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妊婦にプロスタグランジン製剤は禁忌?
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約6分42秒で読めます.
6,153 ビュー. カテゴリ:妊婦に禁忌の胃薬
妊婦に禁忌、となっている胃薬があります。
サイトテックという薬です。
胃薬といっても、痛み止めの副作用予防のためにしか使われないので、通常処方されることは少ない。
サイトテックの適応症は、「非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与時にみられる胃潰瘍及び十二指腸潰瘍」
「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」には禁忌となっています。妊娠する可能性のある婦人・・・40歳、イヤ今だと50歳くらいまでは危険だと思ったほうがいいのでしょうか。
サイトテックには子宮収縮作用があり、妊婦で完全又は不完全流産及び子宮出血がみられたとの報告があります。
用法及び用量のところに、
「妊娠する可能性のある婦人に投与する際には別途配布の安全対策リーフレットをご参照ください。」
とある。
科研のホームページにリーフレットが載っています。
http://www.kaken.co.jp/medical/greendi/cytotec_201509di.pdf
サイトテックの適応外使用
サイトテックといえば、妊婦に禁忌の胃薬として有名ですが、適応外で妊婦に使われることがあるという話。
サイトテックの添付文書には、
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[本剤には子宮収縮作用があり、妊婦で完全又は不完全流産及び子宮出血がみられたとの報告がある。]
と書かれている。
サイトテックには子宮収縮作用がある。
そのため、子宮収縮薬と同じような効果が期待できるわけだ。
ウィキペディアには以下のような適応外使用が記載されている。
ミソプロストール – Wikipedia
・中絶
・分娩誘発
・不全流産
・産後出血
オキシトシンとかプロスタグランジンE2錠とかに比べると、薬価は安いので、経済的には使うメリットがあるのかも知れない。
あまり詳しくないのでわからないが、産後出血とかにはメテナリン(今は名称変更されてメチルエルゴメトリン)がよく処方されていた。メチルエルゴメトリンの薬価は安いから、これをサイトテックに変える意味は無いかな。
科研製薬からは「サイトテック錠の適正使用に関するお願い」というリーフレットも配布されている。
そこには以下のような文章が記載されている。
昨今、本剤において分娩誘発等を目的に経口投与又は腟内投与されるというケースが国内外で報告されており、その中には新生児に対する重篤な副作用が報告されております。また、分娩後の子宮収縮、弛緩出血の止血等を目的に使用した報告もありま すが、これらはいずれも適応外使用となります。
さらに、妊娠に気づかず本剤が投与された場合、流産を起こし妊娠が継続できなく なるおそれがあります。
以上より、本剤の投与に際しては【禁忌】、【原則禁忌】をご確認の上、【効能・効果】、 【用法・用量】以外でのご使用は避けていただきますよう、お願いいたします。
妊婦がムコスタ飲んでも大丈夫?
妊婦に禁忌の胃薬といえばサイトテック。
サイトテックはプロスタグランジン製剤。
プロスタグランジンE1誘導体らしい。
子宮収縮剤で治療的流産目的に使用されるプレグランディン膣坐剤もプロスタグランジンE1誘導体製剤です。
なので、サイトテックは妊婦に禁忌。
同じくプロスタグランジンE1誘導体のオパルモンも妊婦に禁忌。
オパルモンもサイトテックもPGE1誘導体なら、オパルモンに胃薬としての効果、サイトテックに血流をよくする効果があるってことかな?という疑問は次の機会に。
プロスタグランジンI2誘導体のドルナー/プロサイリンも妊婦に禁忌になってる。
PGI2にも子宮収縮作用があるのか、ただ単に万全を期しているのかはよくわからない。
陣痛促進剤としては、プロスタグランディンF2α製剤とプロスタグランディンE2製剤がある。
プロスタグランジンF2α誘導体のキサラタン点眼液は妊婦に禁忌とはなっていない。
目薬だから良いってことかなあ。
ただキサラタンの添付文書で妊婦の項目に、
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。なお、動物実験(妊娠ウサギ)における器官形成期投与試験において、臨床用量の約80倍量(5.0μg/kg/日)を静脈内投与したことにより、流産及び後期吸収胚の発現率増加、胎児体重の減少が認められた。]
と書いてあるので、中絶目的でキサラタンを飲んだりはしないように。
ムコスタとプロスタグランジン
ムコスタのスタはプロ(スタ)グランジンのスタという名称の由来もあります。
ムコスタのインタビューフォームの薬効薬理に関する項目に、
胃粘膜プロスタグランジン増加作用
ラットにおいて胃粘膜内プロスタグランジンE2 含量を増加させる。また、胃液中のプロスタグランジンE2、I2 を増加させるとともに、プロスタグランジンE2 の代謝産物である15-ケト-13,14-ジヒドロプロスタグランジンE2 も増加させる。
健康成人男子において、胃粘膜プロスタグランジンE2 含量を増加させ、エタノール負荷による胃粘膜傷害に対する抑制作用を示す。
と書かれている。
セルベックスにも同様のプロスタグランジン増加作用がある。
セルベールというOTCもありますが、妊婦でも使える。
妊婦に使っても問題ない、とみて良いのかな。
でも、プロスタグランジンを介して働くような薬は、NSAIDsもそうですが、あまり妊婦に使いたくは無いと思う。
サイトテックは12週まで?
サイトテックの適応症は、
「非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与時にみられる胃潰瘍及び十二指腸潰瘍」
NSAIDsを使用していることが基本。
重要な基本的注意には、
「本剤は原則として非ステロイド性消炎鎮痛剤を3カ月以上長期投与する必要がある関節炎患者等の胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の治療にのみ用いること。」
「本剤は非ステロイド性消炎鎮痛剤と併用投与することが可能である。非ステロイド性消炎鎮痛剤においては、消化性潰瘍のある患者は投与禁忌となっているが、本剤が投与されている場合はこの限りでない。」
という記載がみられる。
治療のみに用いるということは、予防的には使えない。
胃カメラで胃潰瘍をみつけて、それでも痛み止めを止めるわけにはいかなくて、サイトテックを併用しながらNSAIDsを続けるという患者。
「本剤を12週間以上投与しても改善傾向が認められない場合には、他の療法を考慮すること。」
3か月使ってもまだ胃潰瘍が治らなければ、改善傾向がみられないということになるので、サイトテックは中止。
胃潰瘍が治ったとしても、サイトテックから他の治療法に切り替えなければならない。
つまり、サイトテックは12週間までの処方ということになる。
けれど、実際にはサイトテックが連用されている患者もみられる。
妊婦に禁忌ということもあって、あまり安易に処方されるのは好ましくない薬であり、ある程度規制は必要なのだろう。
でも、NSAIDs潰瘍ができたならサイトテックを併用しながらNSAIDsを服用し続けるよりも、原因薬剤であるNSAIDsを中止するほうがベターな選択。
サイトテックで下痢?
サイトテックの副作用として下痢が高率に起こります。
下痢が起こる機序は、プロスタグランディンにより腸管腔へ多量の腸液が貯留するという「エンテロプーリング」が引き起こされるためと言われています。
エンテロプーリングは、プロスタグランディンの血中濃度が上がると起きやすくなるため、下痢の予防としては、急激に血中濃度を上げないことが必要です。
食直後の服用や、減量して投与するなどが有効です。
また、下痢を起こしやすい薬剤との併用を避けることも大切です。
サイトテックの用法は通常1日4回となっている。しかし、サイトテックで1日4回という処方は見たことがない。
副作用の下痢を考慮して、ってわけでもなさそうですが。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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