブ10㎎、ピタバスタチン2㎎)、配合錠HD(エゼチミブ10㎎、ピタバスタチン4㎎) |
脂質異常症治療薬の分類
脂質異常症の治療薬は、主にコレステロールを下げる薬と、トリグリセライドを下げる薬に分けられる。
高コレステロール血症治療薬 | 高トリグリセライド血症治療薬 |
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・HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン) ・小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 ・陰イオン交換樹脂(レジン) ・プロブコール ・PCSK9阻害薬 ・MTP阻害薬 | ・フィブラート系薬 ・ω-3系多価不飽和脂肪酸 ・ニコチン酸誘導体 |
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)
HMG-CoA還元酵素阻害薬は、~スタチンというステムを持つため、スタチン系薬とも呼ばれる。
スタチンは肝細胞におけるコレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を拮抗的に阻害することで、コレステロールの産生を強力に低下させます。これにより、肝細胞内のコレステロールが減少してLDL受容体の合成が亢進し、肝臓に取り込まれるLDLが増加し、血中LDLが減少します。
HMG-CoA還元酵素阻害によりVLDLの合成も抑制し、トリグリセリドの低下ももたらす。
体内でのコレステロール生成は、夜間に亢進するため、夕食後の服用が特に有効です。
水溶性のスタチンは脂溶性スタチンに比べ副作用が起こりにくいと言われています。
水溶性スタチン:プラバスタチン(メバロチン)、ロスバスタチン(クレストール)
脂溶性スタチン:シンバスタチン(リポバス)、フルバスタチン(ローコール)、アトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
エゼチミブは小腸壁細胞におけるコレステロールの吸収に関係しているコレステロールトランスポーター(NPC1L1)を阻害して、小腸からの外因性コレステロールの吸収を平均54%阻害し、血清中のコレステロール濃度を低下させます。従来の脂質代謝異常治療薬は、肝臓でコレステロールの生合成と分泌過程に作用するものがほとんどで、作用機序が全く異なるため、新たな脂質異常症への治療の選択肢になっています。
陰イオン交換樹脂とは異なり、脂溶性ビタミンなどの吸収には影響を与えずに血中のLDLコレステロールを低下させます。
エゼチミブは、小腸から速やかに吸収され、小腸又は肝臓でグルクロン酸抱合を受けて、胆汁中に排泄された後、再吸収され腸肝循環により長時間作用します。CYPの代謝を受けないため、併用薬との相互作用を受ける危険性が少なく、副作用も比較的少ない薬剤です。
腸肝循環を繰り返すため、1日1回の服用でよいです。
エゼチミブは、分子標的であるNPC1L1に遺伝子多型が存在し、効果には個人差があると知られています。
陰イオン交換樹脂(レジン)
樹脂のことをレジンといいます。樹脂のJISによる定義は「通常は軟化又は溶融範囲を有し、かつ通常は貝殻状に割れる固体、半固体、又は凝固体の有機材料」とされています。
陰イオン交換樹脂は、腸管内で胆汁酸と結合してミセル形成を起こしにくくすることで、コレステロールの吸収を阻害するとともに小腸での胆汁酸の再吸収を抑制し、便中への排泄を促進し、コレステロールから胆汁酸への異化を促進する。その結果、肝臓内コレステロールプールが減少しLDL受容体の合成亢進が起こる。
樹脂のため、温水で飲むと薬がふくらみ、飲みづらくなったり、気道に入って呼吸困難を起こすことがあるので冷水で飲む。
プロブコール
プロブコールは、もともとタイヤのゴムの酸化防止剤として開発された抗酸化物質。
LDLの酸化・変性を防ぎ、動脈硬化を抑制する。
プロブコールはコレステロールの胆汁中への排泄を促進(異化排泄促進)ことでコレステロール量を減らす作用をあらわす。
PCSK9阻害薬
PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9=プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9)阻害薬には、レパーサがある。
PCSK9は主に肝臓で合成分泌され、LDL受容体と結合して、LDL受容体の分解を促進します。血中にPCSK9が過剰に存在すると、LDL受容体数が減少し、LDL取り込みが抑制され、LDL-コレステロールが上昇します。
そのため、PCSK9阻害薬によりLDL受容体が安定化してLDL-コレステロール低下作用を発揮します。
MTP阻害薬
MTP阻害薬は、肝細胞や小腸上皮細胞に存在するMTP(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質)を阻害することで、LDLコレステロールを低下させる薬です。
ジャクスタピッドがあります。
MTP は、小胞体内腔に見られる細胞内脂質転送たん白質であり、膜間における個々の脂質分子の結合及び転送を司っている。MTPは、トリグリセリド(TG)をアポ蛋白Bという物質へ転送することで、肝臓においてはVLDL(超低密度リポタンパク質)、小腸においてはカイロミクロンという物質の形成に関わっている。
フィブラート系薬剤
~フィブラートというステムをもつ。
フィブラート系薬剤は、核内受容体のペルオキシソーム増殖応答性受容体(PPARα)を活性化して、肝細胞での脂肪酸のβ酸化を亢進し、トリグリセライドの合成を抑制する。
また、フィブラート系薬剤はIL-6の産生抑制による血管平滑筋における抗炎症作用や、インスリン抵抗性の改善作用、新規糖尿病の発症抑制、動脈硬化性疾患の発生を予防します。
PPARにはα、β、γの3種類のサブタイプが確認されており、PPARαは主に肝、腎、心、骨格筋に分布し、脂肪酸代謝に重要な役割を担っている。PPARγは脂肪組織に多く発現し、脂肪細胞の分化や脂肪蓄積の調節、インスリン作用等に関与している。糖尿病治療薬のチアゾリジン系薬はPPARγに作用する。
ベザフィブラートは、PPARγを活性化する作用もあり、血糖降下作用を示す可能性がある。
パルモディア(ペマフィブラート)はPPARαへの選択性が特に高く、選択的PPARαモジュレーターともよばれ、既存のフィブラート系薬剤よりも高い有効性と安全性が期待されている。
ニコチン酸誘導体
ニコチン酸誘導体はビタミンB群の一種で、ナイアシンとも呼ばれる。
脂肪組織のニコチン酸受容体を刺激し、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を抑制する。
リポ蛋白リパーゼ(LPL)の活性を促進することで、血清トリグリセライドを低下させる。
多価不飽和脂肪酸
魚の油を原料としたイコサペント酸(EPA)を含む製剤で、脂質合成を抑える作用やリポ蛋白の代謝を促進させるなどの様々な作用をもつとされる。
血小板でのアラキドン酸代謝を競合的に阻害し、TXA₂の生成を阻害することによって血栓形成を抑制する(TXA₂のかわりに、血小板凝集作用の弱いTXA₃が生成される)。
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