2025年10月5日更新.2,642記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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似ている構造式の薬一覧

▶誘導体に禁忌の主な薬一覧

構造分類医薬品名一般名添付文書の禁忌の記載
ピペラジン誘導体アタラックスヒドロキシジン塩酸塩本剤の成分、セチリジン、ピペラジン誘導体、アミノフィリン、エチレンジアミンに対し過敏症の既往歴のある患者
ザイザルレボセチリンジン塩酸塩本剤の成分又はピペラジン誘導体(セチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある患者
ジルテックセチリジン塩酸塩本剤の成分又はピペラジン誘導体(レボセチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある患者
シロリムス誘導体アフィニトールエベロリムス本剤の成分、シロリムス又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
サーティカンエベロリムス本剤の成分、シロリムス又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
ラパリムスシロリムス本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
スルホンアミド誘導体アマリールグリメピリド本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
オイグルコングリベンクラミド本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
グリミクロングリクラジド本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ジメリンアセトヘキサミド本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
セレコックスセレコキシブ本剤の成分又はスルホンアミドに対し過敏症の既往歴のある患者
ダイアートアゾセミドスルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
ダイアモックスアセタゾラミド本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
デアメリンSグリクロピラミド本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ラシックスフロセミドスルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
ルプラックトラセミド本剤の成分又はスルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
ピペリジン誘導体アリセプトドネペジル塩酸塩本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
ピロリドン誘導体イーケプラレベチラセタム本剤の成分又はピロリドン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
カルバメート誘導体イクセロンパッチ/リバスタッチパッチリバスチグミン本剤の成分又はカルバメート系誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
トリアゾール誘導体イノベロンルフィナミド本剤の成分又はトリアゾール誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
Gn-RH誘導体スプレキュア点鼻液ブセレリン酢酸塩本剤の成分又は他のGnRH誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
ナサニール点鼻液ナファレリン酢酸塩本剤の成分又は他のGn-RH誘導体に対して過敏症の既往歴のある患者
チアジド系薬剤ナトリックスインダパミドチアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルフォンアミド誘導体)に対して過敏症の既往歴のある患者
ノルモナールトリパミドチアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルホンアミド誘導体)に対し過敏症の既往歴のある患者
フルイトラントリクロルメチアジドチアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルホンアミド誘導体)に対する過敏症の既往歴のある患者
ベハイドベンチルヒドロクロロチアジドチアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルフォンアミド誘導体)に対する過敏症の既往歴のある患者

誘導体

ほとんどの薬の禁忌には、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」という記載があるが、例えばセレネースの禁忌には、「本剤の成分またはブチロフェノン系化合物に対し過敏症の患者」と記載されており、リンラキサーには「本剤及び類似化合物(メトカルバモール等)に対し過敏症の既往歴のある患者」と過敏症の既往歴の範囲が異なる。

また、禁忌の項目に「〇〇誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者」という記載がみられる薬がある。誘導体と聞くと、キサンチン誘導体やチアゾリジン誘導体は耳馴染みがあるが、医薬品はさまざま誘導体に分類されている。添付文書の禁忌の項目に記載されている誘導体には以下のようなものがある。

シロリムス誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、カルバメート系誘導体、トリアゾール誘導体、ピロリドン誘導体、Gn-RH誘導体、スルホンアミド誘導体

これらの誘導体名で言われても、どのような医薬品が属するのかピンと来ない。構造式の似た成分で過敏症が起これば、その薬でも過敏症を起こす可能性は高いので、当該薬に対しアレルギー反応、副作用を起こしたことのある患者については、構造式をチェックし、類似薬が処方されていないか確認する必要があるだろう。

■シロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者に禁忌の薬

【シロリムス(ラパリムス)】

【エベロリムス(アフィニトール、サーティカン)】

■ピペラジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者に禁忌の薬

【ヒドロキシジン塩酸塩(アタラックス)】

【セチリジン塩酸塩(ジルテック)】

【レボセチリジン塩酸塩(ザイザル)】

■ピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者に禁忌の薬

【ドネペジル塩酸塩(アリセプト)】

■トリアゾール誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者に禁忌の薬

【ルフィナミド(イノベロン)】

■スルホンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者に禁忌の薬

【グリメピリド(アマリール)】

【トリクロルメチアジド(フルイトラン)】

【インダパミド(ナトリックス)】

【フロセミド(ラシックス)】

【アゾセミド(ダイアート)】

【アセタゾラミド(ダイアモックス)】

【セレコキシブ(セレコックス)】

また、各医薬品の製薬会社のホームページに誘導体に関する記載がみられるものもあった。
アリセプトのエーザイのHPにはピペリジン誘導体を含有する薬剤について記載されている。

アリセプトのすべて ART1060FKE Q77 P105

リバスタッチパッチの小野薬品工業のHPにはカルバメート系誘導体に関する記載がみられた。

カルバメートとはカルバミン酸エステル( >N-CO-O- )の総称です。
薬効分類番号1225「カルバメート系製剤」に分類される医薬品として、リンラキサー錠(一般名:カルバミン酸クロルフェネシン)、ロバキシン顆粒(一般名:メトカルバモール)があります。
なお、カルバメート系誘導体の医薬品(薬効分類番号1225には分類されていないが、カルバメートの構造をもつ医薬品)として、ワゴスチグミン(一般名:ネオスチグミン)、メスチノン(一般名:ピリドスチグミン)、ウブレチド(一般名:ジスチグミン)などがあります。

しかし、アリセプト以外のピペリジン誘導体、リバスタッチ/イクセロン以外のカルバメート系誘導体には、禁忌の項目には、それぞれの誘導体名の記載はない。

大抵の薬の禁忌項目には、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」という記載のみであるが、例えばセレネースの禁忌には、「本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の患者」と記載されており、リンラキサーには「本剤及び類似化合物(メトカルバモール等)に対し、過敏症の既往歴のある患者」と禁忌の範囲が異なる。

大体、似た成分で過敏症が起これば、その薬でも過敏症を起こす可能性は高いので、全て「本剤及び類似化合物に対し、過敏症の既往歴のある患者」とすればスッキリするような気もするが、禁忌にしてしまうと使いづらくなるので、「本剤」のみにしている薬が多いのかも知れない。

ザジテン飲んで薬疹起こした人にアリセプト使えないとかになると不便極まりない。

モーラスとリピディルは似ている?

ケトプロフェン(モーラス)とフェノフィブラート(リピディル)は構造が似ているので交叉感作性を有するというのは有名だが、モーラステープの添付文書上の禁忌の記載は以下のように書かれている。個別の成分名について詳しく記載されているので、わかりやすい。

チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者[これらの成分に対して過敏症の既往歴のある患者では、本剤に対しても過敏症を示すおそれがある。]

これはケトプロフェンとその光分解物が共有するベンゾフェノン骨格が、フェノフィブラートと共通しており、ケトプロフェンとフェノフィブラートの間に交叉感作があるためである。

ほかにもスレンダム軟膏(スプロフェン)などもベンゾフェノン構造を有している。

【ケトプロフェンの構造式】

【フェノフィブラートの構造式】

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