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ベピオウォッシュゲル?ベピオゲルとの違いは?
公開. 更新. 投稿者:皮膚感染症/水虫/ヘルペス.この記事は約2分16秒で読めます.
6,103 ビュー. カテゴリ:ベピオウォッシュゲル

2025年3月、新たに製造販売承認された「ベピオウォッシュゲル」という薬剤が話題となっています。発売は同年夏頃の予定とされていますが、その名前から「洗顔料なの?」と誤解されがちです。
実際には、洗い流して使用するタイプの外用薬であり、従来の「ベピオゲル(過酸化ベンゾイル2.5%)」とは使用方法・濃度ともに異なります。
ベピオゲル2.5%/ベピオローション2.5% | ベピオウォッシュゲル5% | |
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用法用量 | 1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する。 | 1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布し、5~10分後に洗い流す。 |
包装 | 〈ゲル〉チューブ:15g×10、30g×10 〈ローション〉ボトル:15g×10 | チューブ:20g×10 |
ベピオウォッシュゲル=洗顔料ではない?
「ウォッシュゲル」という名称から、泡立てて使う一般的な洗顔料をイメージするかもしれません。しかし、ベピオウォッシュゲルは医療用医薬品であり、あくまでにきび治療用の塗り薬(外用薬)です。
添付文書で示されている使い方は次の通りです:
「1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布し、5~10分後に洗い流す」
つまり、洗顔後に患部へ塗布し、しばらく置いてから水で洗い流すというステップが必要です。泡立てて使うわけではなく、コムクロシャンプー(外用ステロイド)と同じような「塗ってから洗い流すタイプ」の薬と考えると理解しやすいでしょう。
ショートコンタクトセラピー
このような「塗ってから洗い流す」治療法は、専門的にはショートコンタクトセラピー(short contact therapy)と呼ばれています。薬剤を皮膚に長時間接触させず、必要最小限の接触時間で効果を得ることを目的とした治療法です。
もともと過酸化ベンゾイルは、皮膚への刺激感(ヒリヒリ感や赤みなど)が出やすい薬剤ですが、短時間の接触であれば、効果を残しつつ副作用を軽減できるという考え方に基づいています。
濃度は「2倍」に!だけど洗い流すから安心?
従来のベピオゲルは過酸化ベンゾイル2.5%ですが、ベピオウォッシュゲルでは5.0%と、濃度が倍になっています。
「濃くなった分、効き目が強いのでは?」と思うかもしれませんが、同時に接触時間を短くし、洗い流す設計となっているため、刺激性の副作用はむしろ軽減される可能性もあると考えられます。
また、使う側としても、「刺激が強かったら早めに洗い流せばいい」という安心感があり、心理的なハードルが下がります。特に敏感肌の人や、これまでベピオゲルで刺激感が強く出た人にとっては、新たな選択肢となるかもしれません。
コムクロシャンプーが“洗い流せるステロイド”として一定の支持を集めたように、洗い流せるタイプのにきび治療薬という新たなスタイルが、今後スタンダードになる可能性もあります。
特に思春期や敏感肌の患者さん、にきび治療薬による皮膚の乾燥・赤み・かゆみに悩まされていた人にとっては、導入薬としての位置づけや、併用療法の一手としての価値も期待されます。
ベピオウォッシュゲルは、従来の外用にきび治療薬と異なり、
・洗い流して使う
・短時間の接触で済む
・濃度が高いけれど刺激は抑えやすい
といった特徴を持ちます。
にきび治療は、効果だけでなく「使いやすさ」や「副作用への配慮」が継続のカギとなるため、こうした新しい選択肢が患者さんのQOLを高めることにつながるかもしれません。
2 件のコメント
使用後に問題になっていた枕等の脱色のリスクなくなりますね
コメントありがとうございます。
なるほど。そのような問題があったのですね。勉強になりました。