記事
アルファデクスとベータデクスの違い
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分22秒で読めます.
5,755 ビュー. カテゴリ:シクロデキストリン
アルファデクスとかベータデクスって関係あるの?
薬の名前に「アルファデクス」や「ベータデクス」と付いているものがある。
リマプロスト アルファデクス(オパルモン)、アルプロスタジル アルファデクス(プロスタンディン)、ベネキサート塩酸塩 ベータデクス(ウルグート)などである。
このデクスとは、シクロデキストリンのことであり、アルファデクス=α‐シクロデキストリン、ベータデクス=β‐シクロデキストリンのことである。
シクロデキストリン(cyclodextrin)は、「シクロ(cyclo=環状)」と「デキストリン(dextrin=オリゴ糖)」を合わせた言葉で、ブドウ糖が連なってできたオリゴ糖の両端がつながって環状になった化合物である。
ブドウ糖が6つ結合して輪になったものを「α‐シクロデキストリン」、7つ結合したものを「β‐シクロデキストリン」、8つ結合したものを「γ‐シクロデキストリン」とよびます。
薬をシクロデキストリンで囲むことによって、可溶性の向上、安定性の向上、苦味やにおいを改善することなどが期待できます。
オパルモンが一包化可能になった?
オパルモン(リマプロスト アルファデクス)は以前は吸湿性のため一包化不可でした。
しかし、現在はバラ包装も販売されており、吸湿性に関する取り扱い上の注意の記載も無くなりました。(2014.10~)
耐湿性の向上については以下のような工夫がなされた。
リマプロストは、内因性の生理活性物質であるプロスタグランジンE1の誘導体であるが、水分に対し不安定で水分の存在下で加水分解と受け、11-deoxy-Δ10体(以下、分解物)といった類縁物質の生成を引き起こすことが認められている。
耐湿性の向上は、添加物としてβ-シクロデキストリン(以下、β-CD)を加えるという新たな製造方法によって実現された。添加されたβ-CDが製剤中の水分子の運動性を低下させ、さらに、水分によって分解するリマプロスト分子中の五員環部分を包接することで、湿度環境下における製剤の耐湿性を向上させるという。
リマプロストは、難溶性で、かつ微量で活性を示すプロスタグランジンE1誘導体である。
αーシクロデキストリン(CD)との包接体であるリマプロストアルファデクスを形成することにより、製剤の安定性が向上する。CDは環状のオリゴ糖で、種々の薬物を環内の空洞に取り込んで薬物を包接するキャリアとして広く用いられている。6員環のものをαーCD、7員環のものをβーCD、8員環のものをγーCDと呼ぶ。
オパルモンは、一包化調剤などを可能とするため、これまで2度の大きな製剤的改良が行われた。
最終的には、主薬をβーCDとともに凍結乾燥後、添加物としてさらにβーCDを加えることで安定性を高め、長期間の一包化が可能となった。
これは、βーCDがリマプロストの5員環を包接することでリマプロストの分解を抑制するとともに、添加物中のβーCDが水分子の運動性を低下させるためと考えられている。
リマプロスト アルファデクスは、リマプロストの周りをα‐シクロデキストリンが囲むような複合体であり、その周りを添加物として、β‐シクロデキストリンが囲むという2種類のシクロデキストリンによって安定性を向上させている製剤なのである。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。