2025年5月6日更新.2,475記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

イグザレルトと下肢血行再建術

イグザレルト錠2.5㎎の処方意図

イグザレルト錠(一般名:リバーロキサバン)といえば、10mg・15mgの心房細動や静脈血栓塞栓症(VTE)に使われる抗凝固薬として知られてきました。
しかし、2022年10月に2.5mgの新規格が発売されました。添付文書も他規格と異なり、まったく別の適応症が記載されています。

イグザレルト錠2.5mgの適応は、成人で「下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制」となっている。
動脈血栓には抗血小板薬が用いられることが多いので、イグザレルト錠2.5mgは抗血小板薬に近い位置づけになる。

下肢血行再建術施行後に適応のある薬としてはイグザレルト錠2.5㎎が初めての薬になる。

しかしイグザレルト錠2.5㎎の添付文書には、「アスピリン(81~100mg/日)と併用すること。」という記載があり、アスピリンの併用が前提となっている。
バイアスピリンには末梢動脈疾患の適応は無いので、一応適応外使用ということにはなる。ここらへんの齟齬はどうにかならないのかと思う。
プラビックス(クロピドグレル)の適応には、「末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制」とあるので、適応外にはならない。

下肢血行再建術とは?

下肢血行再建術とは、足の動脈が狭くなって血流が悪くなった状態(=末梢動脈疾患)に対して、血管を拡げる・バイパスを作るなどの処置を行う治療法です。ステント留置やバルーン拡張術、バイパス術などが該当します。

患者の典型的な経過
・足のしびれや間欠性跛行で整形外科を受診
・腰部脊柱管狭窄症と区別が難しい(両方合併することも)
・循環器科に紹介 → 画像検査・ABI検査でPADが判明
・血行再建術を実施後、抗血栓薬(イグザレルト2.5mg+アスピリン)が処方される

末梢動脈疾患

下肢のしびれや間欠性跛行を呈する血管系の疾患は、かつて「閉塞性動脈硬化症(ASO)」や「下肢慢性動脈閉塞症」と呼ばれてきました。これらはいずれも、動脈硬化によって下肢の血管が狭窄・閉塞する疾患群を指します。

しかし、現在では世界的に「末梢動脈疾患(Peripheral Artery Disease:PAD)」という用語が推奨されています。PADは、原因を問わず末梢の動脈が狭くなった状態全般を含む包括的な概念です。

なお、日本血管外科学会や日本循環器学会のガイドラインでも、「PAD」の表記に統一する流れが強まっています。一方で、レセプト請求や診療報酬上では「閉塞性動脈硬化症」「慢性動脈閉塞症」の病名が依然残っており、実務上は名称の使い分けが必要になることがあります。

薬剤師

薬剤師の人たちって、どうやって勉強してるんだろう…

先生

勉強法はいろいろあるが、タイムリーな話題や興味深いコンテンツを提供しているエムスリードットコムはおすすめ

コメント


カテゴリ

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
著書: 薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
SNS:X/Twitter
プライバシーポリシー

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

最新の記事


人気の記事

検索