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二日酔いにおすすめの薬は?
公開. 更新. 投稿者:漢方薬/生薬.この記事は約10分41秒で読めます.
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二日酔いとアルピタン
私はお酒を飲むと必ず頭痛がする。
最近気になった商品が、「アルピタン」という「アルコールなどによる頭痛に」と謳っている頭痛薬である。
成分を見てみると、なんのことはない、五苓散であった。
さすが小林製薬。
「二日酔」に適応のある医療用薬は「五苓散」と「茵ちん五苓散」だけです。
アルピタン飲んでみましたが、ダメでした。
結局、頭痛だけでなく吐き気もくるので、何を飲んでも吐いてしまいます。
お酒を飲む前にも飲みましたが、結局飲めない人はダメですね。ある程度飲める人のための処方だと思います。
二日酔いに効く漢方薬
二日酔いには、黄連解毒湯合五苓散がファーストチョイスです。
黄連解毒湯は解毒作用があり、五苓散は飲酒後の口渇と尿量減少・浮腫を改善します。
飲酒の前に五苓散を服用しておくと、水分の代謝がよくなり、二日酔いを予防できます。
五苓散は重湯に溶いて飲む?
4.漢方の書物では五苓散は重湯(おもゆ)※に溶いて服用されています。この服用法を再現するために、賦形剤に重湯(おもゆ)の成分「コメデンプン」等を使用しました。
救心漢方 五苓散 │ 取扱製品一覧 │ どうき・息切れ・気つけに – 救心製薬株式会社
※「重湯(おもゆ)」とは米を多めの水で煮た、糊状の汁のことです。
五苓散は胃腸炎のときなどに処方されます。
でも、毎回重湯に溶いて飲むのも面倒ですね。
漢方薬というと、空腹時、食前、食間に飲むパターンが多いですが、この場合は食事中に飲むということになる。
二日酔いとビタミンC
二日酔いにシナールが効く、といった話を聞いたことがある。
医療用のシナールの成分は、
アスコルビン酸 200mg
パントテン酸カルシウム 3mg
である。
市販のシナールLホワイトやシナールイクシには、L-システインが含まれており、L-システインは二日酔い予防に有名なアミノ酸です。
L-システインはSH基を有する含硫アミノ酸で、グルタミン酸、グリシンとともに解毒機構で重要なグルタチオンの原料となる。
生体内でSH供与体として働き、アルコールの代謝を促進するSH酵素のアルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素を活性化する。
また、アセトアルデヒドと直接反応し無毒化する。
ちなみにムコダイン(カルボシステイン)が二日酔い予防に効くとは聞いたことが無い。
ここらへんの知識と混同しているのだろうか。
しかし、調べるてみるとビタミンCにも二日酔い予防効果はあるようだ。
アセトアルデヒドから酢酸への分解を助け、二日酔いを予防するという。
ハイチオールが二日酔いに効く?
しみ、そばかすにハイチオールC。
と、皮膚の美容目的で使われるイメージの強いハイチオール。
ハイチオールブランドにも色々ありますが、ハイチオールの成分といえば、L-システインというアミノ酸。
医療用のハイチオールはL-システインのみの成分です。
効能効果は、「湿疹、蕁麻疹、薬疹、中毒疹、尋常性ざ瘡、多形滲出性紅斑」と皮膚疾患のみ。
しかし、OTCのハイチオールCの効能効果は、
「しみ・そばかす・日焼けなどの色素沈着症。全身倦怠。二日酔。にきび、湿疹、じんましん、かぶれ、くすりまけ」
と、全身倦怠感や二日酔いにも効くと謳われています。
L-システインが全身倦怠感や二日酔いに効く理由は、肝機能をサポートする効果にあります。
二日酔いの原因はアセトアルデヒドという物質です。
アルコールが分解されてアセトアルデヒドになります。
アセトアルデヒドはさらに、酢酸に分解され、最終的に水と二酸化炭素に分解されます。
アルコールを分解するときに必要な酵素が、アルコール脱水素酵素。
アセトアルデヒドを分解するときに必要な酵素が、アセトアルデヒド脱水素酵素。
システインには、このアセトアルデヒド脱水素酵素を活性化する働きがあります。
システインにはSH基(チオール基)があり、同じくSH基を有する酵素(SH酵素)にSH基を供給し、活性化するというメカニズムらしい。
SH酵素は、その活性部分にSH基を融資、三大栄養素(糖・蛋白・脂質)の代謝・エネルギー発生や、解毒反応・皮膚代謝などに深くかかわっている生体機能維持に大切な酵素とされています。L-システインは、この大切なSH酵素にSH基を供給し、エネルギーの発生を促進することで全身倦怠(だるさ)に効果があります。
L-システインの力とは ハイチオール【エスエス製薬】
下戸の私は飲酒前にハイチオールを飲むと良いのかも。
酒飲みでγGTPが高いような人には、ハイチオールを勧めてみよう。
二日酔いとアセトアルデヒド
なぜ飲みすぎると、二日酔いなどの症状が起きるのか?
それは、体内に取り込まれたアルコールや、それが肝臓で分解されてできたアセトアルデヒドのしわざ。
アセトアルデヒドがさらに分解されれば、いやな気分も解消されますが、そのまま体内で停滞してしまうと、つらい状態が続いてしまいます。
鍛えればお酒に強くなる?
お酒が飲めない人でも鍛えれば強くなるとよく言います。
私はお酒が全く飲めないので、飲める人からよく言われますが、鍛えても強くなりませんでした。
お酒が弱い、強いというのは、遺伝で決まっている酵素の力なので、それを努力で変えることはできないようです。
習慣的に飲酒を続けていると、アルコールを解毒するためのP450が増えてきます。
増えたP450はアルコールをどんどん解毒し、さらにアルコールを飲めるようになります。
しかし、P450が増えるといっても、先天的にALDHが欠損している人では、お酒は強くなりません。
P450が増えてアルコールの分解が速くなっても、アセトアルデヒドを分解できないため、ジスルフィラム様作用が現れてしまいます。
二日酔いとアミノ酸
アラニンやグルタミンは、カラダの中でエネルギー源となる糖を新たに作り出すアミノ酸です(糖原性アミノ酸といいます)。
その際に、アルコールが分解される過程で作られるNADH(補酵素の一種)を消費するため、肝臓での分解反応がスムースに進むと考えられているのです。
そのため、これらのアミノ酸を摂取することは、肝臓でのアルコール分解の効率を上げ、二日酔いの回復に役立つ。
H2ブロッカーでお酒に弱くなる?
二日酔いの症状には、吐き気、頭痛、胃のむかつきなどいろいろありますが、「飲む前に飲む」的な胃腸薬を、二日酔い予防に飲むことがあります。
詳しく知らないお客さんが、胃薬なら何でもいいと思ってガスターを買っていこうとすることがありますが、ガスター10の使用上の注意には「本剤の服用の際は、アルコール飲料の摂取は控えてください。」 と記載されているので、飲む前に飲んではいけません。
逆に、H2ブロッカーを飲む前に飲んでしまうと、H2ブロッカーがアルコール脱水素酵素の活性を阻害し酔いやすくなるという可能性もあるようだ。
しかし、飲んだ後の吐き気にガスターを使うこともある。
吐き気止めと言えば、ナウゼリン、プリンペランですが、胃酸過多による吐き気にはガスターなどの制酸剤が処方される。
私はお酒に弱く、飲めば必ずといって良いほど吐きます。
二日酔いによる吐き気も、アルコールによる胃酸過多が原因です。アルコールは胃酸の分泌を促すため、胃酸過多の状態を引き起こし吐き気を催します。
H2ブロッカーとアルコール脱水素酵素
胃粘膜アルコール脱水素酵素(ADH)は、一部のH2ブロッカーにより、活性が阻害されることが報告されている。
具体的には、シメチジン、ラニチジン、ニザチジンにはADH阻害作用があり、ファモチジン、ロキサチジンには阻害作用が認められていない。
阻害の機序は不明だが、阻害活性が認められるH2ブロッカーの分子構造の比較により、側鎖部分が関与しているのではないかと推測されている。
ADH阻害活性のあるH2ブロッカーを服用していると、胃粘膜ADHが阻害されるため、血中アルコール濃度が阻害されるため、血中アルコール濃度が上昇しやすく、酩酊状態になりやすくなる。
ただし、日本人には胃粘膜ADHの欠損例が多く、欠損例では、H2ブロッカーを投与しても影響はない。
酩酊しやすさが人によって異なるのは、アルコール代謝酵素の活性に遺伝的な差があるためと考えられている。
飲酒後、胃や小腸から吸収され血中に移行したアルコールは、まず肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)もしくはミクロソームエタノール酸化酵素(MEOS)によってアセトアルデヒドに分解され、次に、肝臓のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって、アセトアルデヒドが酢酸に変換される。
これらの代謝酵素には、構成されるアミノ酸の違いから活性の異なる複数のタイプが存在しており、どのタイプを発現する遺伝子を持っているかが、酔いやすさの個人差の原因である。
さらに、最近になってADHは胃粘膜にも存在し、アルコール代謝に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。
胃粘膜ADHは、アルコールが胃粘膜から吸収される際に作用し、血中アルコール濃度の上昇を抑制する。
実際、胃切除をした患者が飲酒すると、胃切除をしていない患者に比べて著しく血中アルコール濃度が高まることが確認されている。
胃粘膜ADHにも個人差や人種差があり、例えば、一般に男性よりも女性が活性が低く、女性飲酒者にアルコール性肝障害が多い一因とも考えられている。
ウコンが二日酔いに効く?
ウコンは古くから、肝機能改善や健胃を目的に用いられており、二日酔い対策などをうたい文句に、多くの商品が出されている。
主成分のクルクミン以外に、鉄分などミネラル分か豊富に含まれることが知られている。
ただし品種が多く、さらに産地や栽培方法によっても成分含有量が違うため、商品ごとの鉄分含有量は大きく異なる。
鉄分含有量が多いことが、マスコミなどで話題となり、最近では、大手メーカーは鉄分含有量をウェブサイトで公開したり、減らした商品も売られている。
アルコールは肝臓で分解され、アセトアルデヒドになり、さらに酪酸になり、最終的に水と二酸化炭素になります。
アルコールを大量に飲むと、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解する能力をオーバーしてしまうので二日酔いになります。
ウコンに含まれる成分であるクルクミンには、肝機能を高める働きがあるといわれており、肝臓のアセトアルデヒド処理能力が高まるので、二日酔いの予防に効くそうです。
医療用のウルソやグリチロンなども肝機能を高めるという理屈でいけば、二日酔いに効果ありそうですが、肝臓の弱い方はお酒を控えましょう。
シジミは肝臓に良い?
シジミにはタウリンなど肝臓の働きを助ける成分や、良質のアミノ酸などが含まれているので、一般には肝臓に良いといわれています。
しかし、鉄分を多く含みます。
C型肝炎の患者では、肝臓に鉄分がたまりやすくなっており、たまり過ぎた鉄分が肝臓を傷つけることがあります。
シジミは控えたほうが良いのかも知れません。
プロヘパールが二日酔いに効く?
ヘパリーゼなどに含まれる肝臓水解物。
肝臓水解物とは、新鮮な哺乳動物の肝臓に消化酵素を加えて加水分解を行い、アミノ酸やペプチドの形にしたもの。
二日酔い予防に、「飲む前に飲む」、ウコンの力的な効果が期待される。
アルコールを解毒するのが肝臓。
なので、肝臓の働きを助けるには肝臓そのものを摂取すればよいというのはイメージがわきやすく説得力がある。
医薬品にもありまして、
ゴスペール・レバー腸溶錠、プロヘパール、肝臓加水分解物が含まれる。
「二日酔い」なんて適応はありませんが、「慢性肝疾患における肝機能の改善」に効く。
二日酔いにスポーツドリンク?
二日酔いの原因は、アルコールの中間代謝物質であるアセトアルデヒドです。
またアルコールの利尿作用により体内の水分が排出され、脱水症状状態になっています。
対処としては肉体的には脱水症状を起こしている為、大量に水分を補給することがまず第一です。
さらに肝臓でのアルコール分解には糖分が必要であり、糖分をとることも有効です。
この両方を満たし、体によく吸収される飲み物がスポーツドリンクというわけです。
二日酔いにキャベツが効く?
「胃痛、胃もたれ、胃のむかつきに」で有名なキャベジンコーワα。
二日酔いにも効くと有名です。
医療用でも、キャベジンUコーワ錠があります。
処方は見たことがありません。
市販薬のイメージが強いので、キャベジンなんか処方したら、患者からしてみたら、「ぞんざいに扱われた」と思うかも。
病院から処方される薬は「特別」でなければいけません。
キャベジンの成分は、メチルメチオニンスルホニウムクロライドです。
ビタミンUという別名もあります。
この成分は、キャベツに含まれるため、キャベジンという商品名になりました。
じゃあ、二日酔い予防にキャベツが効くかも?と思って、二日酔いの時にキャベツの千切りを食べようとしましたが、食欲も無いし、食べることは無理でした。
やっぱり二日酔いにはキャベツじゃなくてキャベジンですね。
胃がもたれやすい油ものを食べるときの付け合わせとしては、キャベツは優れています。
とんかつやコロッケなどの揚げ物には、必ずキャベツが付いています。
ビタミンUは熱に弱いので、キャベツは似たり焼いたりするよりも、生で食べたほうが体には良い。
しかし、胃が弱っている状態でキャベツを大量に摂取するのは、消化にパワーが必要とされるので、適度に摂取することをおすすめする。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
PPIは二日酔いにききますか
コメントありがとうございます。
二日酔いによる吐き気はアルコールによる胃酸過多が原因のため、PPIが効く可能性はあります。
しかし、二日酔い予防として、お酒を飲む前に薬を飲むようなことは止めましょう。