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漢方薬を食後に飲んでもいいか?
公開. 更新. 投稿者:漢方薬/生薬.この記事は約4分49秒で読めます.
14,295 ビュー. カテゴリ:漢方薬は食前のほうが効果的?
漢方薬は食前に飲まなきゃダメ?
漢方薬の用法は「食前」で処方されることが多い。
食事を摂らなかった場合は飲まないほうが良いだろうと判断する患者もいる。朝食を習慣的に食べないという患者もいる。
また、食前に飲み忘れた場合、食後に飲んではいけないものだと思っている患者もいる。
食前に飲むのがベターだが、食事を摂らなかったり食後になってしまったからといって、飲まないよりも飲んだほうが良い。
漢方薬は、食前や食間などの空腹時に飲む方が速やかに吸収され、効果が出やすいといわれています。
空腹時に漢方薬を飲むと、食べものの影響を受けないで小腸まで届き、腸内細菌によって吸収されやすい状態に変えられるので効果的と言われています。
配糖体の吸収
漢方薬の生薬成分には、センノシド、グリチルリチンなど配糖体となっているものが数多くある。
配糖体成分は、糖部分に多くの水酸基をもつため、水溶性が高く、そのままでは吸収が悪い。
吸収には、腸内細菌で糖部分が外れたアグリコンに分解されることが必要となるため、空腹時のほうが吸収がよいといわれ、食前・食間の服用が勧められている。
基本的に漢方薬はマイルドに効くので、早く吸収されても問題ない。西洋薬は切れ味がいいので、早く吸収されると副作用が出やすいので、食事といっしょに徐々に吸収されていったほうがいい。
漢方薬は服用量が多く、食後の満腹状態で服用するよりは食前の方が飲みやすい。
西洋薬は食後に投与されることが多く、漢方薬との服用の時間的なずれ(差)により、相互作用の防止にもなる。
漢方薬を食後に飲むと副作用が出る?
附子に含まれるアコニチンや、麻黄に含まれるエフェドリンなどのアルカロイドは、胃内pHが低い空腹時には、アルカロイド中のアミノ基がイオン化し、吸収が低下する。
ただし、これらのアルカロイドは作用が強く少量で激しい作用を示すため、特に注意が必要です。胃内pHの高い食後では、吸収が亢進し、毒性の発現につながりかねない。
空腹時には胃内pHが低いためにアルカロイドはイオン化し、水溶性が増し吸収は低下します。食後で胃内pHが高い状態では、イオン化せず細胞膜を通りやすくなり、消化管吸収が増大する。
したがって、ブシやマオウを含む漢方薬は、食前・空腹時服用の方が吸収が穏やかであるため安全ということになります。
高齢者や胃切除術後など、胃酸分泌のない人・少ない人では胃内pHが高いため、薬がイオン化しにくく、脂溶性が高まります。
そのため、薬の吸収がよくなり、有害作用が出やすくなるので慎重に投与する必要があります。
八味地黄丸は食後服用?
八味地黄丸は副作用が多い漢方薬の一つです。
食欲不振や腹満、下痢、便秘などを起こしやすい処方です。
副作用を防ぐため、意図的に食後処方にすることもあります。
漢方薬を食後に飲んでもいいか?
すきっ腹に漢方薬を飲むと気持ち悪くなるような人は食後でもいいと言われます。
食前だと飲み忘れることが多い。
結局、食直前とか食後になってしまって薬を飲まない、というよりも食後でも飲んだほうがいい。
漢方薬の服薬指導にあたって、最も特徴的なポイントであり、また通常の医薬品の服用習慣とは異なることから、コンプライアンス低下の大きな要因の一つとなりうる。
単一の薬効成分と賦形剤からなる西洋薬とは異なり、漢方処方は多様な成分の混合物であり、そして個々の成分の量は少ない。
そのため、漢方処方の効果を十分に引き出すには、胃が空になっている食前・食間に服用し、薬の成分を食品と混合することなく吸収させることが重要となってくる。
しかし、食後の服用では無意味かというと、そうではない。
食後の服用であっても、血中濃度・吸収速度に違いは生じるものの、服用すれば吸収はされる。
食前に服用できなかったからといって、服用を1回飛ばしてしまうよりは、食後でも服用したほうがよい。
そのため、食前・食間という特殊な服用タイミングを指示する理由をきちんと説明したうえで、「もし食前に服用することができなかったなら、食後に服用しても構いません」と伝えておくことが望ましい。また、一部の生薬は胃腸に対する刺激が強い為、食前の服用では胃部不快感を訴える患者もおり、このような場合はむしろ食後服用の指示が望ましい。
漢方薬のコンプライアンス
漢方エキス剤は、食前または食間の服用が一般的であり、湯に溶かしてから服用させるという指導も広く行われているが、これらの意義について科学的に検証した研究報告はあまりないようである。
何の問題もなければ、これらの一般的な用法を踏襲することが原則となろうが、コンプライアンスの低下を招く可能性があると考えられる場合には、漢方薬の「常識」にとらわれ過ぎず、服用時点や服用方法の変更も含めて検討すべきだろう。
漢方薬が食前または食間で処方される理由としては、⑴空腹時の方が有効成分の吸収がいい、⑵食後服用に比べて食事の影響を受けにくい、⑶服用量が多いため満腹では服用しにくい、⑷食後服用で処方されることが多い漢方薬以外の薬剤(西洋薬)との薬物間相互作用を回避できる、などが考えられ、文献でも紹介されている。
ただし一方で、有効成分の吸収に関しては、食前服用と食後服用との間に有意差はないとする研究報告もある。
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