2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ナゾネックスと容量の違うジェネリック?

点鼻薬の容量

点鼻薬の容量なんて、とくに気にしたことがない。

目薬は1瓶5mLとか2.5mLとか、よく気にしている。

しかし、点鼻薬は28噴霧用とか56噴霧用といった回数は気にするが、容量は気にしない。

それはなぜか?

目薬の場合、薬価収載の単位が「mL」であるものが多いが、点鼻薬の場合、単位が「瓶」であるものが多いから。

1瓶の容量など、あまり気にしないのである。

モメタゾン点鼻液50μg「MYL」

ところが、今回販売されたナゾネックスのジェネリック、モメタゾン点鼻液50μg「MYL」はナゾネックスと容量が違うと聞いて、「?」それでいいのか?と疑問に思った。

まず、ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用の容量は10g。112噴霧用の容量は18gです。

しかし、モメタゾン点鼻液50μg「MYL」56噴霧用の容量は7g。112噴霧用の容量は13g。

そもそもナゾネックス56噴霧用が10gで、112噴霧用が20gではないところから「?」と思いますが、これは初回の予備噴霧分ということでしょうか。

含有量は、どちらとも

1g中 0.5mg
1回噴霧中 50μg

容量は違っても、1回噴霧によって鼻腔内に噴霧される量は同じである。
ナゾネックス10gを全部使い切れば100噴霧使えることになる。
モメタゾン点鼻液50μg「MYL」なら70噴霧使える。

モメタゾン点鼻液50μg「MYL」のインタビューフォームをみると、

・特殊なゲル基剤を使用することにより、高粘性であるが均一で微細な液滴噴霧を可能とする。
・上方排圧エアレス式容器を採用することにより、使用角度によらず、正確で安定的な 1 回噴霧量と 微細な液滴による安定した噴霧パターンを提供できる。
・高粘性ゲル基剤を用いたことにより、製剤中の懸濁粒子が沈降することがないため均一な懸濁状態 が維持されており、使用時の振とうは不要である。

といった特徴が書かれている。

容器や基剤を工夫することによって、安定した効果を発揮するようだ。

ナゾネックスの予備噴霧は10回、MYLの予備噴霧は5回。
ナゾネックスは毎回振とうが必要、MYLは振とう不要。

目薬の場合は予備点眼とか無いし、中に入っている容量がその薬の値段ということで良いが、点鼻薬の場合は鼻腔内に噴霧される量が適切であれば、容器内の容量は多少誤差が生じても構わないということか。喘息の吸入剤に近い扱いなのだろう。

ナゾネックス点鼻液からモメタゾン点鼻液50μg「MYL」への変更調剤は可能か?

ここが微妙なところです。

ナゾネックス点鼻液(先発医薬品)からの変更調剤は、保険請求上の問題は、恐らくありません。ファイザーも問題ないと言っている。

ただし、一般名処方の場合、
【般】モメタゾン点鼻液50μg10g
【般】モメタゾン点鼻液50μg18g
とくるわけです。

マスタ的には、【般】モメタゾン点鼻液50μg7g、【般】モメタゾン点鼻液50μg13gというのもあり、一般名処方できた場合には、戸惑います。

恐らくここも「保険請求上」はクリアできるだろう。

ただし、ファイザーも「先発医薬品と弊社モメタゾン点鼻液では1瓶の充填量が異なるため、処方医の先生のご意向および各地の審査支払機関にて見解が異なる場合がございます。その点においてご懸念がある場合は、原則として、各保険薬局様より、直接、処方元および関係する審査支払機関もしくは地方厚生局へお問い合わせください。」としており、念のため疑義照会してくれと言っている。

疑義照会して「量が違うジェネリックなんですけど・・・」とか言ったら、「じゃあ先発で出せ」とか「AGにしろ」とか言われそうだし、面倒だからここは初めからAG準備しといたほうが無難な気がする。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

4 件のコメント

  • ピクシー のコメント
         

    モメタゾンの代替えについて教えて下さい。

    ナゾネックス点鼻液50μg 56噴霧用 1373.5円なので
    1373.5円×2本=2747円→275点
    モメタゾン点鼻液50μg「杏林」 112噴霧用  1386円
    1386円×1本=1386円→139点なので変更可

    モメタゾン点鼻液50μg「杏林」 56噴霧用  2本
    →モメタゾン点鼻液50μg 「杏林」112噴霧用 1本へ代替え可能か?

    モメタゾン点鼻液50μg「杏林」 56噴霧用は698.9円なので
    698.9円×2本=1397.8円→140点

    モメタゾン点鼻液50μg「杏林」 112噴霧用なので1386円
    1386円×1本=1386円→139点なので変更可

    モメタゾン点鼻液50μg「杏林」 112噴霧用  1本
    →モメタゾン点鼻液50μg 「杏林」56噴霧用 2本へ代替え可能か?

    薬剤料が高くなるので変更不可

    上記の解釈でよろしいでしょうか?

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    変更してもよさそうですけどね。やったことありません。モーラステープ40㎎35枚を20㎎70枚に変更するのも解釈的にアリ?ですかね。
    私はチキンなので、どこかしらの疑義解釈に載っていない限りはしません。危ない橋はわたりません。
    お役に立てずにすみません。

  • ピクシー のコメント
         

    yakuzaic先生
    いつもありがとうございます。

    保医発0305第12号に含量規格の異なる後発品変更調剤においての通達文書の解釈でOKと解釈していましたが・・
    先生はいかがお考えですか?

  • yakuzaic のコメント
         

    解釈的には、アリだと思います。薬価も安くなるので。
    ただ、誤解とトラブルを生む可能性をはらんでいるので、やらないほうがいいと個人的には思っています。

コメント


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プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
著書: 薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
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