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腎障害患者に禁忌の薬一覧
公開. 更新. 投稿者:腎臓病/透析. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約2分46秒で読めます.
13,198 ビュー. カテゴリ:腎障害患者に禁忌の薬
個人的に、投薬時に最も注意している患者は腎機能の低下した患者。
透析クリニックの門前薬局とかで働きたくない。
腎臓専門医であれば、薬のこともよく理解しているだろう、ということで確認をおろそかにしてしまいがちなダメ薬剤師です。
必ず確認する。
日本腎臓病薬物療法学会
腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧
腎機能関連で禁忌の記載のある薬は以下の通り。
医薬品名 | 薬効分類 | 禁忌 |
---|---|---|
アクトネル/ベネット | ビスホスホネート系薬 | 高度な腎障害のある患者〔クレアチニンクリアランス値が約30mL/分未満の患者では排泄が遅延するおそれがある。〕 |
アドシルカ | ホスホジエステラーゼ5阻害剤 | 重度の腎障害のある患者[重度の腎障害のある患者では本剤の血漿中濃度が上昇すること、使用経験が限られていること及び透析によるクリアランスの促進は期待されないため。] |
アベマイド | スルホニル尿素薬 | 重篤な肝又は腎機能障害のある患者[代謝や排泄が低下し、低血糖を起こすおそれがある。] |
アマリール | スルホニル尿素薬 | 重篤な肝又は腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある。] |
イグザレルト | 第Xa因子阻害剤 | [非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制] 腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の患者[使用経験がない.][深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制] 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[使用経験がない.] |
イフェクサー | セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 | 重度の腎機能障害(糸球体ろ過量15mL/min未満)のある患者又は透析中の患者[使用経験が少ない。本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある。また、本剤は透析ではほとんど除去されない。] |
インヴェガ | 非定型抗精神病薬 | 中等度から重度の腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス50mL/分未満)[本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。] |
エリキュース | 第Xa因子阻害剤 | 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉 腎不全(クレアチニンクリアランス(CLcr)15mL/min未満)の患者[使用経験がない。]〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉 重度の腎障害(CLcr 30mL/min未満)の患者[使用経験が少ない。] |
オイグルコン/ダオニール | スルホニル尿素薬 | 重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある。] |
オーラノフィン | 金製剤 | 腎障害、肝障害、血液障害あるいは重篤な下痢、消化性潰瘍等のある患者〔悪化するおそれがある。〕 |
グリコラン | ビグアナイド系薬 | (2) 腎機能障害(軽度障害も含む)[腎臓における本剤の排泄が減少する。](3) 透析患者(腹膜透析を含む)[高い血中濃度が持続するおそれがある。] |
コルヒチン | 痛風発作治療剤 | 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、肝代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤又はP糖蛋白を阻害する薬剤を服用中の患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。] |
ザイザル | H1受容体拮抗薬 | 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある。] |
サインバルタ | セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 | 高度の腎障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇することがある。] |
ザファテック | DPP-4阻害剤 | 高度の腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者[本剤は主に腎臓で排泄されるため、排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。] |
ザルティア | ホスホジエステラーゼ5阻害剤 | 重度の腎障害のある患者[重度の腎障害のある患者では本剤の血漿中濃度が上昇すること及び使用経験が限られているため。 |
ジベトス | ビグアナイド系薬 | (2) 腎機能障害(軽度障害も含む。)(3) 透析患者(腹膜透析も含む。) |
シベノール | 抗不整脈薬 | 透析中の患者[急激な血中濃度上昇により意識障害を伴う低血糖などの重篤な副作用を起こしやすい。(本剤は透析ではほとんど除去されない。)] |
ジメリン | スルホニル尿素薬 | 重篤な肝又は腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある。] |
シンメトレル | パーキンソン症候群治療剤 | 透析を必要とするような重篤な腎障害のある患者〔本剤は大部分が未変化体として尿中に排泄されるので、蓄積により、意識障害、精神症状、痙攣、ミオクロヌス等の副作用が発現することがある。また、本剤は血液透析によって少量しか除去されない。〕 |
スターシス/ファスティック | 速効型インスリン分泌促進薬 | 透析を必要とするような重篤な腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある。] |
スローケー | カリウム製剤 | 乏尿・無尿(前日の尿量が500mL以下あるいは投与直前の排尿が1時間当り20mL以下)又は高窒素血症がみられる高度の腎機能障害のある患者〔高カリウム血症が悪化する。〕 |
ソタコール | 抗不整脈薬 | 重篤な腎障害(クレアチニン・クリアランス<10mL/min)のある患者[本剤は腎臓から排泄されるため,血中濃度が高くなることにより,重篤な副作用が発現するおそれがある。] |
ソバルディ | 抗ウイルス薬 | 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者 |
ダイアモックス | 炭酸脱水酵素抑制剤 | 無尿、急性腎不全の患者[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。] |
ダイドロネル | ビスホスホネート系薬 | 重篤な腎障害のある患者〔排泄が阻害されるおそれがある。〕 |
チガソン | 角化症治療剤 | 腎障害のある患者[本剤の作用が増強するおそれがある。] |
デアメリンS | スルホニル尿素薬 | 重篤な肝又は腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある。] |
ティーエスワン | 代謝拮抗薬 | 重篤な腎障害のある患者[フルオロウラシルの異化代謝酵素阻害剤ギメラシルの腎排泄が著しく低下し、血中フルオロウラシル濃度が上昇し、骨髄抑制等の副作用が強くあらわれるおそれがある。 |
トライコア | フィブラート系薬 | 中等度以上の腎機能障害のある患者(目安として血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上)[横紋筋融解症があらわれることがある。] |
ハーボニー | 抗ウイルス薬 | 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者 |
バイエッタ | GLP-1受容体作動薬 | 透析患者を含む重度腎機能障害のある患者[本剤の消化器系副作用により忍容性が認められていない。] |
ビジクリア | 経口腸管洗浄剤 | 透析患者を含む重篤な腎機能障害のある患者、急性リン酸腎症のある患者[吸収されたリンの排泄が遅延し、血中リン濃度の上昇が持続するおそれがある。腎機能障害、急性リン酸腎症(腎石灰沈着症)を悪化させるおそれがある。] |
ビデュリオン | GLP-1受容体作動薬 | 透析患者を含む重度腎機能障害のある患者[本剤の消化器系副作用により忍容性が認められていない。] |
プラザキサ | 直接トロンビン阻害剤 | 透析患者を含む高度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[本剤は主に腎臓を介して排泄されるため、血中濃度が上昇し出血の危険性が増大するおそれがある。 |
フルダラ | 代謝拮抗剤 | 重篤な腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス<24時間蓄尿により測定>が30mL/分未満の患者)[本剤は腎から排泄されるので、排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。] |
ベザトール | フィブラート系薬 | 1. 人工透析患者(腹膜透析を含む)[横紋筋融解症があらわれやすい。]2. 腎不全などの重篤な腎疾患のある患者[横紋筋融解症があらわれやすい。] |
マクサルト | トリプタン系薬 | 血液透析中の患者 |
マラロン | 抗マラリア薬 | 〔予防の目的で投与する場合〕重度の腎障害のある患者[本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇する可能性がある。 |
ミオカーム | ミオクローヌス治療剤 | 重症腎不全(腎クレアチニン・クリアランスが20mL/分以下)の患者 |
ミニリンメルト | 脳下垂体ホルモン剤 | 中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)[血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められる。] |
ミラペックス | ドパミン受容体作動薬 | 透析患者を含む高度な腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[副作用が発現しやすくなるおそれがある。] |
メソトレキセート | 葉酸代謝拮抗剤 | 腎障害のある患者[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。] |
メタクト | チアゾリジン系薬/ビグアナイド系薬 | (2) 腎機能障害(軽度障害も含む)[腎臓におけるメトホルミンの排泄が減少する。](3) 透析患者(腹膜透析を含む)[高い血中メトホルミン濃度が持続するおそれがある。] |
メタルカプターゼ | 抗リウマチ薬 | 腎障害のある患者[ネフローゼ等の重篤な腎障害を起こすおそれがある。] |
メトグルコ | ビグアナイド系薬 | (2) 中等度以上の腎機能障害〔腎臓における本剤の排泄が減少する。〕(3) 透析患者(腹膜透析を含む)〔高い血中濃度が持続するおそれがある。〕 |
リーマス | 抗躁薬 | リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある患者[リチウムの毒性を増強するおそれがある。](1) 腎障害のある患者 |
リウマトレックス | 抗リウマチ剤 | 腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。] |
リオベル | DPP-4阻害薬/チアゾリジン系薬 | 重篤な腎機能障害のある患者 |
リクシアナ | 第Xa因子阻害剤 | 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉 腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者[使用経験がない。また、ベネフィットを上回る出血のリスクが生じるおそれがある。]下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制〉 高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[使用経験が少ない。また、静脈血栓塞栓症発症抑制効果を上回る出血のリスクを生じるおそれがある。] |
リスモダンR | 抗不整脈薬 | 透析患者を含む重篤な腎機能障害のある患者[本剤は主に腎臓で排泄されるため、血中半減期が延長することがあるので、徐放性製剤の投与は適さない。] |
リマチル | 抗リウマチ剤 | 腎障害のある患者[ネフローゼ症候群等の重篤な腎障害を起こすおそれがある] |
レグテクト | アルコール依存症断酒補助剤 | 高度の腎障害のある患者[排泄遅延により、高い血中濃度が持続するおそれがある。] |
レベトール | 抗ウイルス薬 | 慢性腎不全又はクレアチニンクリアランスが50mL/分以下の腎機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇し、重大な副作用が生じることがある。] |
腎機能障害の程度によっても、禁忌か慎重投与かに分かれる薬がある。
クレアチニンクリアランスの確認などが必要となる。
患者から提示された検査値をみてもクレアチニン値しかない場合、実際計算式に当てはめて計算する時間もままならないことがある。その際には早見表を用いておおよその検討をつけ、禁忌に当てはまりそうなときは計算式に当てはめるという手順がよい。
腎機能低下時に注意する薬
腎排泄率の高い薬剤は、腎機能に応じて用法・用量を調節する必要がある。
なぜなら排泄遅延によるさまざまな副作用を生じる危険性があるためである。
腎排泄型薬剤のなかでも尿中排泄率の高い薬物ほど、腎機能低下患者では厳密に減量しなければならない。
尿中排泄率の高い薬剤
尿中排泄率(未変化体%)の高いハイリスク薬として、
・ダビガトラン(85%)
・ウブレチド(6.5%)
・ピルシカイニド(75~86%)
・ジゴキシン(60~70%)
・シベンゾリン(55~62%)
・アマンタジン(約70%)
・バンコマイシン(90%以上)
・バラシクロビル(50.8%)
・アシクロビル(72~73%)
などが挙げられる。
これらの薬剤は腎機能を考慮した投薬を行わないと重篤な副作用を起こし、ダビガトラン、ウブレチド、ピルシカイニド、ジゴキシン、シベンゾリン、アマンタジンでは死亡例も多く報告されている。
このような重篤な副作用を回避するためにも各薬剤、特にハイリスク薬の代謝・排泄経路の認識が必要になってくる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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