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服薬支援グッズ
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約3分46秒で読めます.
5,154 ビュー. カテゴリ:服薬支援
薬を飲むときに困る色々な問題を解決するのが、薬剤師の仕事です。
飲み忘れが多いようなら一包化、飲み込みが悪いようなら粉砕、といった調剤手技的なものから、ジュースに入れて飲む・ゼリーに混ぜて飲むといったアドバイス的なものもあります。
小さい錠剤や散剤への変更を提案する、簡易懸濁法で対応するといったことも考えられます。
また、市販されている便利な道具を使って、服薬をサポートするということも考えられます。
身体の不自由な患者さんが抱える問題には以下のようなものがある。
患者の状況 | 服薬行動に関する状況 |
---|---|
運動機能障害 筋力低下 リウマチ 脳卒中片麻痺 | ・薬をつかめない ・シートから出せない ・袋を開封できない ・半錠にできない ・点眼薬のキャップがはずせない ・点眼薬がうまくさせない ・貼付剤の開封口の開閉ができない ・湿布がうまく貼れない ・軟膏を終わりまで取り出せない ・軟膏容器の先端に穴があけられない ・坐薬が挿入できない |
寝たきり | ・残薬がある ・飲み間違いがある |
嚥下障害 | ・飲み込めない(嚥下反射遅れ、薬の咽頭への送り込み困難、麻痺) ・誤嚥しやすい ・服薬時の姿勢が保てない |
視覚障害 | ・ほとんど見えない ・あまり見えない ・薬袋の字は少し読める ・点字が読める |
聴覚障害 | ・ほとんど聞こえない ・大きな声であれば聞き取れる |
失語症 | ・構音障害あり ・嚥下障害を伴う ・失語症あり |
理解力の低下 認知症など | ・服薬の理解力がない ・服薬の理解力は少しある |
これらの問題を解決するために、使用できそうなツールを紹介する。
嚥下補助ゼリー
ただ単に飲み込みが悪いのであれば、市販のゼリーでもいいと思いますが、高齢者で様々な合併症、糖尿病や腎機能障害などを抱えている患者さんだと、カロリーにも気を使った商品の方が良いでしょう。
服薬カレンダー
服薬支援グッズの定番、お薬カレンダーです。
今は100円ショップでも買えます。
セヌール
背中のかゆみや、ニキビなどで、背中に薬を塗る、あるいは背中に湿布を貼る必要のある患者がいます。
パートナーや家族のいる方であれば、相手に頼むこともできますが、独り身の患者さんにとっては難しい作業となる。
背中に薬を塗る方法としては、孫の手のような長いものの先端に薬をつけて、それを背中に塗布する。
あるいは背中に塗るための専用のグッズも存在する。
このセヌールがあれば、かゆい背中にも届く。
とは言っても、背中に薬を塗る程度のことで買うのももったいないという人もいる。
サランラップを使う方法もある。
サランラップに塗り薬を出して、背中を洗う要領で塗る。
サランラップに塗り薬を出して、その上に寝て、上下左右にこすってみる。
ひとりでペッタンコ
背中に湿布を貼る方法としては、「ひとりでペッタンコ」というグッズが存在する。
しかし、整形外科に通院するおじいちゃんおばあちゃんには、極端に可動域の狭い、手の上がらない患者もいて難儀する。
床に湿布をおいて、寝転がって貼るという手段もありますが、くっつきが悪いし、目的の箇所に貼れなかったりする。
目の届かない、手の届かない場所に薬を使うのは難しいですね。
ピルカッター
大きめの錠剤が飲み込みにくい場合、半分にカットして飲むというおじいちゃん、おばあちゃん、あるいは施設の職員が半分にカットして飲ませている場合もある。
アダラートCR錠とかを。
「この薬は半分に割ってはいけません」という指導は欠かさずに。
点眼補助具
目薬をうまく注せないという高齢患者は多い。パーキンソン病に限らず、緊張すると手が震えるという人も多い。
「やけに目薬の減りが早いなあ」という患者に聞くと、「1回で入らないから何回も注している」という話を聞くこともある。
軟膏絞り器
薬局での調剤支援にも使っていますが、市販でも売られています。
でも、「軟膏絞るのがつらい」という患者がいたら、容器に詰めてあげるほうがいいかな。
点字シール
目が見えないという患者の対応をしたことはありませんが、視力の弱い患者はたまにいる。
そんな患者には点字シールが助けになるかもしれない。
最近は服薬支援ロボみたいなものも増えてきています。
Amazonのアレクサや、Googleアシスタントなどを使った服薬支援というのもあるようです。
スマホのアプリもあります。
そのうち薬局も服薬ロボと連携して、服薬ロボ加算みたいなものが算定できるようになったりして。
患者の「困った」を解決するために、色んなものを紹介できるように薬局の中だけでなく、薬局外のツールにも目を向けてみましょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。