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喘息に適応のある抗ヒスタミン薬
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約3分6秒で読めます.
4,423 ビュー. カテゴリ:公害と薬
公害医療に関わる公費負担医療について。
大気汚染などの公害によって、気管支喘息にかかった患者がくることがあるが、その場合の対象薬剤について理解していないとレセプトで返戻されることがある。
東京都保健局の手引きに、以下のように記載されている。
公費支払の対象となる疾病は、気管支ぜん息及びその続発症(18歳未満の者は、気管支ぜん息、慢性気管支炎、ぜん息性気管支炎、肺気しゅ及びそれらの続発症)です。
続発症とは、疾病の進展過程において、これらの対象疾病を原疾患として二次的に起こりうる「肺性心」等に限られています。認定権者が認定審査会の意見を聞いて個別に続発症の疾病を認定し、医療券にその病名が記載されている場合に限り公費支払の対象となります。風邪、インフルエンザ、肺炎、気管支炎あるいはアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、そして薬剤の副作用による糖尿病、胃腸疾患等はこの制度の続発症として認めていないため、公費支払の対象疾病ではありません。
喘息患者がアレルギー性疾患を合併することはよくあり、喘息患者に抗ヒスタミン薬はよく処方されている。
しかし、気管支喘息に適応のある抗ヒスタミン薬は、アゼプチン、アレジオン、ザジテン、セルテクト、ゼスランと古い薬ばかりで、最近の薬剤、クラリチン、アレグラ、ビラノア、ザイザルなどには喘息の適応はなく、公害医療の適応とはならない。
喘息とヒスタミン
ヒスタミンはアレルギー反応の化学伝達物質であり、気管支喘息の病態においても重要な役割を果たしていると考えられてきました。
気管支喘息患者の肺胞洗浄液中のヒスタミン濃度は健常人と比べ有意に高いことが報告されている。
しかしH1受容体拮抗薬は気管支喘息の治療ガイドラインでは補助的な使用が推奨されているのみで治療薬剤としての地位は高くない。
気管支喘息の治療薬の第一選択は吸入ステロイド剤であり、加えて長時間作動型β2刺激薬、テオフィリン、短時間作動型β2刺激薬などの気管支拡張薬、そしてロイコトリエン受容体阻害薬がガイドラインで推奨されている。
気管支喘息の治療ガイドラインではH1受容体拮抗薬は補助的な位置におかれているが、アレルギー性鼻炎の治療ガイドラインでは中心的な治療薬剤である。
近年、アレルギー性鼻炎と気管支喘息の合併について大規模な調査がわが国でも行われた。
それによると気管支喘息患者のアレルギー性鼻炎合併率は70~80%と極めて高く、両疾患の増悪時期は一致している。
したがって、気管支喘息のコントロールのためには、アレルギー性鼻炎のコントロールが必要であるとの認識が広まってる。
事実アレルギー性鼻炎と気管支喘息は部位が違うものの粘膜炎症は極めて近似しており、同一疾患として治療すべきとの考え方が主流である。
したがって、アレルギー性鼻炎を合併した気管支喘息にとってH1受容体拮抗薬は臨床的に重要な治療薬剤であると考えられる。
気管支喘息に適応のある抗ヒスタミン薬:アゼプチン、アレジオン、ザジテン、セルテクト、ゼスラン
アルコール誘発喘息とは?
飲酒すると喘息症状が増悪しますが、これはアルコール誘発喘息と呼ばれています。
アルコールは喘息の重要な増悪因子の一つで、アルコールの摂取後に喘息発作を起こすケースが少なくありません。
アルコールはアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によってアセトアルデヒドに代謝され、その後アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)によって酢酸に代謝されます。
しかし日本人の約半数がALDHの遺伝子が低活性型であり、アセトアルデヒドから酢酸への代謝が進みにくいため、飲酒後に血中のアセトアルデヒド濃度が濃度が上昇してしまいます。
その結果、アセトアルデヒドは気管支粘膜の毛細血管を拡張し、肥満細胞や好塩基球の脱顆粒によってヒスタミンの遊離が促進され、気管支が収縮し、喘息発作が誘発されます。
飲酒により血中のアセトアルデヒド濃度が上昇し、ヒスタミン遊離を介して喘息症状を悪化させるため、気管支喘息を合併している場合、飲酒は控える。
抗ヒスタミン剤の予防投与
ちなみに、アルコール誘発喘息では、抗ヒスタミン剤をアルコール摂取当日に服用することで、発作を抑制できるとの報告がある。
このため、抗ヒスタミン剤がアルコール摂取時の発作予防薬として処方されることがある。
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