2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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イグザレルトは妊婦に禁忌?

抗凝固薬と妊婦

薬剤師

抗凝固薬って全部妊婦に禁忌じゃないの?

m3.comのクイズに以下のようなものがあった。

下記の薬剤のうち、妊婦に対して禁忌なのはどれか?

【選択肢】

A.アピキサバン(エリキュース)
B.リバーロキサバン(イグザレルト)
C.エドキサバン(リクシアナ)
D.ダビガトラン(プラザキサ)

抗凝固薬って全部妊婦に禁忌じゃないの?
と、思っていました。ワーファリンも妊婦に禁忌。
正解はB.リバーロキサバン(イグザレルト)のみ。

イグザレルトの添付文書をみると、以下のように記載されている。

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胎盤通過性(ラット)、子宮内出血、母動物に毒性があらわれる用量で総奇形発生率の増加(ウサギ)、死産の増加等の胚・胎児毒性、出生児の生存率低下及び一般状態の悪化(ラット)が報告されている。

ワーファリンも同じだが、催奇形性があるため妊婦に禁忌となっている。

妊婦への投与に関しては、リバ-ロキサバンのみが禁忌となっている。
しかし、他の3剤においても添付文書内では有益性投与となっており、「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」でも積極的に推奨されるものではないとの記載がある。

妊婦にバイアスピリンなどの抗血小板薬が処方されるケースは接したことがあるが、抗凝固薬を使用するケースには遭遇したことはない。
使わなければならない病態の場合、イグザレルトはNGと覚えておく。

イグザレルトの常用量は10mg?

複数規格ある薬の用量について、よく見かける処方量を常用量と思ってしまいがちですが、実は違ったりする。

イグザレルトの用量は、

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。

〈深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。

となっており、通常15mgで腎機能に問題のある患者が10mgとなっている。

しかし、受け付ける処方としては10mgがほとんどで、15mgの処方は少ない。ときどき15mgが処方されていると、間違って10mgを調剤してしまうというミスもしてしまうことが多い。10mgと20mgのほうが間違えにくいが、10mgと15mgというハンパな規格違いがミスを誘発する。

効果の持続時間は8〜12時間だが、第Xa活性は24時間以内では回復しないので、1日1回投与で用いられる。

クレアチニンクリアランスが低い患者(15〜49mL/min)では投与量を減じることが規定されているが、2016年3月に発表された前向き観察研究(XaPASS)の中間解析では、投与量を減じても重大な出血が多く(15mg群:1.1%/人年 vs.10mg群:1.6%/人年)、虚血性脳卒中も多い(15mg群:0.7%/人年 vs.10mg群:1.3%/人年)事が示された。

高齢患者ではクレアチニンクリアランス50未満の人もけっこう多いので、腎機能に応じて減量しているだけ、ということもあるが、比較的若い人でも10mg処方が多いのは、出血リスクが高い為ということか。

ワーファリンとは違い、新規抗凝固薬ではPT-INR等の血液凝固能検査が毎回行われるわけではなく、薬局での聴取も不十分になっている。ワーファリンに比べて出血リスクは低いが、十分な効果が出ているのか確認する必要がある。

イグザレルト錠10㎎と15㎎の調剤ミスに要注意

処方例

エリキュース錠5mg 2錠  
 1日2回朝夕食後 30日分

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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