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テープ剤を1回2枚使っちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約2分44秒で読めます.
158 ビュー. カテゴリ:テープ剤の使用枚数

ジクトルテープ1日1回、1回2枚という処方を受け取った。
「え?普通、1回1枚じゃないの?」という違和感。
しかし、ジクトルテープ(ジクロフェナクナトリウム)の添付文書には、しっかりと「1回2枚」という使い方が明記されています。
◆ジクトルテープの用法(添付文書より)
【がん性疼痛の場合】
通常、成人には1日1回2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を貼付。
症状に応じて最大3枚(225mg)まで使用可能。
【腰痛や肩関節周囲炎などの場合】
1日1回、1枚(75mg)または2枚(150mg)を使用する。
つまり、「1回に2枚貼る」という使い方が正式に認められている数少ない貼付剤のひとつがジクトルテープなのです。
癌性疼痛であれば3枚でもいける。
たとえばモーラステープやロキソニンテープなどの局所作用型湿布薬では、痛みのある部位ごとに複数枚貼ることが一般的です。
一方で、血中濃度を一定に保ち、全身に作用するタイプの貼付剤では、通常「1回1枚」が基本と考えられています。
しかし、実際の添付文書を確認すると、必ずしも「1回1枚」に限定しているわけではない薬剤も多くあります。
血流に乗って働くような貼付剤の使用枚数に関する添付文書上の記述は以下のようになっている。
医薬品名 | 貼付枚数に関する記述 |
---|---|
イクセロンパッチ | 原則として、1日1回につき1枚のみ貼付すること。 |
エストラーナテープ | なし(本剤をハサミ等で切って使用しないこと。) |
ジクトルテープ | 本剤3枚貼付時の全身曝露量がジクロフェナクナトリウム経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は3枚を超えないこと。 |
デュロテップMTパッチ | なし(本剤をハサミ等で切って使用しないこと。) |
ニコチネルTTS | 1日1回1枚 |
ニトロダームTTS | 1日1回1枚(効果不十分の場合は2枚に増量する。) |
ネオキシテープ | 1日1回、1枚 |
ノルスパンテープ | なし(本剤をハサミ等で切って使用しないこと。) |
ビソノテープ | なし(本剤をハサミ等で切って使用しないこと。) |
フェントステープ | なし(本剤をハサミ等で切って使用しないこと。) |
フランドルテープ | 1回1枚 |
ホクナリンテープ | なし |
ミリステープ | 1回1枚を1日2回(なお、症状により適宜増減する。) |
メノエイドコンビパッチ | 1枚を3~4日ごとに1回(週2回)(本剤を半分などに切って使用しないこと。) |
リバスタッチパッチ | 原則として、1日1回につき1枚のみ貼付すること。 |
ワンデュロパッチ | なし(本剤をハサミ等で切って使用しないこと。) |
たとえば、ビソノテープ4mgを2枚使用して8mg相当にするというケース。添付文書上は使用量としては問題ないのですが、以下のような注意点があります。
・8mg1枚(約75円)に比べて、4mgを2枚使うと合計約114円とコストが上がる。
・保険査定の対象になる可能性がある。
・貼付部位が増えることで、皮膚トラブルのリスクも上がる。
施設によっては、採用品目を減らす目的でやむを得ずこうした使い方をしていることもあります。
◆切って使うのはNG?
テープ剤をハサミで半分に切って使用するのは、一見合理的にも思えますが、「均一に成分が分布していない可能性」や「用量の正確性の欠如」などの理由で、明確に禁止されている製剤もあります。
◆複数枚貼っていいか迷ったら?
ジクトルテープのように、1回2枚や3枚まで使えることが明確に記載されている薬は例外です。
他の貼付剤で複数枚処方を見かけたら、まずは添付文書の用法・用量を確認しましょう。
薬剤費や保険請求、皮膚トラブルへの配慮も忘れずに。


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