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健康食品は軽減税率の対象?ドラッグストアの商品はどこまで軽減税率?
公開. 更新. 投稿者:健康食品/OTC.この記事は約4分22秒で読めます.
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ドラッグストアの商品はどこまで軽減税率?

2019年10月、日本の消費税率がついに10%へと引き上げられました。
同時に導入された「軽減税率制度」。
それからすでに数年が経ち、消費者も事業者も慣れたような、慣れきれないような複雑な心持ちを抱えているのではないでしょうか。
ドラッグストアは、医薬品・食品・日用品と多岐にわたる商品を扱います。
同じ店舗の中で「軽減税率8%」「標準税率10%」が混在するため、レジ業務も案内も煩雑です。
改めて、現状のルールを確認し、どのような商品が軽減税率の対象となるのか整理しておきましょう。
軽減税率の基本
まず、大前提となる考え方をおさらいします。
軽減税率8%が適用されるのは、大きく2つのカテゴリーです。
・飲食料品(酒類を除く)
・定期購読契約に基づく新聞(週2回以上発行)
ここでいう「飲食料品」には、一般的な食品・飲料だけでなく、食品に該当する健康食品やサプリメント、オブラートなども含まれます。
一方で、標準税率10%が適用されるのは、飲食料品に当たらないものです。
医薬品や医薬部外品は、たとえ口から摂取するものであっても「食品」ではありません。
この境界線が特にややこしいポイントになっています。
ドラッグストアで見かける代表的な商品と税率
2025年6月時点での最新の情報に基づき、具体例を整理します。
軽減税率8%(食品扱い)
●食品全般
・お菓子、調味料、米、飲料(アルコール度数1%未満)
・ノンアルコールビール(アルコール度数0.00%)
・甘酒(アルコール度数1%未満)
●サプリメント
・ビタミン、ミネラルの錠剤(※食品扱いのもの)
●オブラート
・デンプン由来で食品扱い
●離乳食、栄養補助食品(医薬品でない場合)
●水(容器入りのミネラルウォーターなど)
標準税率10%(食品扱いでない)
●医薬品
・風邪薬、頭痛薬、アレルギー薬など
●医薬部外品
・栄養ドリンク(例:リポビタンD、チオビタドリンク)
・ビタミン剤(医薬部外品の指定を受けているもの)
●アルコール飲料
・ビール、日本酒、ワインなど(アルコール度数1%以上)
●ペットフード
・「人の飲食」に該当しない
●観賞魚・観賞用植物
・食用でない場合
●水道水
・店舗の蛇口から汲む水
●カタログギフト
・単品購入の新聞(定期購読でない)
例えば栄養ドリンクは?
よく質問されるのが、栄養ドリンクの税率です。
一見すると「飲み物だから8%では?」と思いがちですが、
「医薬部外品」に指定されている栄養ドリンクは食品扱いではありません。
具体例:
・リポビタンD:10%
・チオビタドリンク:10%
・アリナミンV:10%
・コンビニのエナジードリンク(食品扱いの清涼飲料水):8%
同じ「疲れたときに飲む液体」でも、医薬部外品かどうかで税率が変わるのです。
これは実務上も間違えやすいポイントです。
オブラートはなぜ8%?
意外に知られていないのが「オブラート」。
オブラートはデンプンを原料とする食品に該当するため、8%です。
たとえ「薬を包む用途」で販売されていても、商品自体は食品分類です。
イートイン利用の落とし穴
消費税法では、「食事の提供」=店内飲食は軽減税率の対象外です。
ドラッグストア併設のイートインスペースで買ったカップ麺や弁当を食べると、原則10%です。
「持ち帰り用です」と申し出てレシートに記載しても、その場で食べてしまえば「食事の提供」とみなされ、理論上は10%が適用されます。
実務上は、申告ベースで運用している店舗が大半ですが、厳密には税率区分を分ける必要があります。
従業員の昼食は?
社員食堂で提供する食事は「食事の提供」に該当します。
同様に、勤務先のドラッグストアで買って休憩室で食べると、10%が適用される建前です。
「面倒だから全部8%でいいじゃないか」という声も多いですが、法令上は「飲食設備での飲食」は10%です。
店頭での案内とレジの注意点
レジでは以下を特に確認しましょう。
●商品分類の確認
・食品か医薬品・医薬部外品か
・アルコール含有量(1%以上は酒税対象)
●利用形態の確認
・テイクアウトかイートインか
●領収書の明記
・「軽減税率対象」かどうかの表示義務(軽減税率対商品は「※」などマークをつける)
軽減税率導入後の課題
導入から数年経ちますが、現場ではいまだにトラブルが絶えません。
・税率の説明が不十分で誤解が起こる
・レジシステムの設定ミス
・従業員教育が追いつかない
特に、同じ「飲料」「栄養補助食品」でも医薬部外品かどうかで税率が変わるため、消費者から「なぜこれは10%なのか」と質問される場面が多いです。
軽減税率は今後どうなる?
2025年時点では、制度に大きな改正は入っていません。
ただし、将来的に見直しの議論が起こる可能性は残っています。
例えば、
・対象品目の整理・縮小
・インボイス制度とのさらなる統合
などが検討されています。
現行ルールとしては、2019年10月に決まった区分がそのまま継続中と考えて差し支えありません。
最後に
正直、軽減税率は「複雑で分かりにくい」と感じる方が多いと思います。
「オブラートは8%で、リポビタンDは10%」
「同じ弁当でも店内で食べたら10%、持ち帰ったら8%」
これだけでも十分ややこしい。
ただし、事業者としては
・税率区分を正しく分ける
・レシートに記載する
・消費者へ分かりやすく説明する
この3つが求められます。
消費者の立場でも、「医薬品や医薬部外品は食品扱いではない」という点だけでも覚えておくと、買い物の際に戸惑わずに済むでしょう。
2025年も引き続き、軽減税率のルールに変化はありません。
しかし、実務上の運用やレジシステムの更新が進んでいますので、定期的に最新情報を確認する習慣が大切です。
わかりにくい制度ですが、私たちの日常と密接に関わるテーマでもあります。
「何が8%で何が10%か」迷ったときは、遠慮なくレジで質問してください。
知っておくことで、無用なトラブルや誤解を防ぐことができます。