更新日:2016年8月25日.全記事数:3,131件.

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漢方薬はツムラでもクラシエでも同じ?


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漢方薬の違い

漢方薬は色々なメーカーから販売されている。
ツムラが有名ですが、クラシエ、コタローほか、あまり聞かないメーカーのものも。

ツーカーの医療機関なら、クラシエの在庫が無いからツムラにしてもらったり、ということも稀にあります。

しかし気を付けないといけないのは、同じ製品名でも中身は違うことがある、ということ。

漢方製剤によっては、メーカーが違うと、生薬の含有量や種類まで違うものが配合されている製剤もある。

それだけでなく、適応症も違うことがある。

例えば、ツムラの葛根湯の適応症は、

感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

となっていますが、
クラシエの葛根湯の適応症は、

感冒、鼻かぜ、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

となっている。

ほとんどの医師はそこまで添付文書見てないだろうけど。

ツムラの漢方薬とクラシエの漢方薬を混在して処方してくる医師は、もしかしたら適応症まで考えて処方している漢方に詳しい医師なのかも。

ツムラの葛根湯とクラシエの葛根湯の違い

漢方薬は同じ名前であっても、生薬の配合比率や量がそれぞれ異なります。

なかには配合されていない成分が存在する場合もあります。

クラシエの葛根湯の組成を見ると

本薬1日量 (7.5g) 中
日局カッコン   8.0g
日局タイソウ   4.0g
日局マオウ    4.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ケイヒ     3.0g
日局シャクヤク  3.0g
日局ショウキョウ 1.0g
上記の混合生薬より抽出した、日局葛根湯エキス5,200mgを含有する。

一方ツムラの葛根湯は

本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.75gを含有する。
日局カッコン   4.0g
日局タイソウ   3.0g
日局マオウ    3.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ケイヒ    2.0g
日局シャクヤク  2.0g
日局ショウキョウ 2.0g

違いますね。

クラシエは細粒、ツムラは顆粒という違いもありますが、そんなのは大した違いではありません。

このように同じ名前の漢方薬でも実際の内容は異なるために、ジェネリックというものも存在しません。

「クラシエからツムラに変えても良いですか?」なんて疑義照会を安易にしてしまう薬剤師もいますが、「ペレックス顆粒からPL顆粒に変えても良いですか?」という疑義照会と同じくらい薬剤師としては越権行為と医師から見なされてしまうことも。
適応症が違ったら、適応外になってしまうかも知れないし。

白朮と蒼朮の違いは?

白朮と蒼朮は似ていますが、違う生薬です。
蒼朮と白朮が配合された二朮湯という薬もあります。

しかし同じ漢方薬でも、メーカーによって白朮を入れているものと蒼朮を入れているものがあります。
クラシエは白朮、ツムラは蒼朮をよく使っている。

これは原典に「朮」としか書かれていなかったので、メーカーによって判断がわかれたためです。
漢方医学的には蒼朮は体力があり消化器機能が良い人が適応であるのに対して、白朮は体力がなく消化器機能が弱く、気分が落ち込んで、多汗の人に有効です。

もともと白朮?

「神農本草経」では「朮」は止汗の効能を有する生薬として上品に分類されています。
これはまさしく白朮の記載です。
わが国ではその後、室町時代から安土桃山時代になると、白朮と蒼朮が使い分けられるようになりました。

ところが17世紀後半には、古方派の吉益東洞が蒼朮を推奨し、それ以降、「朮」を区別せずに蒼朮が広く用いられるようになりました。
その背景には四方を海に囲まれ、湿気が多いというわが国の気候・風土が蒼朮を必要としたのだろうと思います。
しかし、当時と現代とでは明らかに環境が異なります。
湿気はエアコンでコントロールできます。

むしろ問題は、日常生活でさまざまなストレスに晒されていることです。
さらに、情報化社会の中で深夜までテレビを見たり、インターネットでの情報検索などによって、寝不足で体力不足という気虚の人が増加しています。
このような現代社会に生きるわれわれには、改めて原典に基づいた白朮と蒼朮の使い分けが必要とも考えられる。

蒼朮と白朮の使い分け

白朮と蒼朮はどのように異なるのでしょうか。
両者の違いを理解するために、それぞれの薬味(五味:酸、苦、甘、辛、鹹)、薬性(五性:寒、涼、平、温、熱)から考えてみます。

白朮は[苦、甘、温]、蒼朮は[辛、苦、温]です。つまり両者の違いは「甘」と「辛」です。
甘は補養、緩和の作用があり、脾胃に働いて消化機能の低下を補います。
つまり、白朮は消化器系が虚弱で疲れやすいものに対し、甘味で脾胃を元気にして利水します。
一方、辛は停滞しているものを発散し、動かす作用がありますので、うっ滞した気を巡らせ、さらに辛味で湿を発散させます。
そのため、蒼朮は湿気による消化器系の虚弱や疲労倦怠、関節痛に効果があります。
裏返せば、白朮は湿が滞っていて動かない痰飲の状態んは効果がありませんし、蒼朮は気虚で発汗状態には使うべきではありません。

フロセミドを投与して脱水状態にしたラットに「白朮五苓散」と「蒼朮五苓散」をそれぞれ投与して比較したところ、白朮五苓散は尿量増加を有意に抑制しました。
しかし、蒼朮五苓散ではそのような効果は認められませんでした。
この結果を臨床に当てはめて考えてみると、五苓散は水瀉性下痢に用いられる処方です。
特に、小児の場合、下痢と同時に脱水を伴うことが多いため、白朮五苓散を用いるべきです。
蒼朮五苓散を用いても下痢は止まるでしょうが、脱水状態が増悪する可能性がありますので、必ずしも適当な選択とはいえません。
一方、蒼朮五苓散は飲酒による胃腸障害や下痢などに奏功します。

参考書籍:Kampo Avenue

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