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整形外科からの抗血栓薬の処方意図
公開. 更新. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約2分12秒で読めます.
4,572 ビュー. カテゴリ:整形外科からリクシアナの処方意図は?
リクシアナなどの抗血栓薬が処方されていたら、脳梗塞や心筋梗塞などの循環器系の疾患を思い浮かべるが、たまに整形外科から処方されることがある。
リクシアナの効能効果は以下のようになっている。
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術
整形外科領域の術後の血栓予防にも使われる。
リクシアナ以外の抗凝固薬の適応症は以下のようになっており、整形外科領域に適応を持つ薬はリクシアナのみである。
医薬品名 | 効能効果 |
---|---|
イグザレルト | 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制 |
エリキュース | 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制 |
ワーファリン | 血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防 |
プラザキサ | 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 |
リクシアナの適応別の用法は以下のようになっており、整形外科領域では用法がちょっと異なる。
リクシアナの60㎎は整形外科領域に適応がない。
しかし、リクシアナ30㎎の代わりに60㎎を0.5錠で処方して、患者負担を軽くするというやり方はよく行われている手法であり、支払い側にとってもメリットがあるので、そこがレセプトで指摘されることはあまり考えられない。
ただし、「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」に対しては「原則として、術後の入院中に限って使用すること。」と記載されているので、あまり長期に院外処方されていると切られるかも知れない。
心房細動と抗凝固薬
抗凝固薬は静脈血栓に有効と言われており、心房細動は静脈血栓を起こす。
心原性脳塞栓症、肺塞栓症、深部静脈血栓症などが静脈血栓症。
肺循環:右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房
体循環:左心室→大動脈→各臓器等→大静脈→右心房
と血液は巡っています。
全身の静脈から流れてきた血液が肺でキレイにされますが、肺で血栓が詰まったら肺塞栓症。肺塞栓症は静脈血栓症。
心原性脳塞栓症は左心房でよどんだ血液が血栓を作り、脳に行ったときにつまるという流れなので、これは動脈血栓なんじゃないかと思ったりする。
(ちなみに、心房細動で右心房で血栓が作られて肺塞栓症を起こす可能性は少ないらしい。右心房内はもともと低圧で小さいため、受ける影響が少ないから。)
心房細動において心房内にフィブリン血栓ができやすい原因としては、
① 全身的要因として加齢に加え、心不全に伴う肝うっ血により肝でのアンチトロンビンやプロテイン C など凝固制御因子類の合成が低下し,生体全体が凝固制御不全状態になっていること
② 心内膜の抗血栓活性が低下していること
③ 心房細動における心臓内の血流の乱れにより凝固系が活性化されやすいこと
④ 心房内で生成されたトロンビンをはじめとする活性化凝固因子が流出・希釈されずに一定時間心房内にとどまること
などが考えられる。
心房細動が原因の脳梗塞には抗凝固薬。
非心原性脳梗塞のアテローム血栓性脳梗塞などには抗血小板薬を使う。
リクシアナOD錠30㎎ 1錠
1日1回夕食後 30日分
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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