記事
セララとアルダクトンAは併用禁忌?
公開. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約4分23秒で読めます.
5,477 ビュー. カテゴリ:セララとアルダクトンAの違いは?
セララとカリウム製剤(高血圧の場合)、セララとアルダクトンAなどのカリウム保持性利尿薬は併用禁忌になっている。
アルダクトンAとスローケーは併用禁忌ではない。
セララ(エプレレノン)の薬理作用は、アルドステロン受容体(ミネラルコルチコイド受容体)への選択性が非常に高いことが大きな特徴である。
これまでにも抗アルドステロン作用を示す降圧剤として、カリウム保持性利尿剤のスピロノラクトンが存在した。
だが、受容体選択性が低く、プロゲステロンなどの性ホルモン受容体も阻害するため、長期間投与すると、女性化乳房、月経障害などの副作用が起こり、十分な高血圧治療を行えないことが多かった。
一方、エプレレノンは、スピロノラクトンと比較してプロゲステロン受容体やアンドロゲン受容体には100分の1から1000分の1の親和性しかない。
海外の臨床試験結果などからも、性ホルモン関連の副作用はほとんど報告されていない。
セララと高カリウム血症
セララの併用禁忌に、
高血圧症及び慢性心不全共通
1. 薬剤名等
カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン(アルダクトンA)
トリアムテレン(トリテレン)
カンレノ酸カリウム(ソルダクトン)臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇するおそれがある。機序・危険因子
併用によりカリウム貯留作用が増強するおそれがある。2. 薬剤名等
イトラコナゾール(イトリゾール)
リトナビル(ノービア)
ネルフィナビル(ビラセプト)臨床症状・措置方法
本剤の血漿中濃度が上昇し、血清カリウム値の上昇を誘発するおそれがある。機序・危険因子
強力なCYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害する。[「薬物動態」の項参照]高血圧症の場合
1. 薬剤名等
カリウム製剤
塩化カリウム(塩化カリウム、スローケー)
グルコン酸カリウム(グルコンサンK)
アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム、アスパラ)
ヨウ化カリウム(ヨウ化カリウム)
酢酸カリウム(酢酸カリウム)臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇するおそれがある。機序・危険因子
併用によりカリウム貯留作用が増強するおそれがある。
とある。
スローケーとかアルダクトンAは併用禁忌。
でも、使う医師もいる。
Q 心不全患者さんに、ARB,ACE、アルダクトンに加えて、
高血圧治療と抗アルドステロン薬|Dr.和の町医者日記
セララを併用してもいいか?
A 併用していいのでは。
セララは日本では現在まだ高血圧の適応しかない。
海外では、心不全と心筋梗塞後が適応である。
セララは、あまり用量設定を必要としない薬。
つまり、高血圧にセララを用いる場合のみ、セララとK製剤は併用禁忌であって、心不全に用いる場合には併用禁忌ではないということだ(保険のことは考えていない。あくまでも有用性のみを考慮の対象とする)。
セララを心不全に用いるとき、添付文書は役に立たない 薬歴公開 byひのくにノ薬局薬剤師。
セララの添付文書は、その効能効果が「高血圧症」だけであるがために、心不全に用いるときのことが想定されていない。
心不全に使う場合、セララとアルダクトンAとかスローケーの併用はあるってことね。
疑義照会はしなきゃだろうけど。
市販のビタミン剤とかにアスパラギン酸カリウムが入っているものもあるので注意。
ACE阻害薬とアルダクトンA
ACE阻害薬はアンジオテンシンⅡの産生抑制を介して、アルドステロンの血中濃度を低下させる。
アルドステロンの低下は、ナトリウムの排泄促進や利尿作用によって同薬の降圧効果に寄与するが、その半面、カリウムの排泄が抑制され、血中カリウム濃度が上昇する。一方のカリウム保持性利尿薬もアルドステロンに拮抗する薬剤であるため、この2剤を併用すると、アルドステロンの作用が相加的に減弱し、高カリウム血症の副作用が起きやすくなる。
参考書籍:日経DIクイズ
ACE阻害薬にアルダクトンA、これにラシックスとか入ってくると、カリウム的にどうなのか正直わからないので、医者任せになりますが。
高カリウム血症の初期症状、「口のまわりがしびれる」、「胸が苦しい」、「体がだるい」など伝えておく必要はあろう。通常心毒性が出現するまでは無症状らしいですが。
ARBで高カリウム血症?
腎臓からのカリウム排泄が亢進することで起こる低カリウム血症は、ループ利尿剤やサイアザイド系利尿剤に多い副作用の一つ。
一方、ARBなどのRA系降圧剤や、選択的アルドステロン受容体拮抗剤(SAB)などのカリウム保持性利尿剤は、カリウム排泄を妨げて高カリウム血症を起こしうる。
サイアザイド系利尿剤とRA系降圧剤との併用では、カリウム代謝への作用が相殺されて、カリウム異常が生じにくくなる。
セララとスピロノラクトンの使い分けは?
抗アルドステロン薬としてはスピロノラクトンとエプレレノンがある。
近年、原発性アルドステロン症患者が予想以上に多いことや、治療抵抗性高血圧の概念などが注目されるようになって、その使用頻度は増えていると思われる。
両薬剤ともに高血圧症の適応があるが、その降圧機序は複雑で遠位尿細管でのアルドステロンの電解質作用に拮抗するだけではない。
これは逆に、アルドステロンの昇圧機序が複雑であることを示唆している。
なお、スピロノラクトンとエプレレノンは本質的には同様に用いる薬剤であるが、日本における禁忌事項の違いにより一部の疾患では使い分けが必要になってくる。
原発性アルドステロン症は予想以上に頻度の高い疾患である。
治療は、手術療法と内科的治療がある。
内科的治療は手術を希望しない患者、両側性のアルドステロン過剰分泌を示す患者などが適応となる。
降圧効果は用量調整をするとスピロノラクトンの方が強い。
しかし、長期的な服薬アドヒアランスはエプレレノンの方が良好である可能性が高い。
エプレレノンは、微量アルブミン尿または蛋白尿を認める糖尿病では禁忌である。
血清カリウムが上昇しやすいためであるが、日本のデータではなく、本来はさらに慎重な確認が必要であった。
そのため糖尿病性腎症で使用する際は、スピロノラクトンを用いる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、【PR】薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。