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オパルモンとドルナーを併用しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約4分33秒で読めます.
13,684 ビュー. カテゴリ:オパルモンとドルナーの違いは?
ドルナーやプロサイリンはベラプロストナトリウム。
薬効分類は、経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体製剤。
効能効果は、
慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
原発性肺高血圧症
となっている。
オパルモンやプロレナールはリマプロスト アルファデクス。
薬効分類は、経口プロスタグランジンE1誘導体製剤。
効能効果は、
1. 閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善
2. 後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善
どちらもプロスタグランジン系の薬。
血行を良くする薬です、と説明している。
同じよな系統なので、併用しちゃダメなものだと思っていた。
でもPGE1誘導体とPGI2誘導体。
先日疑義照会をして、片方削除になったのですが、併用しても問題なかったのかな。
抗血小板薬の併用なんてのもザラにあるし。
ドルナー/プロサイリンの特徴
プロスタグランジンI2 誘導体製剤(ベラプロストナトリウム)はアデニレートシクラーゼの活性化により、血小板内cyclic AMPを増加させ抗血小板作用と血管拡張作用を発揮する。
慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善、原発性肺高血圧症に適用がある。
オパルモンの特徴
プロスタグランジンE1 誘導体製剤(リマプロストアルファデスク)は、プロスタグランジンI2 に匹敵する抗血小板作用を有する。
閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛及び冷感などの虚血性諸症状の改善と後天性腰部脊柱管狭窄症に伴う自覚症状及び歩行能力の改善に適用がある。
ドルナーとプレタールの併用はダメ?
とある資料で、ドルナーとアンプラーグの併用は作用機序が違うので可能であるが、ドルナーとプレタール、オパルモンとの併用は査定の対象となるということが書かれていた。
アンプラーグはセロトニン5-HT2受容体拮抗薬だからわかりますが、プレタールもNGってのがピンとこない。
そもそもプレタールの作用機序がピンと来ない。
作用機序に「本剤は血小板及び血管平滑筋のPDE3(cGMP-inhibited phosphodiesterase)活性を選択的に阻害することにより、抗血小板作用及び血管拡張作用を発揮する。」とあるので、PDE3阻害作用が中心となるのだろう。
血小板の凝集抑制を行うcAMPがPDE3で代謝されるので、PDE3を阻害すれば血小板凝集が抑制される。
作用機序に「本剤のイヌ血小板での血小板凝集抑制作用はプロスタグランジンI2或いはアデノシンの存在下で増強する。」とも書かれているのでPGI2製剤のドルナーと併用すれば血小板凝集抑制作用は増強されるのだろう。
しかし、同一の作用機序というわけではないので、相乗効果を狙って投与された場合に、ドルナーとアンプラーグは良くて、ドルナーとプレタールはダメって理由はよくわからない。
プロスタグランジン系薬の違い
プロスタグランジン系の薬、って様々な分野で使われている。
緑内障の薬、しびれの薬、胃潰瘍の薬など。
そもそもプロスタグランジンって何か。
プロスタグランジン (prostaglandin, PG) は、プロスタン酸骨格をもつ一群の生理活性物質。アラキドン酸から生合成されるエイコサノイドの 1 つで、様々な強い生理活性を持つ。プロスタグランジンとトロンボキサンを合わせてプロスタノイドという。
生理活性物質。
いろんな種類がありまして、
PGA:血圧低下作用のみ
PGB:血圧低下作用のみ
PGC:血圧低下作用のみ
PGD2:血小板凝集作用・睡眠誘発作用(PDD受容体)。
PGE1:動脈管を開存させる働きがある。
PGE2 平滑筋収縮作用(EP受容体EP1サブタイプ)
末梢血管拡張作用(EP受容体EP2サブタイプ)
発熱・痛覚伝達作用(EP受容体EP3サブタイプ)
骨新生・骨吸収作用(EP受容体EP4サブタイプ)。
PGF2α:黄体退行・平滑筋(子宮・気管支・血管)収縮作用(FP受容体)。畜産においては繁殖に利用される。
PGG:血圧低下作用・血小板凝集作用
PGH2:血小板凝集作用
PGI2:血管拡張作用・血小板合成阻害作用(IP受容体)。
PGJ:抗腫瘍作用のみ
緑内障治療薬は、PGF2α系の薬。
オパルモンやプロレナールは、PGE1系の薬。
サイトテックやアロカも、PGE1系の薬。
プロスタンディン軟膏も、PGE1系の薬。
しかし同じPGE1系の薬だからといって、併用に際してとくに注意が必要という話は聞いたことがない。
子宮収縮剤は、PGF2α系の薬、PGE1、PGE2系の薬もある。
なので、プロスタグランジン系の内服薬は妊婦に禁忌となっている。
緑内障の点眼薬は、妊婦に慎重投与どまりですが。
奥が深いねプロスタグランジン。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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