2018年12月9日更新.3,338記事.5,761,212文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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コレステロールの薬で筋肉が溶ける?

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横紋筋融解症とは?

コレステロールを下げる薬の中にスタチン系と呼ばれる薬があります。
その副作用に横紋筋融解症という副作用があります。
その名前から想像するように、筋肉が溶ける病気です。

筋肉が痛くなり、手足に力が入らない、尿が赤褐色になるなどの症状が出ます。
怖いですね。
しかし、患者さんに「筋肉が溶ける副作用があります」などと伝えてしまうと怖がって飲みません。医師からクレームがきます。
初期症状を伝えて、その症状が出たときは受診するように促しましょう。

横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう、英: rhabdomyolysis)は、横紋筋細胞が融解し筋細胞内の成分が血中に流出する症状、またはそれを指す病気のこと。

重症の場合には腎機能の低下を生じ、腎不全などの臓器機能不全を発症し、死に至る場合もある。横紋筋融解症 – Wikipedia

スタチン系薬の副作用として有名な、横紋筋融解症。
最近は色んな薬の副作用で、横紋筋融解症と書かれているのを見かける。
ロキソニンにも横紋筋融解症はある。

説明を求められたときに、「筋肉が溶ける副作用です」とか言ったら、飲まなくなるだろう。
確かに怖い副作用であり、注意は必要だけど伝え方にも工夫は必要。
初期症状として、「手足のだるさ、しびれ、痛み、赤褐色の尿」などがある。
患者に伝えるときは、「横紋筋融解症」という副作用ではなく、初期症状を副作用として伝えるほうがわかりやすいし、余計な不安を抱かせずに済む。

横紋筋融解症の発症機序は?

HMG-CoA還元酵素阻害剤による横紋筋融解症の発症機序については、すべてが解明されているわけではないが、以下のように考えられている。

1.HMG-CoA還元酵素阻害剤によって、筋細胞の細胞膜のコレステロールが低下し、細胞膜が不安定化するために起きる。
2.HMG-CoA還元酵素阻害剤は、メバロン酸からのコレステロール合成を阻害すると同時にユビキノンの合成を妨げてしまう。ユビキノンは、筋細胞でATP産生の補酵素として働いているので、エネルギー産生に影響が出て、横紋筋融解症を誘発する。

細胞膜のコレステロール低下は、HMG-CoA還元酵素阻害剤の薬理作用そのものである。

また、ユビキノンの合成阻害も、やはりHMG-CoA還元酵素阻害剤の薬理作用によるものと考えられる。

筋肉痛=横紋筋融解症?

スタチン系の副作用で気をつけなければいけない副作用に横紋筋融解症があります。

服薬指導時に筋肉痛について確認しますが、筋肉痛の症状を訴える患者さんは多いです。

米国の調査では、スタチン系薬剤服用者における筋肉痛は2~7%で生じますが、重篤な筋障害は0.08%程度とされます。

筋肉痛の発生頻度は高いですが、重篤例はその1/25~1/100程度ということで、必ずしも筋肉痛=横紋筋融解症とはなりません。

しかし、軽症といえども筋症状が出た段階で、スタチン系薬剤を中止あるいは減量することがまず必要となります。

血中CK値を測定するのが一番かと思いますが、薬剤師から医師に対してはなかなか言い出せません。

スタチンを飲むと筋肉が溶ける、という印象を患者に与えると、医者から文句言われるし。

でも、横紋筋融解症なんて滅多に無いだろうと、タカをくくっていると取り返しのつかないことになるかも。

腎機能障害者にスタチンはNG?

コレステロールの薬、スタチンやフィブラートの副作用に横紋筋融解症という、筋肉が溶ける副作用があります。
怖いですね。

たかがコレステロールのために、薬飲んでそんな副作用が出たらたまったもんじゃない、というわけで、ノンコンプライアンスに陥る患者さんもいるので、この副作用情報の扱いにはナイーブになります。

横紋筋融解症
「報告例の多くが腎機能障害を有する患者である。」
「プラバスタチンでは、これまで 8例の横紋筋融解症の報告があるが、腎機能正常例で、プラバスタチン単独で発症した報告はない。腎不全で透析を行っている 1例が報告されただけである。その他の例はすべてベザフィブラ-トとの併用例である。」

腎機能障害の無い患者であれば、リスクは低そうです。

腎機能障害者で横紋筋融解症が多い理由は、

「横紋筋融解症の発生頻度と腎機能障害の程度の関係は明らかでないが、血清クレアチニン値が 1.5㎎/dL以上では、横紋筋融解症の発生を考える。」
「腎機能障害例に横紋筋融解症の発症率が高いことは、HMG-CoA 還元酵素阻害剤の血中濃度が上昇し、筋細胞内濃度が上昇したときに発症しやすいことを示している。」

腎障害とフィブラート

フィブラート系の薬は主に腎臓から尿中に排池されるので、腎臓排池率が高く、腎機能の悪化をともなう横紋筋融解症のリスクが高まることがあります。
そのため、投与にあたっては患者の腎機能を検査したうえで投与の可否を決定し、血清クレアチニン値に応じて減量または投与間隔の延長等を行うことが重要な基本的注意です。
また、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、HMGCoA還元酵素阻害薬との併用は原則禁忌です。

なお、横紋筋融解症の発現症例の多くは、全身倦怠感、筋肉痛とともにCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)、血中や尿中ミオグロビンの上昇等が認められていますので、投与に際しては筋肉痛の発現やCPKの変動に注意する必要があります。

スタチンの副作用は脱水時におきやすい?

野外での作業で汗をかいて脱水気味になったときなどに副作用が出やすい。

コーラ色の尿は横紋筋融解症?

横紋筋融解症の症状には筋肉痛のほかに、コーラ色の尿があります。

筋肉成分(ミオグロビン)が尿中に溶け出す症状です。

筋肉痛+ミオグロビン尿があれば、間違いないでしょう。

すぐに病院へ。

何年も飲んでいるので副作用は出ない?

一般的に、フィブラート系の脂質異常症治療薬の副作用で横紋筋融解症が発症するリスクが高い期間は、使用開始から数ヶ月~2年程度とされている。

市販後に報告されている重篤な横紋筋融解症の発現時期は、約半数が投与1ヶ月以内である。

しかし1年以上たってからの発現も多く見られるので、「服薬から何年も過ぎているから」といった先入観は禁物である。

患者が横紋筋融解症のリスクがある薬剤を服用中であれば、服用が長期にわたっていても、初期症状のチェックを怠ってはならない。

患者が整形外科を受診し始めたり、針灸マッサージなどを受け始めた場合には、横紋筋融解症の初期症状の「筋肉痛」と関連づけて考えてみる慎重さも大切である。

水溶性スタチンは安全?

HMG-CoA還元酵素阻害薬には、水溶性のものと脂溶性のものがある。

水溶性のものは、薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)の影響を受けないが、脂溶性のものはCYPにて代謝される。

そのため、同じ種類のCYPで代謝される薬物の併用は、薬物相互作用の原因となるため、確認が必要である。

脂溶性の高いスタチンは危険?

スタチンの中でも脂溶性の高い化合物は、血中に分布するスタチン分子が各組織まで運ばれた際に細胞膜を通過し、筋肉細胞内でHMG-CoA還元酵素を阻害することによって、筋肉障害を引き起こしやすい。

セリバスタチンは、横紋筋融解症が高頻度に発現したために、10年ほど前に市場から撤退した薬剤です。

特に近年では、生活習慣病用薬の開発には大規模臨床試験が実施されることが多く、開発には巨額の開発費が投じられており、市場からの撤退は企業にとって大きなダメージとなります。

セリバスタチンのHMG-CoA還元酵素阻害作用は他のスタチンと比較して飛びぬけて強いわけではありませんが、投与量は1日0.1~0.2mgと少なめでした。

セリバスタチンは脂溶性が高いため、全身の細胞でコレステロール合成を阻害することから低用量で活性を示します。

しかし、主薬効を示す肝細胞における選択性が低く、副作用を示す筋肉細胞で強力にHMG-CoA還元酵素を阻害してしまうため、用量を高くできなかったのです。

主薬効に対するこの毒性の相対的な発現頻度は、脂溶性と相関すると考えられています。

一般的に、脂溶性が高い化合物ほど受動拡散による組織への移行率が高くなります。

しかし、肝細胞では、アニオントランスポーターに認識されやすい薬物は、たとえ脂溶性が低くても、そのアニオントランスポーターから取り込まれます。

すなわち、脂溶性が低く、肝細胞のアニオントランスポーターに認識されやすい(=肝臓に移行しやすい)ほど安全であると考えられています。

プラバスタチンの分配係数はlogP=-0.47、ロスバスタチンの分配係数はlogP=-0.3と他のスタチンと比較して脂溶性が低く、各組織の細胞内へ移行する比率が低いため、血中に留まる薬剤の比率が高まります。

一方、肝臓に特異的に発現しているアニオントランスポーターの働きで、筋肉細胞と比較して相対的に肝細胞中濃度が高くなるために肝細胞選択性が高くなっています。

logP値が4.4と非常に高いシンバスタチンはラクトン状態であるためで、この状態ではHMG-CoA還元酵素阻害作用を示さず、開環してはじめて阻害作用を示すために、毒性をそれほど示さないと考えられています。

メバロチンは安全?

メバロチンは水溶性なので安全性が高いと言われます。

リピトール、リポバス、ローコールなどは脂溶性であり、肝薬物代謝酵素チトクロームを介して代謝されるのに対して、水溶性のメバロチンの代謝はCYPを介さず、水酸基転移によって行われます。

そのため、肝臓にやさしい。

薬物相互作用も少ない。

水溶性が高いので、筋細胞への取り込みが少ないために、横紋筋融解症などの副作用の出現頻度も低い。

しかし副作用が少ない分、コレステロール低下作用も最も弱い。

リバロは安全?

うちの薬局で最も処方頻度の高いスタチンがリバロ。
リバロ(ピタバスタチン)は、ほかの薬剤との相互作用が、スタチンの中では比較的少ないことが知られています。

これは、薬物代謝酵素のチトクロームP450(CYP)による代謝をほとんど受けないためです。

CYPは「脂溶性の薬物を代謝する」と理解していると思いますが、ピタバスタチン(リバロ)はその概念を変えるような薬物です。つまり、DMリバロは脂溶性であるにもかかわらずCYPによる代謝をほとんど受けず、未変化体のまま胆汁中に排泄されます。CYPの代謝をほとんど受けないという点で、安全性が高いといわれる水溶性のプラバスタチン(メバロチン)によく似ていると思います。他の脂溶性のスタチンとは異なるという点で、薬物動態の面では全く新しいタイプのスタチンだと考えるのがよいと思います。スタチン製剤の使い分け

逆に、最も使いにくいスタチンはリポバスだと思う。

リポバスとイトリゾール

イトラコナゾールはCYP3A4を強力に阻害し、同分子種で代謝されるリポバスの血中濃度を最大で19倍上昇させるリスクがあるので、併用は禁忌である。
リポバスとイトリゾールの併用処方を受け付けた場合は、疑義照会を行い、代替案として、①抗真菌剤をラミシールに変更する②リポバスをCYP3A4で代謝されにくい水溶性スタチン系薬(メバロチン、リバロ、クレストール)に変更する、といった提案を行う。

参考書籍:薬効力 ―72の分子標的と薬の作用―

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