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セララとアルダクトンAは併用禁忌?
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約4分55秒で読めます.
7,472 ビュー. カテゴリ:利尿薬の併用禁忌
分類 | 商品名 | 一般名 | 併用禁忌 |
サイアザイド利尿薬 | フルイトラン | トリクロルメチアジド | デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿) |
ヒドロクロロチアジド | ヒドロクロロチアジド | ||
ベハイド | ベンチルヒドロクロロチアジド | テルフェナジン(販売中止)、アステミゾール(販売中止) デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿) |
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サイアザイド類似利尿薬 | ナトリックス/テナキシル | インダパミド | デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿) |
ノルモナール | トリパミド | ||
バイカロン | メフルシド | ||
ループ利尿薬 | ラシックス | フロセミド | デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿) |
ダイアート | アゾセミド | ||
ルプラック | トラセミド | ||
カリウム保持性利尿薬 | アルダクトンA | スピロノラクトン | タクロリムス、エプレレノン、エサキセレノン、ミトタン |
トリテレン | トリアムテレン | インドメタシン、ジクロフェナク | |
MR拮抗薬 | セララ | エプレレノン | カリウム保持性利尿薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、イトラコナゾール、リトナビル含有製剤、エンシトレルビル フマル酸、カリウム製剤 |
ミネブロ | エサキセレノン | カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン、カンレノ酸カリウム)、アルドステロン拮抗剤(エプレレノン)又はカリウム製剤(塩化カリウム、グルコン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム) | |
炭酸脱水酵素阻害薬 | ダイアモックス | アセタゾラミド | ー |
浸透圧性利尿薬 | イソバイド | イソソルビド | ー |
バソプレシンV2受容体拮抗薬 | サムスカ | トルバプタン | ー |
セララとアルダクトンAは併用禁忌?
セララとミネブロは併用禁忌?当たり前だよね
同種同効薬だからという理由だけで、併用禁忌というわけではないが、セララやミネブロといったMR拮抗薬はお互い併用禁忌に挙げられている。同様の機序を有するカリウム保持性利尿薬も併用禁忌である。ちなみに慢性腎臓病に適応を有するMR拮抗薬ケレンディアはセララやミネブロと併用禁忌となってはいない。
MR拮抗薬やカリウム保持性利尿薬がお互いに併用禁忌となっている理由は、「カリウム貯留作用が増強するおそれがある。」ためである。
利尿薬の作用機序からカリウムに対する影響をみると、ループ利尿薬はヘンレループ上行脚のNa⁺/K⁺/2Cl⁻共輸送体を阻害し、Na⁺とK⁺の再吸収を抑制します。そのためループ利尿薬では低カリウム血症になります。サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管でのNa⁺/Cl⁻共輸送体を阻害し、Na⁺再吸収を抑制します。それにより集合管に到達するNa⁺が増え、Na⁺-K⁺交換系が亢進し、K⁺の尿中排泄が増加するため、低カリウム血症になります。カリウム保持性利尿薬やMR拮抗薬は、アルドステロンによるNa⁺の再吸収、K⁺の排泄を阻害するため、高カリウム血症になります。
高カリウム血症のリスクがあるため、セララやミネブロはカリウム製剤とも併用禁忌になっています。セララに関しては、心不全に対して処方された場合は併用禁忌ではないが、医師の処方意図はわからないので疑義照会はしたほうがよいだろう。
ちなみに、カリウム保持性利尿薬とカリウム製剤は併用禁忌となってはいない。
セララやミネブロなどのMR拮抗薬は、アルドステロン受容体(ミネラルコルチコイド受容体)への選択性が非常に高い。カリウム保持性利尿剤のスピロノラクトンは受容体選択性が低く、プロゲステロンなどの性ホルモン受容体も阻害するため、長期間投与すると、女性化乳房、月経障害などの副作用が起こる。一方、エプレレノンは、スピロノラクトンと比較してプロゲステロン受容体やアンドロゲン受容体には100分の1から1000分の1の親和性しかない。海外の臨床試験結果などからも、性ホルモン関連の副作用はほとんど報告されていない。
カリウム保持性利尿薬はアルドステロン受容体選択性が低いため、高カリウム血症のリスクが少ないといえるかも知れないが、カリウム製剤との併用は注意しなければならない。
禁忌のカリウム値
高カリウム血症に禁忌となっている薬には、カリウム製剤、カリウム保持性利尿薬、MR拮抗薬などがある。
高カリウム血症の定義は通常5.5mEq/L以上であるため、検査値でそれ以上の数値を見た場合に禁忌と判断できるが、セララやミネブロでは5.0mEq/L以上で禁忌となっている。
分類 | 商品名 | 一般名 | 禁忌 |
---|---|---|---|
カリウム製剤 | アスパラカリウム | L-アスパラギン酸カリウム | 高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。] |
グルコンサンK | グルコン酸カリウム | 高カリウム血症の患者[不整脈や心停止を引き起こすおそれがある。] | |
カリウム保持性利尿薬 | アルダクトンA | スピロノラクトン | 高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。] |
トリテレン | トリアムテレン | 高カリウム血症の患者[高カリウム血症が悪化するおそれがある。] | |
MR拮抗薬 | セララ | エプレレノン | 高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。] |
ミネブロ | エサキセレノン | 高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。] | |
ケレンディア | フィネレノン | 本剤投与開始時に血清カリウム値が5.5mEq/Lを超えている患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。] |
「本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者」という文言であるので、投与中にカリウム値が5.0 mEq/Lという疑問が起こるが、添付文書に「本剤の投与中に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/L以上の場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止すること。」と記載がある。
セララやミネブロは投与開始時に5.0 mEq/L以上でないか注意し、その後は高カリウム血症の診断基準5.5mEq/L以上で注意すればよい。
配合薬と併用禁忌
夜間頻尿に使われるミニリンメルト(デスモプレシン)は、低ナトリウム血症の恐れがあるため、利尿剤(チアジド系利尿薬、チアジド系類似薬、ループ利尿薬)との併用が禁忌となっている。
ここで注意すべきなのが、配合剤で利尿剤を成分に含む降圧剤である。
分類 | 医薬品名(統一ブランド名) | 成分 |
---|---|---|
ARB+利尿剤 | プレミネント(ロサルヒド) | ロサルタンカリウム+ヒドロクロロチアジド |
コディオ(バルヒディオ) | バルサルタン+ヒドロクロロチアジド | |
エカード(カデチア) | カンデサルタンシレキセチル+ヒドロクロロチアジド | |
ミコンビ(テルチア) | テルミサルタン+ヒドロクロロチアジド | |
イルトラ | イルベサルタン+トリクロルメチアジド |
利尿剤との併用を注意すべきという頭があっても、これらの配合剤を「降圧剤」として認識していると、見逃してしまう恐れがある。
セララとスピロノラクトンの使い分け
抗アルドステロン薬としてはスピロノラクトンとエプレレノンがある。
近年、原発性アルドステロン症患者が予想以上に多いことや、治療抵抗性高血圧の概念などが注目されるようになって、その使用頻度は増えていると思われる。
どちらも高血圧症の適応があるが、その降圧機序は複雑で遠位尿細管でのアルドステロンの電解質作用に拮抗するだけではない。これは逆に、アルドステロンの昇圧機序が複雑であることを示唆している。
なお、スピロノラクトンとエプレレノンは本質的には同様に用いる薬剤であるが、日本における禁忌事項の違いにより一部の疾患では使い分けが必要になってくる。
原発性アルドステロン症は予想以上に頻度の高い疾患である。治療は、手術療法と内科的治療がある。
内科的治療は手術を希望しない患者、両側性のアルドステロン過剰分泌を示す患者などが適応となる。
降圧効果は用量調整をするとスピロノラクトンの方が強い。しかし、長期的な服薬アドヒアランスはエプレレノンの方が良好である可能性が高い。
エプレレノンは、微量アルブミン尿または蛋白尿を認める糖尿病では禁忌である。
血清カリウムが上昇しやすいためであるが、日本のデータではなく、本来はさらに慎重な確認が必要であった。そのため糖尿病性腎症で使用する際は、スピロノラクトンを用いる。
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